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From: "Hidenori Narita" 
Date: Mon, 21 Jun 1999 12:44:07 +0900
Subject: [shogi]名・6・柏(その4




(その4)

22:38
127手目■6二桂成〜130手目□7四玉。
両先生がいろいろな変化をやってくれたが、
(先崎君)「やはり(後手=谷川君が)駄目ですかあ。」

22:45
131手目■7九金寄〜137手目■8九同玉。
(先崎君)「(132手目の□8九同竜と竜を切った手に対して)
  少し短気だったのでは?」
やはり谷川君が良くなる手順は発見されない。佐藤玉は最後には
きわどく逃げられるようになっている。先崎君も石田9段も、この
将棋を見て何度も言っていた。
「後手(谷川側)は、苦労に苦労を重ねて辛抱するんだけれども、
 最後には負けてしまう、という可哀想な将棋になりそうだねえ。」
今、正にそのようになりつつある。

22:58
138手目□8八歩〜147手目■7七同玉。
盤面を見ると先手の佐藤玉はいつしか裸の王様になり、もしかした
ら谷川君が大逆転勝ちをおさめるのでは、という期待と抱かせるが、
2人(先崎君と石田9段)の解説ではまだ佐藤君がのこしている、
らしい。

23:05
148手目□7六歩〜150手目□6六歩。
(石田9段)「これ(□6六歩)はやりたかった手。え、この局面、
  大変なんじゃないの?」
(先崎君)「そうですね。でも佐藤君には時間がまだ沢山残って
  いるのでは?」(注3)
石田9段の発言の端々に、谷川頑張れという気持ちが入っている
ように聞こえた。そうか、石田9段は僕と同じく谷川ファンなんだ。
ついに150手を越えた。150手を越えるのは、やはり珍しい。
23時を越えるのも、これまた珍しい。

(注3)
 あとで判った事だが、この時点で対局者2人とも残り2分だった。
 あれだけ持ち時間に差があったのに。そして次の151手目に
 佐藤君は最後の1分を使い、敗着になったかもしれない手を
 指してしまう。恐るべし、谷川君の粘り。)

23:15
(先崎君)「この時間は、きっと両者秒読みですね。」

23:16
151手目■6三銀打〜160手目□6八同玉。
(先崎君)「え?■6三銀打ですか?一見詰みませんけど。」
(先崎君)「こんな発想は考えられません。」
(石田9段)「いやいやすごいことに。」
まさかの逆転が今まさに起ころうとしている。佐藤君の着地失敗と
いうより、震えに震えて決め損ねたあげくに最後の最後でぷっつん
してしまった感じだ。佐藤君も必勝の将棋を勝ちきることができな
かったのは、名人位の重みか。何はともあれ谷川君が名人へ
カムバックするのは、僕にとってもうれしいことである。

23:25
161手目■7八飛〜170手目□4九金。
(石田9段)「(先崎君に向かって)終電大丈夫?新婚の奥様が
  待ってるんじゃない?」
(先崎君)「いや、遊びに来てる訳ではないので。」
(石田9段)「谷川名人ですね。」
(先崎君)「はい。あわてたですね、佐藤さん。これは詰まない
  ですね。歴史に残る逆転です。」
(先崎君)「(佐藤君は148手目に)□8五桂を読んでいた所、
  □7六歩と(谷川君に)やられておかしくなったのでは?」
(先崎君)「新名人誕生ですね。(佐藤君)投了ですね。」
会場から「出戻り名人だ」と合いの手が飛ぶ。僕もほっとする。
思わずニヤニヤしてしまう。応援に来た甲斐があった。

23:30
(石田9段)「(会場の皆に向かって)今年から(大盤解説会を)
  柏でやることにしたんですよ。これからもどんどん盛り上げて
  いって下さい。」
これで今年度の名人戦はおしまい、という雰囲気で最後の挨拶を
しているようだ。僕が後ろを振り返ると、半分くらいの人がいなく
なっている。そうか、遠い人は終電が近いのかもしれない。それに
引き替え、僕はラッキー。職場と住居と大盤解説場、全てが近い。
例え終電が無くなっても、なんとか出来る距離だ。よーし、最後の
瞬間まで見届けてから帰るぞ。
(先崎君)「ひどかったですね。とにかくひどかった。
  しかしひどい、この逆転は。判らない時は詰ましに行くタイプ
  なんですよ、佐藤君は。」
(石田9段)「2一の歩は良い歩ですね。桂馬じゃない。
  (■2二竜という手が消されている事を言った)」
相変わらず石田9段は、違った視点で解説してくれる。解説会には
非常に貴重な存在だ。

(その5に続く)
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キヤノン株式会社 取手事業所 映事品質計画1課 成田秀則
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