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Subject: Re:
Date: Fri, 25 Feb 2000 13:22:49 +0900
From: Taisuke Kobayashi 

小林です。

>萩原です
>
>レスポンダーのジャンプシフトのあとは何か仕掛けがあるのでしょうか?
>(ACOLについては、このあたりをまったく知らない)
>
>(1)フィット&良いスートなのか、とにかく強いのか、その両方なのかの区別
>(2)スートの枚数と質のアスキング
>などがあると良さそうなのですが。
>
>何もないなら、スプリンター & アドバンストキュービッドでしょうか。

以前に塩谷さんがブリッジメーリングリストに書かれた
エコールシステム入門に、色々なパターンが詳しく書いてあります。
私もそちらを勉強中です。
このメールの最後に添付しますので、お手数ですが、
そちらを見てもらえるとありがたいです。

ただし、サマリーの

>1 1NTオープンは15-17とし、展開をSAYCと同じにする。
>2 1H、1Sに対するフォーシングレイズハンドはスプリンターと3NT
> でさばく。つまり、これもSAYCとほぼ同様にする。

という部分がエコールシステム入門と違います。

#1
エコールシステム入門

 これからエコールを勉強したいという人のためにこれを贈ります。また、既
にエコールを良く知っている方には、私のエコールに対する考え方に対して、
ご意見、ご批評をいただきたいと思います。
 内容は、T.リースの "Acol System of Bidding" を中谷さんが訳してJCBL
ブレティンに連載した「エコールシステム」を種本とし、これにクロウハース
トの "Precision Bidding in Acol" の内容を付け加えてあります。9割以上
は本の内容そのままですが、私の考えで変更したところもあります。

                       1998・11・2 塩谷



<はじめに>
 エコールはリミットビッドを多用するシステムで、「言いたいスーツを言い
たいレベルまでビッドせよ」という格言にその特徴が良く現わされている。
 エコールには大きく二つの流派がある。リースが言うところの「サイエンテ
ィフィック派」と「ナチュラル派」である。
 サイエンティフィック派はアメリカ的とも言え、スーツの枚数を重視する傾
向が強く、いわゆる「スタンダード」の考え方であって我々にもおなじみのも
のである。
 リースを旗頭とするナチュラル派は、スーツクオリティを重視する傾向が強
い。そのビッドは、世間から「エコール的」「イギリス的」と半ば賞賛、半ば
あきれられて論評されるものであり、サイエンティフィック派から見ると奇異
だったり、過激だったりすることがある。
 これからご紹介して行くのは、ナチュラル派のエコールで、これにサイエン
ティフィック派の考え方を少し付け加えたものである。


<ハンドの評価>
1 絵札点(HCP=High Card Points)
 おなじみのA=4、K=3、Q=2、J=1である。
 この評価法では、Aは過小評価され、Jは過大評価されている。スポットカ
ードはカウントしないことになっているが、10=0.5、9=0.2などと点を与
える人もいる。しかし、通常は、10、9の有無で「良い12点」とか「悪い14
点」などと調整する。
 単に「点」と言った時はこのHCPを指す。

2 プレイングトリック
 ノーマルブレークを想定した時に取れるトリック数。単にトリックと言う。

  AKQJ109   6トリック
  AQJ10     3と1/2トリック
  AJ109     2と3/4トリック
  AQ8632
   トップ3枚でまず数える。これは1と1/2トリック。
   4枚目は1/2トリック。
   5枚目以降は1トリックづつ。
   合計4トリック。

3 ルーザートリックカウント(LTC)
a 各々のスーツのA、K、Q抜けをルーザーとカウントする。

  Axxx KQx xx AQxx

 スペード2ルーザー、ハート1ルーザー、ダイヤ2ルーザー、クラブ1ルー
ザーで合計6ルーザー。

b 9枚以上のフィットは1ルーザー減らす。

 スペードをKxxxxと持っていて、パートナーが1Sオープンしたら、1
ルーザーとカウントする。

c 単独のQは2.5ルーザーとカウントする。

 Qxxx は、2.5ルーザー
 Qxx  も、2.5ルーザー
 Qx   は、2ルーザー
 Q    は、1ルーザー

d オープンハンドは7ルーザーとみなす。

e パートナー同士のルーザーを合計し、24からこれを引き、残りが取れるト
リック数。

  AJxx Kxxxx x Jxx

 1Hオープンに対し、スペード2、ハート1(9枚フィット)、ダイヤ1、
クラブ3の計7ルーザー。オープンハンドは7ルーザーだから、7+7=14。
24ー14=10。ゆえに4Hとビッド。

4 クイックトリック、ディフェンシブトリック
 A=1、K=1/2、AK=2、KQ=1、AQ=1と1/2。


 次回は「オープンの概要」です。

---

 坂本です。

>3 ルーザートリックカウント(LTC)
>a 各々のスーツのA、K、Q抜けをルーザーとカウントする。
>
>  Axxx KQx xx AQxx
>
> スペード2ルーザー、ハート1ルーザー、ダイヤ2ルーザー、クラブ1ルー
>ザーで合計6ルーザー。
>
>b 9枚以上のフィットは1ルーザー減らす。
>
> スペードをKxxxxと持っていて、パートナーが1Sオープンしたら、1
>ルーザーとカウントする。
>
>c 単独のQは2.5ルーザーとカウントする。
>
> Qxxx は、2.5ルーザー
> Qxx  も、2.5ルーザー
> Qx   は、2ルーザー
> Q    は、1ルーザー
>
>d オープンハンドは7ルーザーとみなす。
>
>e パートナー同士のルーザーを合計し、24からこれを引き、残りが取れるト
>リック数。
>
>  AJxx Kxxxx x Jxx
>
> 1Hオープンに対し、スペード2、ハート1(9枚フィット)、ダイヤ1、
>クラブ3の計7ルーザー。オープンハンドは7ルーザーだから、7+7=14。
>24ー14=10。ゆえに4Hとビッド。

  蛇足です。

  ルーザーを足すのは理屈に合わないように見えますが、ウィナーカウントの
裏返しと考えればつじつまが合います。

・AKQは各1トリック
・4枚以上のスーツは3枚を超えた1枚につき1トリック。ただし
最初の1トリックは数えない。

  というのが基本で、Qしかない場合や切り札が長い場合には補正を加える
というしくみです。

---
#2
<オープンの概要>
 これから説明して行くシステムの概要を示す。

1C          3枚以上
1D          (3)4枚以上
1H/1S       4枚以上
1NT   vulnerable 15-17
      not vul.  12-14
2C          ストロング
2D/2H/2S    エコールツー
2NT         20-21
3C/3D/3H/3S プリエンプティブ
3NT         ギャンブリング、サイドにA、K無し。
4C/4D/4H/4S プリエンプティブ
4NT         エコール4NT
5C/5D       プリエンプティブ
5H/5S       スラムインビテーション
6C/6D/6H/6S スラムインビテーション


<スラムトライのオープン>
 まずは簡単なところから。

4NTオープン
 いわゆるエコール4NT。
 答え方は、

  5C        A無し
  5D/5H/5S  ダイヤ/ハート/スペードにA
  5NT       2枚のA
  6C        クラブA

例1
  -  x  AKQJ10xxx  AKQJ

 4NTオープン。5C、5Sレスポンスなら6D。

例2
  A  A  KQJ10x  KQJxxx

 4NTオープン。5Cレスポンスはパス。


5H/5Sオープン
 「トランプのトップアナー(A、K、Q)が一枚あれば6へ、2枚あれば7
をビッドして欲しい」という一種のグランドスラムフォース。

例3
  AK  QJ1098xxx  -  AKQ

 5Hオープン。レスポンダーはハートKシングルトンでも6Hとビッド。


6C/6D/6H/6Sオープン
 同様にトップアナーがあれば7へ行ってくれとの意味。



<Principle of Preparedness>
 リビッドを考えて(準備して)オープンするという考え方。ニュースーツレ
スポンスはF1(一回フォーシング)であるから、その時、適切なリビッドが
なければならない。

1 5枚スーツは prepare されている。
2 タッチング44は上からオープン。
3 4333は1Cオープン。

など、知っていることばかりでしょう。
 なお、"prepare" には良い定訳が無いのでそのまま使います。

 次回は、「1の代のスーツオープン」です。

---
#3
エコールシステム入門-その3


本文に入る前に、注意とお願い
 この章からはリースの本(中谷さんの訳に基づく)の内容が主になります。
著作権の問題は全く配慮しておりませんので、不特定多数への転送/ 配布を
しないようお願いします。


<1の代のスーツオープン>
1 標準的なオープン
 エコールではNTやエコール2に向かない13から20点のハンドを1の代のス
ーツでオープンする。プレイングトリックの無いミニマムのハンドはパスした
方が良い。

  QJ 8653 KQJ A742

このハンドは、パートナーがビッドできないのであれば、平均より少々良いハ
ンドにすぎない。ビッドしたいスーツがあるわけでもなく、スペードのコント
ラクトに対するディフェンスが弱いことからも、パスが賢明である。
 強いスーツのあるハンドは、軽くオープンして良い。

2 戦術的オープン
 オープンすること自体が良い戦術である。先制攻撃をかけることで相手に圧
力を加えることができる。
 これがエコールで手の形に基づいてオープンする理由である。手の形とは、
絵札点は少ないにもかかわらず、トリックを取ることが期待できるハンドを言
う。戦術的オープンをするハンドは三通りに大別できるだろう。

a 6枚スーツがあり、6トリック持つハンド

  AQ10972 95 A103 83

  AKQ1072 95 942 83

  KQJ1072 95 A2 832

いずれも1Sオープン。この6枚がハートでもマイナーでもオープンする。ミ
ニマムはHCPで言えば9点が目安である。

b タッチング5-5ツースーター、6トリック
 長いスーツに絵札が集中したハンド。

  4 A9763 KQ983 73

  4 AJ932 KJ1053 73

いずれも1Hオープンする。上記の両方とも6トリックに少し足りないが、安
全なリビッドが prepare されており、オープンする。これもマイナーツース
ーターでもオープンする。やはりミニマムは9点が目安。
 なお、a、b共に、「オープンは7ルーザートリックカウント以下」を満た
していることに注目。

c 54ツースーター、5332ハンド
 上述したa、b以外に判断の難しい一群のハンドがある。これらをオープン
するかどうかの判断基準を述べよう。

3 ハンドのテクスチャー
 テクスチャーとは長いスーツと絵札の位置との関係を言う。絵札が長いスー
ツにあるとハンドの攻撃力は増大する。

(1) 42 AQ872 AQ93 85
(2) AQ 87432 9632 AQ

(1)のハンドは、絵札が長いスーツをエスタブリッシュする助けとなるから、
健全なオープンハンドである。(2)は、絵札が短いスーツにあるので弱いハン
ドであり、オープンは疑わしい。

4 メジャースーツの持ち具合
 両メジャーを持っていると、競り合いで優位に立ちやすく、オープンする価
値が増す。

  10842 KJ974 3 AK5

このハンドを1Hオープンする根拠は薄い。ハート自体弱く、パートナーとフ
ィットしなければトリックはほとんど期待できない。にもかかわらず、メジャ
ーに価値があることがオープンして良い理由となる。
 逆に、メジャースーツが弱いときに相手と競り合うのは得策とは言えない。
ヘタをすると通常ではビッドできないゲームに相手を押し上げてしまう懸念が
ある。メジャーにクズ2~3枚が最悪の持ち方である。これは相手方にとって
トランプの分かれが良いことになるからである。一方、シングルトンとかボイ
ドなら、パートナーが沢山持っている可能性があるから、ミニマムでオープン
しても上述の懸念はない。

5 バルネラビリティ
 本命スーツが弱いときはバルネラビリティに大きく影響される。

  8 Q10853 AJ76 A102

ノンバルなら、1Hオープンは十分考えられよう。パートナーとうまくフィッ
トすればコントラクトを作ることもできるし良いサクリファイスになるだろう。
フィットがなくダウンしたとしても50点くらいだろう。
 しかし、バルではまずいオープンである。サクリファイスはまずできないし、
フィットがなくダブルをかけられた時の被害は高価なものとなるからである。

6 サードハンドのオープン
 3番手で軽いオープンをする目的の一つはディフェンスにある。ビッドした
スーツをパートナーがリードするのが望ましくなければ境界上のハンドはオー
プンすべきではない。

(1) 92 Q9764 KQ6 A103
(2) 85 AQJ42 743 K95

最初のハンドはどの位置でもオープンすべきではない。しかし2番目のハンド
はパートナーにリードを教えるのに絶好であるから3番手のオープンとしては
良いハンドである。
 もう一つの目的は、相手方をベストコントラクトから遠ざけることである。
しかし、むやみにはったりをかけるのではなく、じっくりと機会を待つように
して欲しい。

  J985 10962 AKQ 94

メジャーに対しては十分ディフェンスできる。相手方にゲームの可能性がある
とすればNTである。1Dとオープンすれば、相手はどちらもダイヤストッパ
ーがなく、こちらのダイヤが短いとは知らずNTをビッドしにくくなるだろう。


今回はこれまで。

 次回は、「1の代のスーツオープン-続き」です。

---
#4
エコールシステム入門-その4


<1の代のスーツオープン-続き>
 前回に引き続き、ミニマムハンドでオープンするかどうかの判断基準を述べ
る。Principle of Preparedness のおさらいである。

7 スーツの選択
 すべてのシステムに共通して言えることであるが、オープンした限りはスー
ツレスポンスに対してリビッドしなければならない(パストハンドは例外であ
るが)。オープニングリビッドに大きな影響を持つリビッドの条件をここで明
確にしてみよう。
 1NTオープンの基準は、ノンバルで12-14、バルで15-17である。1NTリ
ビッドの基準は丁度この逆である。つまりノンバルの1NTリビッドは15-16
(17ではない)、バルの1NTリビッドは12-14である。これは、英語で con-
verse NT と呼ぶものであるが、日本では普通リバースNTと呼ばれている。
 2オーバー1レスポンスに対する2NTリビッドは15-17である。従って13
点前後の弱いハンドでオープンする時は2レベルのレスポンスに対して無理の
ないリビッドができるか十分考慮する必要がある。

★4333
 1NTに向かない平均したハンドは便宜的に1Cとオープンする必要が起き
る。

  K103 AQ85 J62 K107

バルの時、1Hオープンは、2D、2Cのレスポンスに適切なリビッドが無い
から良いオープンとは言えない。1Cが無理のないオープンである。

  K103 AQ85 QJ2 K107

このハンドには15点と2枚の10がある。バルならば、1NTでオープンする。
ノンバルならば、1Hオープンし2NTリビッドすれば良さそうに思える。し
かし1Cが良いオープンである。1NTリビッドで強さを正確に伝えることが
できるからである。

★4432
 1NTオープンの範囲外であれば、タッチングの時はランクの上のスーツで
オープン、クラブとスペード、クラブとハートは通常1Cでオープンする。ス
ペードとダイヤはリビッドを考えてオープンする。通常、3枚スーツの上でオ
ープンすることになる。

  KJ54 107 K1083 AQ4

1Dが最上のオープンである。1Sオープンすると、パートナーの2Hレスポ
ンスに対して、2NTや3Dとビッドする強さがないし、スペードはリビッド
できず、リビッドがなくなる。

  AJ63 1072 AK93 J2

このハンドを1Dオープンすると、2Cレスポンスに適当なリビッドが無くな
る。一方、1Sオープンは、2Cに対しては2Dリビッド、2Hには3Hレイ
ズができる。2Hレスポンスは通常5枚を保証する。

★4441
 3つのスーツのどれもがビッダブルであれば、1444は1Dで、4144
も1Dで、4414は1Cで、4441は1Hでオープンする。これでパート
ナーのあらゆるレスポンスに対処できる。

  QJ92 6 AK76 KQ73

1Dでオープンする。パートナーのハートレスポンスにはスーツをリビッドを
でき、クラブレスポンスには強力なサポートがある。この手は1Cでオープン
してもリビッドに困らなさそうであるが、それより以後の展開やオポーネント
が介入したときのことを考えると1Dでオープンする方が優れている。
 強力なメジャーがある時は上記の原則からはずれ、メジャーでオープンする。

  5 AKJ9 Q732 K843

1Hオープンする。1Sレスポンスには2Cリビッドし、マイナーのレスポン
スは3にレイズする。

 スーツの一つが弱いときはハンドを3スーターではなく、2スーターと考え
る方が良い。

  9 J853 AKJ7 AJ107

ハートは是非ビッドしたいスーツではないから、ダイヤとクラブのハンドと考
えて1Dオープンする。

  AJ73 7 Q853 AK105

このハンドではダイヤが弱いから1Cが最上のオープンである。

★5431、5422
 5枚スーツでオープンするのが原則であるが、ミニマムのハンドで5枚スー
ツが低いランクにあるタッチング45の場合は4枚でオープンする必要に迫ら
れることがある。

  K6 KQ106 AJ842 95

1Dとオープンするとハートをビッドする機会はありそうにない。例えば1S
レスポンスに2Hとビッドするのはもっと強いハンドを示す。ハートは示した
い良いスーツだから1Hとオープンし、2Dリビッドが良い。

  K854 AQJ92 Q10 86

スペードの内容が悪いこともあるが、ハートはリビッダブルである。スペード
はパートナーがビッドするまでひとまずお預けにして、1Hオープンする。

★55
 クラブとスペードの場合を除いてランクの高いスーツでオープンする。

  KJ853 7 A10642 A3

1Sオープンする。もちろんパートナーが2Hとビッドすれば、3Dとビッド
するほど強くはないから2Sとリビッドすることになる。しかし、スペードは
リビッダブルだし、1Dとオープンして2Cレスポンスに内容の良いスペード
を隠さなければならないことに比べればダイヤを隠すことになってしまう害は
ささいなことである。
 55のクラブとスペードでは、1Cオープンはより広い展開の余地を残すが、
一方、オーバーコールされると5枚のスペードを示しにくいという問題が出て
くる。内容の良いスペードを持つ中間の強さのハンドでは、1Sオープンする
のが良い。
 一方のスーツが強く、もう一方が弱い時はタッチングの場合を除いて強いス
ーツでオープンする。

  A7 108763 5 AKJ42

1Cオープンし、パートナーのレスポンスが1Sなら2Cリビッドする。1H
オープンしてこの貧弱なスーツをリビッドする必要に迫られるよりは良いだろ
う。ハートとダイヤのようにタッチングの場合はハイカードに関係なくランク
の高いスーツでオープンするのが正しい。
 上述は一般原則であるが、戦術的な考えにも触れておこう。型にはまった考
え方はエコールプレーヤーの採るところではない。

 10962 Q854 A9 AK4

1H、1Sオープンより1Cオープンが良い。他に適切なビッドがあれば弱い
メジャーをビッドするのは避ける。

  KJ73 AJ83 Q103 A10

ノンバルでは1Hオープンが良い。これによってメジャーフィットをすばやく
見つけることができるし、2C、2Dレスポンスには2NTをリビッドできる。


以上

 次回は、「1の代のスーツオープンに対するレスポンス」です。

 坂本です。

>★4432
> 1NTオープンの範囲外であれば、タッチングの時はランクの上のスーツで
>オープン、クラブとスペード、クラブとハートは通常1Cでオープンする。ス
>ペードとダイヤはリビッドを考えてオープンする。通常、3枚スーツの上でオ
>ープンすることになる。
>
>  KJ54 107 K1083 AQ4
>
>1Dが最上のオープンである。1Sオープンすると、パートナーの2Hレスポ
>ンスに対して、2NTや3Dとビッドする強さがないし、スペードはリビッド
>できず、リビッドがなくなる。

 この手はエコールでは2Cに3Cとレイズすることになっていますが、3NT
をねらうのにインビテーションの余地がないという問題があります。
(JCBLスタンダードも同じ)

 Gorenでは2Cに2Dとリビッドし、ダミーを開く前にハートを1枚ダイヤに
入れておくことになっています。

 All about Acolでは、1Cでオープンする方法もあるよ、でも結果が悪くても
知らないよ!だってさ。

遅いレスですいません@塩谷です。

>  KJ54 107 K1083 AQ4
>
>1Dが最上のオープンである。1Sオープンすると、パートナーの2Hレスポ
>ンスに対して、2NTや3Dとビッドする強さがないし、スペードはリビッド
>できず、リビッドがなくなる。
> 
坂本>  この手はエコールでは2Cに3Cとレイズすることになっていますが、
坂本> 3NTをねらうのにインビテーションの余地がないという問題があります。
坂本> (JCBLスタンダードも同じ)

 そうですねえ、2レベルレスポンスをオープナーにレイズされると困るんです
よね。たいていゲームにいっちゃうんですが。


坂本> Gorenでは2Cに2Dとリビッドし、ダミーを開く前にハートを1枚ダイ
坂本> ヤに入れておくことになっています。

 そうでした。素晴らしいアイデアですねえ。


坂本> All about Acolでは、1Cでオープンする方法もあるよ、でも結果が悪く
坂本> ても知らないよ!だってさ。

 これまた、エコールらしい。

---
#5
エコールシステム入門-その5


 この章から、いよいよエコール流、リース的ビッドが登場します。お楽しみ
に。

<1の代のスーツオープンに対するレスポンス>
 レスポンダーのハンドを「弱い」「中間」「強い」の3種類に分類して検討
する。

★弱いハンド:6-9点。このようなハンドは通常1回しかビッドできないか
ら、ハンドの特徴を1回で表すようにする。

★中間のハンド:10-12点。ゲームの可能性はオープナーがリビッドで示
す強さによる。常に先のことを見通しておかねばならず、最初のレスポンスを
選ぶにあたって次にはどんなビッドをしたら良いかを考慮しておくことが必要
となる。

★強いハンド:通常オープンハンド以上。レスポンダーはゲームまで止まらな
い。相手方と競り合う必要はないから、ゆっくりとパートナーと相談を進める。
最初のレスポンスでハンドの性格を全て示す必要はない。

 以上の概要は、当たり前のように思われるかもしれないが、この章を読み終
わってからもう一度読んで欲しい。非常に重要な指針が短い言葉の中に示され
ていることに気づくであろう。


1 弱いハンド
 レスポンスはパートナースーツのレイズ、1NT、スーツテークアウトから
選ぶ。

★シングルレイズ
 レイズは絵札またはディストリビューションによるサポートに基づく。目安
は、5-9HCP、9ルーザートリックカウントである。1Hを2Hにレイズす
ればパートナーは少なくとも次のようなハンドを期待する。

  84 Q1072 984 A752

  9653 J10643 Q74 8

パートナーはミニマムとしてこのようなハンドを期待すると言ったが、これが
レイズするミニマムというわけではない。

  K763 104 J862 974

これは4点しかなく、10ルーザーある。しかし、戦術的な理由で1Sを2Sに
レイズするのが賢明であろう。もちろん、必要な強さはないし、最終コントラ
クトが何であれダウンする可能性は高い。しかし、相手と競り合えるという点
で優れている。
 この反対に位置するのが、シングルレイズには強すぎるが適切な替わりのビ
ッドがないハンドである。

  KQJ3 A94 754 1082

2Sが3Sより良い。2Sとビッドすると競り合いになるかもしれないが、こ
のハンドは、オフェンシブというよりはディフェンシブであり、オポーネント
のコントラクトを守っても良い。また、スペードをレイズせずにマイナーでウ
ェイティングするのは、スーツの内容が悪いということを除いても、不可であ
る。ディレイドゲームレイズ(後述)を除いて、メジャーに4枚サポートあれ
ば、すぐになんらかのレイズをするというのがエコールでの重要なトリートメ
ントである。

  K6432 K763 54 82

1Hオープンには2Hレイズであって1Sではない。

  J842 K104 93 K763

これも1Hオープンを2Hにレイズする。1回のビッドでパートナーに伝える
こととしてはこれが最上の情報である。
 この原則はパストハンドでは更に強くあてはまる。

  J98 KJ62 54 A974

1Sオープンに対し、パストハンドでなければ2Cとつなぐぎりぎりのハンド
であるが、パストハンドでは2Cでプレーする危険を冒してはならず、2Sと
レイズする。


★1NTレスポンス
 これは、
A 6-9点の平均したハンドで、
B レイズには適当でなく、
C 1レベルでビッドするにふさわしいスーツのない
ハンドを示す。Aの要件は良く知られていることであり、Bについては上記で
述べた。Cに関して例を挙げてみよう。

  8753 KJ AQ5 9632

10点あっても、1Hオープンに対して1NTに替わる良いレスポンスは考えられ
ない。1C、1Dオープンに対しても1NTレスポンスが良い。スペードはパー
トナーがビッドしてくればレイズするが、自らビッドするスーツではない。

  7 94 K107543 Q865

 エコールでは扱いにくいハンドである。1Sオープンに対し、点が少なくパー
トナースーツがシングルトンのハンドで1NTとレスポンスするのは危険である。
オープンが1Hなら1NTレスポンスはスペードがシングルトンのため不適当で
ある。2Dレスポンスは問題にならない。
 これはパスするのが良い。パートナーとたまたまダイヤがフィットすればゲー
ムをのがすかもしれないが、オポーネントがリオープンすることに最後の望みを
かけよう。

  97 732 J9542 AK8

1Sには1NTレスポンスする。1Hには、不十分なサポートで2Hとレイズす
るか、弱いスペードにもかかわらず1NTとレスポンスするかの一方を選ばなけ
ればならない。8点にはクラブのAKというコントロールが含まれているから、
スーツコントラクトの方が良いだろう。

  J76 K102 Q963 542

1H、1Sオープンには1NTレスポンスだが、1Cには1Dレスポンスする。
1Cに対する1NTレスポンスは8-10点を表す。

  Q63 872 AJ5 8753

1D、1H、1Sオープンには1NTレスポンスするが、1Cオープンには、貧
弱なサポートで2Cとレイズするか、1点ウソをついて1NTレスポンスするか、
3枚ダイヤで1Dレスポンスするかを選ばなければならない。1H、1Sリビッ
ドにはパスできるし、1NTリビッドとなればベストコントラクトであろうから、
1Dレスポンスが良いであろう。

  Q63 872 J85 A853

1Cオープンに対し、今度は2Cレイズがベストであろう。


★レイズか1NTか
 1レベルのメジャーオープンを3枚でサポートするか、1NTとレスポンスす
るかは悩ましい問題である。シングルトンを含む5431のような場合は、3枚
サポートでレイズすることになんら疑問はないが、4432の場合は判断が難し
い。
 まず、大前提としてオープナーがこれまで述べてきたようにクォリティのある
スーツでオープンしているかどうかが重要となる。

  オープナー  レスポンダー
  32     74
  AJ82   K73
  AQ74   9852
  Q84    K732

1Hオープンに2Hレイズは良いコントラクトに落ち着くが、

  オープナー  レスポンダー
  32     74
  8742   K73
  AQJ4   9852
  AQ8    K732

このハンドで1Hオープンし2Hレイズすると、1NTレスポンスより更に悲惨
な結果となるかもしれない。オープナーはこの弱いハートは無視して1Dオープ
ンすべきであり、その場合1D-2Dと良いコントラクトにたどりつくであろう。
このようにスーツクォリティを重視してオープンすることと、3枚サポートでレ
イズすることは密接に結びついていることに注目してほしい。
 3枚サポートでレイズするかどうかは、他のスーツの絵札の状態も重要である。

  83 A83 K953 8752

1Hオープンに2H。スペードにJx程度あれば1NTが良い。

  83 K83 K953 Q752

1Hオープンに1NT。スペードは不満だが他のスーツは絵札がバラついていて
NT向きである。

  J3 A83 A953 8752

1Hオープンに2H。コントロールハンドはトランプコントラクト向きである。


★スーツテークアウト
 パートナーは1レベルレスポンスに6点以上を期待するが、良いスーツでは6
点未満でもかまわない。KQxxやK10xxxとどこかにJ一枚あるハンドが
この例にあたる。
 スーツテークアウトのビッドに上限はないが、後述するように16点以上では
通常ジャンプシフトする。
 5-4以上のスーツが両方1レベルでビッドできる時は、長い方からビッドす
る。

  AQ73 J9643 95 105

1C、1Dオープンには1Hレスポンスする。

 4枚スーツが二つある時はランクの低いスーツをビッドする。

  K953 K765 Q5 842

1C、1Dには1Hレスポンスする。これでどちらのメジャーのフィットものが
すことがない。
 しかし、スーツクォリティは重要である。

  AQ87 1062 J862 93

1Cオープンに対しては、弱いダイヤはビッドせず、1Sとレスポンスする。こ
れは両メジャーを持つ場合でも同様である。

  AQ104 7432 95 1032

1C、1Dオープンには1Sレスポンスする。
 パートナーがマイナーでオープンした場合、このスーツをサポートするかメジ
ャーをビッドするかは、2回目のビッドができるかどうかによって決める。

  KJ96 85 A72 10873

1Cオープンに対して1Sとビッドする。次の機会にクラブサポートを示す。

  Q982 103 KJ84 953

1Dオープンには2Dとレイズするのが良い。スペードをビッドして更にダイヤ
をサポートするには弱すぎる。レスポンダーのリビッドには最低7点が必要とさ
れている。ただし、これはIMP戦やラバーでのことであり、マッチポイント戦で
は1Sとレスポンスする方が良いだろう。
 2レベルのスーツテークアウトはこの「弱い手」では通常行わない。ただし、
良いスーツがある時は8点で2レベルレスポンスしても良い。

  652 83 73 AKJ642

  652 J83 Q3 KQJ62

1Sオープンに2Cレスポンスできるぎりぎりのハンドである。クラブがわずか
でも弱ければ1NTレスポンスが良い。


以上

 次回は、「1の代のスーツオープンに対するレスポンス-続き」です。

成田です。
*
Mr.Shioya wrote:
>  Q982 103 KJ84 953
>
>1Dオープンには2Dとレイズするのが良い。スペードをビッドして更にダイヤ
>をサポートするには弱すぎる。レスポンダーのリビッドには最低7点が必要とさ
>れている。ただし、これはIMP戦やラバーでのことであり、マッチポイント戦で
>は1Sとレスポンスする方が良いだろう。
*
読み応えのある内容になって来ましたね。
成田は、「そうだったんだ、昔勉強したなあ」
という感じで、懐かしさを感じながら
ざーっと読ませてもらっていますが、
上記の内容に関しては、成田は 100%
1Sレスが良いと思うんですが。
*
とここまで書いて、フト思った。
考え方としては、
「オープナーが強ければ(18-20HCP)
  2Dに2Sを言うから、
  そしたら3Sとレイズすれば良い」
てなもんなんでしょうね。
でも、そういう展開になると、お互いに、
『パートナーは3枚かもしれないぞー』
などと余計な所に神経を使ってしまいそうで、
頭に汗を書くのがおっくうになってきた
成田なんかは遠慮したいですねえ。
*
取り敢えず、感想まで。
*

塩谷です。

Narita> >  Q982 103 KJ84 953
Narita> >
Narita> >1Dオープンには2Dとレイズするのが良い。スペードをビッドして更にダイヤ
Narita> >をサポートするには弱すぎる。レスポンダーのリビッドには最低7点が必要とさ
Narita> >れている。ただし、これはIMP戦やラバーでのことであり、マッチポイント戦で
Narita> >は1Sとレスポンスする方が良いだろう。
Narita> *
Narita> 読み応えのある内容になって来ましたね。
Narita> 成田は、「そうだったんだ、昔勉強したなあ」
Narita> という感じで、懐かしさを感じながら
Narita> ざーっと読ませてもらっていますが、
Narita> 上記の内容に関しては、成田は 100%
Narita> 1Sレスが良いと思うんですが。

 それは、2Cリビッドが来た時は、2Dにもどすんですネ。それが、6-9点
(場合によっては5点)を示すのであれば、全く問題はありません。
 エコールでは、2Dにもどすと良い7点を期待され、オープナーは良い17点
くらいでゲームへ行ってしまいます。それで3NTが出来れば問題無いのですが ... 。
 エコールはオーバービッドと言われていますが、そうではなく、上記のように
バランスが取れている(取っている)と思います。

Narita> とここまで書いて、フト思った。
Narita> 考え方としては、
Narita> 「オープナーが強ければ(18-20HCP)
Narita>   2Dに2Sを言うから、
Narita>   そしたら3Sとレイズすれば良い」
Narita> てなもんなんでしょうね。
Narita> でも、そういう展開になると、お互いに、
Narita> 『パートナーは3枚かもしれないぞー』
Narita> などと余計な所に神経を使ってしまいそうで、

 1D-2D
 2S-3S

という展開ですね。これは、おっしゃるとおり、オープナーは3枚でビッドし
ているかもしれません。しかし、レスポンダーは必ず4枚持っています。それ
は、Acol #9(レスポンダーのリビッド)で書くことになるでしょう。

#実は、成田君はここで重要な指摘をしたのだ。上記のビッドシーケンスでレ
スポンダーは4枚持っていないと3Sとビッドしてはいけない、そうしないと
困ったことになるということを成田君は指摘してくれたのでした。上記のよう
なセカンドスーツのレイズには4枚必要ということをリースは本にはっきりと
は書いていないのだけれど、Acol #9 では、補足してじっくり書かせてもらい
ます。成田君に感謝感謝。

 このあと、オープナーは3枚スペードの時は3NTとビッドする。これはも
との2Sが3NTトライだったということになり、レスポンダーは荒れた手や
ハートが打ち抜かれそうだったら(オープナーはハートストッパーが無いにち
がいない、あれば最初にすぐ3NTとビッドしたはずだ)、4Dや4Sとビッ
ドすることになるでしょう。
 こんなビッド展開は面倒くさいと叱られそうですが、成田君も良くご承知の
とおり、エコールプレーヤはこういうビッドが好きなのです。昔、辻(赤間君
の先輩)が言っていたが、「4枚メジャープレーヤはビッドが好き」という図
式でしょうか。

 「余計な所に神経を使ってしまいそう」というのは、3枚サポートでのレイ
ズが滅多にされないので、「余計」ということになるのでしょうが、エコール
ではしょっちゅう3枚サポートがされますから、ごくありふれたことに注意を
はらうということであって、神経を使うということは無いと思います。

Narita> 頭に汗を書くのがおっくうになってきた
Narita> 成田なんかは遠慮したいですねえ。

 それは、成田君が5枚メジャー(これはリース流エコールに比べてディスト
リビューション重視)にはまりきってしまったからでしょう。

Narita> 取り敢えず、感想まで。

 ありがとうございました。またよろしくお願いします。

---
#6
 エコールシステム入門-その6


<1の代のスーツオープンに対するレスポンス-続き>
2 中間のハンド
 1回のビッドでハンドを示すことができればこれに勝るものはない。

★ダブルレイズ
 ダブルレイズはメジャー、マイナーともナチュラルでノンフォーシングであ
る。

  A5 Q962 KJ73 J65

1Hを3Hにダブルレイズする標準的なハンドである。10-12HCP、ルーザー
トリックカウント(LTC)で8ルーザーある。ダブルレイズには4枚サポート
が必要である。
 マイナーのダブルレイズは、最終コントラクトが3NTになることが多いの
で、LTCではレイズしない。HCPが必要である。

★2NTレスポンス
 通常11点から12点、例外的に10や9の多い10点、または悪い13点のハンドで
行うノンフォーシングのビッドである。

  Q973 Q83 KJ8 A98

1Hオープンには2NTレスポンスすべきで1Sではない。

  A43 J10 9874 AK63

一方、このハンドはスーツコントラクトに適している。1Hには2Cとレスポ
ンスすべきで、必要な点があるからといって2NTとレスポンスしてはならな
い。


★スーツテークアウト
 スーツの長さが異なるときは、弱い手の時と違って、2レベルでレスポンス
することになっても長いスーツを先にビッドする。

  AKJ2 J5 K9643 95

1Hオープンには2Dとレスポンス。2Hリビッドなら2Sとビッドする。弱
い手の場合は、

  AJ82 J5 K9643 95

1Hオープンには1Sとレスポンスする。2Dとビッドして次に2Sとビッド
できるほど強くない。2Sはゲームインビテーション以上のハンドを示し、も
っと強さが必要である。
 5-5は上のスーツからビッドする。

  Q9754 8 AKJ64 93

1C、1Hのどちらのオープンに対しても1Sとレスポンスする。もっとも、
これもスーツクォリティが重要である。

  87542 8 AKJ64 93

1Hには1Sだが、1Cオープンには1Dとレスポンスする。
 4枚スーツしか持たない場合にはレスポンダーは先のことを十分考えてビッ
ドしなければならない。

  AJ97 K753 K94 J2

1C、1Dオープンに1Hレスポンスする。これで両メジャーのフィットをの
がすことがない。これは「弱い手」の時と同じである。

  AQ52 965 94 AK92

1Dオープンに対しては、2Cの方が1Sより先見の明のあるビッドである。
パートナーが2Dリビッドならば2Sとビッドし3NTに誘うことができる。
パートナーは4枚スペードあれば3Sとレイズするので、これでスペードの4
-4フィットものがすことがない。
 一方、1Sレスポンスすると、1D-1S-2D-3Cと進んだ時、パート
ナーが3枚サポートで3Sとプリファーした時に、ハートのストッパーがわか
らずに3NTのかけに踏み切らざるをえなくなる。

  1086 AJ75 754 AQ6

1Sに2NTではなく2Cとレスポンスする。パートナーは、こちらがクラブ
を持っていると思うだろうが、例えば3Cレイズには3Sに戻すことができ、
問題ない。この場合、オープナーのスペードは5枚以上だからである。
 4枚スーツしかない場合には極力経済的なレスポンスをするから、非経済的
なシークエンスすなわち、1S-2H、1H-2D、1D-2Cは5枚を示す。


3 強いハンド
★メジャースーツのレイズ
 まず、第一回の<ハンドの評価>で述べたルーザートリックカウントについ
て補足をしておく。
-----------------------------------
<第一回より抜粋>
3 ルーザートリックカウント(LTC)
a 各々のスーツのA、K、Q抜けをルーザーとカウントする。

<中略>

c 単独のQは2.5ルーザーとカウントする。
-----------------------------------
 このLTCは、数えるのが簡単というのが特徴の一つであり、更に簡単さを生か
すために、この2.5ルーザーというのを「単独のQは2ルーザー、2つのスーツ
に単独のQがある時は1ルーザー増やす」とする。例えば、

  Axxx Qxx xx Kxxx

これは8ルーザー。

  Axxx Qxx xx Qxxx

これは9ルーザーである。

 さて、強いハンドでのメジャーのレイズは次の4通りにわけられる。

(1)4へのダイレクトレイズ
 ディストリビューションに基づくレイズで、通常長いサポートを持っている。
11HCPを越えることはなく、LTCにより7ルーザー以下となるハンドでビッドす
る。

  8 KQ854 Q9764 92

(2)スイスコンベンション
 12-15HCP、4枚サポート、比較的バランスしたハンドでビッドする。様々な
取り決め方があるが、4Cが3キーカード、4Dが2キーカード以下という取
り決め(キーカードスイスと呼ばれる)が私の経験では多いように思う。この
場合、4Cに対して、4NTはKアスキング(Acol Direct King Asking)、
4Dに対して、4NTはAアスキングである。4C、4Dいずれに対しても、
スーツビッドはキュービッドとなる。

  Q854 74 AKJ3 A92

1Sオープンに対し、4Dとレスポンスする。

(3)ディレイドゲームレイズ
 メジャーにサポートがあればすぐレイズするというのがエコールの重要なト
リートメントである。すると、次のようなシーケンスは特別な意味を表すこと
になる。

 1S-2D
 2H-4S

4Sがビッドできるということは、良いサポートがあるにちがいないが、最初
レイズしなかったということと矛盾する。これは、例外的なレイズのハンドを
現わしており、「初めからゲームにレイズできる強さがあり、かつ良いダイヤ
モンドがある」という意味になる。次のようなハンドがその例である。

  Q854 7 AKJ73 A92

(4)ジャンプシフト
 更に強い手ではジャンプシフトし、次にサポートする。目安はおおよそ16HCP
であるが、トリックのあるハンドではオープンハンド程度となることもありう
る。

  K854 7 AKQ73 A92

  1S-3D
  3H-3S

サポートがある場合のジャンプシフトは、コントロールのある短いスーツでな
されることもある。

  KJ102 Q1074 AQ A82

1H、1Sオープンに対して3Cとジャンプシフトする。


★3NTレスポンス
 13-15のNT向きの平均したハンドを示す。

  J82 KJ7 KJ42 KQ9

1Sオープンに対して、3NTレスポンスする典型的なハンドである。
 しかし、3NTレスポンスは、他のビッドでも代用できることが多い。

  A83 K3 QJ76 A1094

1D、1H、1Sオープンには2Cとビッドすることができ、1Cオープンに
は1Dレスポンスできる。
 更に、3NTレスポンスに向いたハンドは来ることが少ない。これらの理由
から、3NTを別の意味に使っているペアは多い。例えば、坂本-塩谷は、メ
ジャーオープンに対する3NTを、サポートのある13-15でシングルトンを持
つハンドを示すために使っている。これは、前述したスイスやディレイドゲー
ムレイズではあらわしにくいハンドを表すためである。


★スーツテークアウト
 15~6点までで際だったディストリビューションをしていないハンドは、単
純に1レベルもしくは2レベルでレスポンスするのが順当である。ここではジ
ャンプシフトするか、これに近い強いハンドについて述べる。
 ジャンプシフトに必要な最低限の強さは普通16点だが、パートナースーツに
強いサポートを持っていたり、強力なスーツがあるハンドではこれより少なく
ても良い。

  AJ93 5 AK10542 73

1Hには2Dレスポンスだが、1Sに対しては3Dとジャンプシフトする価値
がある。

  AKJ973 64 AQ2 105

どの1オープンに対してもジャンプシフトする価値がある。

  Q7 AQ65 K84 AJ108

これはジャンプシフトできるバランスハンドのミニマムである。
 ジャンプシフトするかどうか境界上のハンドでの考え方は、点数やスーツの
強さといったことではなく、ジャンプシフトしないと次のビッドが不可能にな
ってしまわないかという点が重要である。

  AKJ973 64 AQ2 105

1Hオープンに1Sしかレスポンスせず、パートナーが次に2Dとリビッドし
たと仮定してみよう。ここで何とビッドすべきだろうか? 3Sはノンフォー
シングだし、4Sではビッドが終わってしまいスラムルーズの可能性がある。
従って、3Cとフォーススーツをビッドせざるを得ないが、とてもこのような
ハンドを示すとは言い難い。

  95 AKJ82 KJ6 K63

このハンドも1Dにジャンプシフトしないと、次の回、ほとんどのビッドに対
して満足のいくビッドをすることができない。例えば、2Dリビッドに対し、
3Cと貧弱なクラブでフォーシングをかけるはめになってしまうだろう。
 一方、これとは対照的なハンドもある。

  10 A105 KQ73 AQ743

1Sオープンに対し、ハンドの特徴を知らせるためにゆっくりビッドした方が
良い。2Cに対するパートナーのいかなるリビッドに対しても3Dというフォ
ーシングビッドがあるから困ることはない。

  K1084 J AJ63 AK83

同様に1Hには2Cが最上のビッドである。これでどのようなビッドの展開に
も対処することができる。ここで1Sや2Sとは、くれぐれもレスポンスしな
いようにすべきである。強いハンドで弱いスーツをビッドするのは、特にジャ
ンプシフトにおいて、好ましくない。これは、AxxxとJxxxはゲームに
は十分なトランプであろうが、スラムには役に立たないことを考えれば明らか
であろう。

  A753 K6 A1052 AKJ

1Hに対して2Sや3Dではなく、3Cとジャンプシフトする。スペードやダ
イヤをビッドしてサポートされると、トランプの質を心配しなければならなく
なる。スペードやダイヤモンドはパートナーにビッドする機会を与える方が良
い。もし、パートナーがクラブをレイズしてきた場合にはハートかノートラン
プでプレーすれば良い。
 同様に、強いトランプサポートに基づいてジャンプシフトする時は、コント
ロールのあるスーツを選ぶ。

  K2 AJ87 AK5 Q1073

二つの理由から1Hには3Dとジャンプする。パートナーのダイヤモンドのコ
ントロールに関する危惧を解消できることが一つ、もう一つは互いにクラブに
2ルーザーあるハンドで6Hをビッドする危険を減らすことができることであ
る。


4 パストハンドによるジャンプシフト
 最初パスしたプレーヤは、パートナーのオープンスーツとフィットしていな
い限り、ジャンプすることはできそうにない。パストハンドによるジャンプシ
フトは、漠然と強さを示すのではなく、オープナースーツのサポートと役に立
ちそうなサイドスーツを保証するビッドとして使われる。これはワンラウンド
フォーシングでしかなく、ゲームビッドするかどうかの判断はオープナーにま
かされる。

  K854 83 AQ843 95

サードハンドでパートナーは1Sオープンした。3Dとジャンプシフトし、ス
ペードのサポートと良いダイヤモンドを示す。これに対して、パートナーが3
Sしかビッドしなければパスする。
 パートナーは次のようなハンドを持っていたとしよう。

  AQ92 A7 K105 10742

これはミニマムのオープンであるが、トランプのアナーとダイヤモンドのフィ
ットに基づいて4Sをビッドできる。

  AQJ106 KQ7 952 Q8

前のハンドよりは良いハンドであるが、ダイヤモンドの持ち方が悪く、トラン
プの強さは過剰であるから3Sでサインオフする。

  AJ92 AK5 92 K763

ダイヤモンドが特にフィットしているわけではないが、HCPがあり、パートナ
ーが3Sまでレイズできる価値を示しているのであるから、4Sとビッドして
良い。
 時にはオープナーがトライアルビッドをする機会に恵まれることがある。

  W      E
  1064   8
  AJ873  Q952
  KJ2    A73
  Q5     KJ843

  W   E
      P
  1H  3C
  3D  4H

Eのダイヤモンドとスペードが入れ替わっていれば、4Sは魅力的なコントラク
トとは言い難いことに注意して欲しい。
 パストハンドでは、ダイレクトにゲームレイズする価値を持っている場合でも
ジャンプシフトをするべきである。

  K1094 6 A7432 K93

パートナーのサードハンド、フォースハンドの1Sオープンに対して4Sをビッ
ドする価値がある。従って3Dとフォースし、パートナーが3Sとサインオフし
ても4Sにレイズする。
 P-1S-3D-4Cのように4レベルのニュースーツは、常にスラムを示唆
するビッドである。3レベルでは単なるゲームトライにすぎない。

以上

 次回は、「オープナーのリビッド」です。

成田です。
*
塩谷さんのシリーズものに対するレス(ちゃちゃ?)です。
*
(最後の部分)
> 時にはオープナーがトライアルビッドをする機会に恵まれることがある。
>
>  W      E
>  1064   8
>  AJ873  Q952
>  KJ2    A73
>  Q5     KJ843
>
>  W   E
>      P
>  1H  3C
>  3D  4H
>
>Eのダイヤモンドとスペードが入れ替わっていれば、4Sは魅力的なコントラク
>トとは言い難いことに注意して欲しい。
*
ちゃちゃですが、4Sは4Hの誤記と思います。
*
> パストハンドでは、ダイレクトにゲームレイズする価値を持っている場合でも
>ジャンプシフトをするべきである。
*
→これはスラムを逃すかもしれないから、ですよね。
*
>
>  K1094 6 A7432 K93
>
>パートナーのサードハンド、フォースハンドの1Sオープンに対して4Sをビッ
>ドする価値がある。従って3Dとフォースし、パートナーが3Sとサインオフし
>ても4Sにレイズする。
> P-1S-3D-4Cのように4レベルのニュースーツは、常にスラムを示唆
>するビッドである。3レベルでは単なるゲームトライにすぎない。
*
#成田が2/1GFのSys.(コンベンションだらけ)に毒されている?
#そうですね。塩谷さんのACOL記事を読んでいても、
#「わあ、エコールって難しかったんだ」と思いますから。
#(でも成田は一時期、バリバリのエコールユーザでしたが。)
*

塩谷です。

 >Eのダイヤモンドとスペードが入れ替わっていれば、4Sは魅力的なコントラク
 >トとは言い難いことに注意して欲しい。
Narita> *
Narita> ちゃちゃですが、4Sは4Hの誤記と思います。

 誤記のご指摘ありがとうございます。「ちゃちゃ」どころではありません。
貴重です。またあったらお願いします。

 > パストハンドでは、ダイレクトにゲームレイズする価値を持っている場合でも
 >ジャンプシフトをするべきである。
Narita> *
Narita> →これはスラムを逃すかもしれないから、ですよね。
Narita> *

 そうです。

#リースの文章に言葉を補おうかと思ったのだが、何と補おうかと考えている
うちに、マ、イイカになってしまった。

---
#7
 エコールシステム入門-その7


<オープナーのリビッド>
 四種類のリビッドがあり、そのうち三つまではリミットビッドである。

★ノートランプのリビッド
 バランスハンドを示し、もっとも良く点数の範囲を表すビッドである。

★レスポンダースーツのレイズ
 エコールにおいて、ダイレクトレイズはすべてハンドの強さを余すところな
く示すリミットビッドである。

★オープナースーツのリビッド
 このビッドもリミットビッドであるが、2および3レベルのリビッドは広い
範囲のハンドをカバーする必要があることから、前述の二つに比べやや不正確
である。

★スーツテークアウト
 普通のスーツテークアウトは、広い範囲をカバーするビッドであるが、無制
限というわけではない。ニュースーツでのジャンプはゲームフォーシングであ
る。

 以上の四種類のビッドをどう扱うかは、基本的に次のように考える。もし、
最初の三通りのビッドの一つでハンドを都合良く示すことができれば、これを
選ぶ。できなければ、スーツテークアウトし、次の回にハンドを詳しく示す。
 次の順番で四種類のビッドを色々なオークションに当てはめてみよう。
  1 1オーバー1レスポンスに対して
  2 2オーバー1レスポンスに対して
  3 ジャンプシフトに対して
  4 レイズに対して
  5 NTレスポンスに対して


1 1オーバー1レスポンスに対して
 まず、パートナーのミニマムの強さを考えてみよう。普通は6点のはずであ
る。この仮定に基づいてリビッドする。パートナーがもっと強ければそのうち
に明らかとなる。もっと弱かったとしても、それはパートナーの責任である。

★NTリビッド
 一般的に、2NTができる目安が22-23点、3NTが25-26点、24点は境界線
である。33点あれば6NTがプレーできる。
 NTハンドの評価にあたっては、長いスーツのフィット、コントロール、そ
れにスポットカードが点数の価値以上にトリックを取れるかどうかの重要な要
因である。20点と4点が向かい合うよりは、12点と12点というように二つのハ
ンドの点数が平均して分布しているのは強みである(分散原理と呼ばれる)。
更に、ディフェンダーの一方に点数の大部分が集中している場合の方が3NT
が作りやすいのも確かである。
 「その4」で述べたように、1NTリビッドの基準はバルネラビリティによ
り異なり、ノンバルでは15-16、バルでは12-14の平均したハンドを示す。
 場合によっては、6枚スーツでも1NTが最上のリビッドとなることがある。

  K7 63 AJ7 KQJ853

1C-1Hの後、ノンバルなら1NTとリビッドする。2Cリビッドには戦術
的にオープンしたハンドも含まれ、ビッドが示すハンドの範囲が広くなりがち
である。この範囲をできるだけ限定するために、他のビッドができる場合は、
可能なかぎり、同じスーツでのリビッドは避けるようにする。
 2NTリビッドには良い16点から18点、3NTには19点から20点が必要であ
る。この数字は、レスポンダーは通常最低6点持っているという仮定と一致し
ていることに注目して欲しい。

★レスポンダースーツのレイズ
 パートナーのメジャーを2、3もしくは4レベルまでレイズできるハンドで
あれば、他のリビッドを考慮する必要は全く無い。

  AJ87 10962 5 AQ106

1Cオープン、パートナーの1Hレスポンスの後、80日間世界一周といった探
索のビッドをすべきではない。2Hとレイズしてハンドを示す。

  K82 7 A10643 KQ92

1D-1Sの後は2Sにレイズする。クラブのKがAに替われば、2Sには強
すぎるから2Cが妥当である。
 レイズする際に迷う時はミニマムオープンのハンドと関連付けて考える。ハ
ンドを1トリックづつ弱くしていく毎に、まだオープンしレイズすることがで
きるかということを考えてみると良い。

  KQ75 AK4 96 AQJ4

1C-1Sの後、どこまでレイズする価値があるだろうか。ハートのAKを取
り去ってもまだオープンしレイズするだけの価値がある。従って、確実なトリ
ックが二つあるということになり、4Sまでレイズするに十分なハンドという
ことになる。ハートKが無い場合は3Sまでレイズできる。
 ハートがKxxの場合はどうであろうか。

  KQ75 K43 96 AQJ4

これは2と3へのレイズの境界線上にある。このようなハンドでは、次の考え
方を勧める。トランプが強いときは強くビッドし、そこそこのトランプの時は
低くビッドする。上のハンドでは、3Sとビッドする。
 パートナースーツのレイズに当たっては、点数に影響され過ぎないように注
意しなければならない。

  1053 AQ62 6 AK1094

1C-1Hの後、3Hとビッドすべきである。LTC(ルーザートリックカウン
ト)での基準は、7ルーザーでシングルレイズ、6ルーザーでダブルレイズ、
5ルーザーでゲームレイズである。レスポンダーのシングルレイズが9ルーザ
ーであるのと同様に、1レベルレスポンスは9ルーザーである。

★オープナースーツのリビッド
 エコールプレーヤがライトオープンするのは、長く強いスーツを持つ時であ
る。このようなハンドは、最低のレベルでそのスーツをリビッドすることによ
り示す。従って、ノーマルなオープンハンドで同じリビッドをするのは原則と
して好ましくない。比較的平均したハンドでは1NTを選ぶべきであることは
既に述べた。
 最初のスーツのリビッドか、弱いセカンドスーツのビッドかというハンドで
は次にように自問してみれば良い。良いスーツがあったのでオープンしたのか、
それとも2スーターゆえオープンしたのか?

  7 KJ10643 98 AJ72

1H-1Sの後は、2Hとリビッドすべきである。ハートがそもそもオープン
した理由だからである。しかし、このことからミニマムオープンした時は必ず
同じスーツをリビッドしなければならないという結論を導き出してはならない。

  10 AK652 1087 KJ104

長いスーツにハイカードのある5431の柔軟なハンドであることがオープン
した理由である。そこで、1H-1Sの後は、2Cとリビッドする。単に強さ
を示すだけのために最初のスーツをリビッドするのは最悪のビッドの一つであ
る。
 1オーバー1レスポンス後の3レベルのジャンプは、強いがノンフォーシン
グである。このビッドは、6から7プレイングトリックあり、ノーマルなオー
プンハンドより1トリック分ハイカードで強いハンドを示す。

  Q9  A4 95 KQJ10432

このハンドは確かに7プレイングトリックあるが、3Cへのジャンプは勧めら
れない。あまりに広い範囲のハンドをジャンプリビッドが示すことになるから
である。確かにトリックの観点から2Cリビッドは不十分であるが、たとえパ
ートナーがパスしたとしても、オポーネントがバランシングしそうであるから、
もう一度ビッドできる機会はあるだろう。
 次のハンドがマイナーで3にジャンプするミニマムである。

  A8 104 AKQ1083 Q86

1D-1Hに3Dとジャンプする。3NTの可能性が高いハンドであるが、パ
ートナーの助け、少なくともアンビッドスーツに長さが欲しい。このハンドと
ほぼ同じ価値でもアンビッドスーツが少し強いハンドでは、多少点数が足りな
くても、3Dではなく2NTをリビッドすべきである。
 メジャーでのジャンプはゲームの可能性がいっそう高くなっているので、も
う少し弱い手でもなされる。

  K7 AJ10864 AQ2 93

1H-1Sの後、3Hとリビッドする。このハンドは6.5トリック弱しかない
が、スペードKは役に立つし、2Hには確かに強すぎる。ハートとダイヤモン
ドが入れ替わったハンドでは2Dとリビッドせざるを得ず、エコールでは扱い
にくいハンドとなる。
 メジャーでの4レベルへのジャンプは、前述と同じタイプでプレイングトリ
ックのやや多いハンドを示す。

★オープナーのスーツテークアウト
 ミニマムレベルのニュースーツのビッドは強さを示すものではない。1H-
1S-2Dというシークエンスはかなり良いハンドで行われることがある反面、
ミニマムの2スーターでもされる。このビッドはノンフォーシングであり、レ
スポンダーは弱い手ではパスして良い。
 2レベルでビッドされたセカンドスーツのランクが最初のオープンスーツよ
り高い場合は「リバース」と呼ばれ、ある程度の強さが必要である。

  K5 AQJ8 KQ962 76

この15点のハンドが1D-1S-2Hというシークエンスのぎりぎり最低限の
強さである。
 例外的な良いディストリビューションであれば、ハイカードが不足していて
もリバースできる。

  10 KQ974 4 AK10842

1C-1Sに2Hとリバースするのをためらってはならない。リバースには強
さが必要ということは、パートナーが弱いハンドでオープンスーツへのプリフ
ァーを望んだ時、3レベルでビッドしなければならなくなるという事実の単純
な帰結でしかない。従って、パートナーが弱くてオープンスーツに戻した時に
問題が起こるかどうかだけがリバースの基準なのである。なお、リバースは1
ラウンドフォーシングである。
 1オーバー1レスポンスへのジャンプシフトはゲームフォーシングである。

  AJ92 10 AKJ43 AKJ

1D-1Hの後、2Sとビッドする。「パートナーは多分このビッドをパスし
ないだろう」という理由で1Sとビッドするのは誤りである。この時点で手綱
を引き締めたところで得ることはなく、今しなくともいずれジャンプしなけれ
ばならないだろう。このように強いハンドをジャンプシフトして示さないなら
ば、他のシークエンスにゆがみをかけてしまうことになる。あまりに広い範囲
のハンドを同じシークエンスで示さないようにすることが良いビッドの基本で
ある。このように単純なことを認識しないのでアメリカのプレーヤはビッドで
多くの問題を抱え込むのである。
 一般に、ゲームが確実ならジャンプシフトすべきである。悪いコントラクト
の恐れがある時は、ダイレクトにゲームをビッドするのではなく、ジャンプシ
フトによるのが良い。

  QJ107 KQ3 AKJ2 K3

1D-1Hに2Sとジャンプシフトする。3NTとビッドする点数を持ってい
るが、4Hまたは4Sの方が良いコントラクトかもしれない。
 また、強すぎる場合もジャンプシフトするのが良い。

  AQ72 5 A102 AKJ106

1C-1Sに3Hとジャンプシフトする。このハンドではスペードが最終コン
トラクトになることは分かっており、4Sをビッドする十分な強さがある。そ
れならばもう一押ししてハートショートを示し、次にダイヤモンドをキュービ
ッドすることでハンドを十分に示すことができる。
 なお、この3Hはリバースジャンプであり、現代的なエコールではスプリン
ターであってハートショートを示す。ジャンプシフトがスーツを示すか、スプ
リンターとなるかの違いは、そのスーツと強さを示すのに「不要」なジャンプ
をしたかどうかである。上記のシークエンスの場合、ハートスーツと強い手を
示すには2Hとリバースすれば十分である。従って、3Hは不要なジャンプと
いうことになり、スプリンターとなる。このようなビッドとしては、他にダブ
ルジャンプが良く知られている。
 しかし、リバースジャンプがスプリンターになるということは、最近始めら
れたことであり、旧来のエコールでは、また人によっては、通常のジャンプシ
フトとして扱われ、スーツを示すことになるので、初めての人と組む時は注意
すること。



以上

 次回は、「オープナーのリビッド-続き」です。

---
#8
 今までの調子でゆくと完成が3月くらいになってしまうので、少しスピード
アップします。週一だったのを、時々週二で送ります。

-----------------------------------
エコールシステム入門-その8


<オープナーのリビッド-続き>

2 2オーバー1レスポンスに対して
 リビッドの選択の原則は、1オーバー1レスポンスの後と同じである。強さ
を限定し形を良く示すビッドがあれば、それが最上のビッドである。

★NTのリビッド
 2レベルレスポンスは8点以上を保証する。従って、2NTリビッドには15
点が必要である。上限は悪い17点で、かなり平均したハンドを示す。

  KJ4 AK1072 AJ9 72

1H-2Cには2NTとリビッドする。
 セカンドスーツがあっても2NTリビッドするのをためらってはならない。

  AJ983 AJ8 KQ73 10

1S-2Cの後、2NTは2Dよりはるかに意味のあるビッドである。ハート
とダイヤモンドが入れ替わっていても2NTとリビッドし、まれに悪い結果を
招いても責任を担おう。それよりも、4枚のメジャーを隠してNTをプレーし
た方が頻繁に利益を得ることができるだろう。
 2レベルレスポンスの後の3NTリビッドは良い17点からスラムの無さそう
な20点を示す。これは大変良いビッドだから寄り道してKJxxといったセカ
ンドスーツをビッドするようなことをしてはならない。

★レスポンダースーツのレイズ
 1レベルレスポンスのレイズと比較して大きな違いは、良いトランプサポー
トは必要が無いことである。パートナーは普通5枚スーツを持っているし、さ
もなくばいかなる事態にも対処できる強さがあるはずである。

  AQ832 54 K106 AJ8

1Sオープンし、2Hに対しては2Sリビッド以外考えられないが、2Cに対
しては3Cとレイスする。前回述べたように、ノーマルな強さのハンドでは同
じスーツのリビッドはできるだけ避ける。また、4枚クラブと4枚スペードで
は1Cオープンするから、この3Cリビッドで事実上5枚スペードを示すこと
ができる。

  AK104 KJ 8653 A92

1S-2Hに対しては、3Hが最上の選択である。
 1H-2C-4Cのようなダブルレイズはフォーシングである。

★オープナースーツでのリビッド
 前にも述べたが、強さを示すことができるビッドがあるなら、同じスーツを
繰り返しビッドしてはならない。

  AK975 74 AJ83 96

1S-2Hの後では、3レベルで新しいスーツをビッドするほど強くないから
2Sしかビッドできないが、1S-2Cに対してはダイヤモンドを示すべきで
ある。
 パートナーが2レベルでビッドした時は、ジャンプリビッドの要件は多少低
くなる。

  K8 AJ10962 A93 Q8

1Sレスポンスに対しては2Hしかビッドできないが、2Dまたは2Cに対し
ては3Hとビッドする価値がある。2レベルレスポンスに対するジャンプリビ
ッドもフォーシングではないが、最初のレスポンスが基準以下でない限りパー
トナーはもう一度ビッドするであろう。

★スーツテークアウト
 パートナーが2レベルでレスポンスすれば、スーツテークアウトは1ラウン
ドフォーシングである。これは、以前のエコールではノンフォーシングであっ
たが、1ラウンドフォーシングとすると少し強めのオープナーのハンドがさば
きやすくなる。

  K4 AK752 KJ3 QJ4

1H-2Cに対して、オープナーは3NTとゲームに突っ込む強さがある。し
かし、4Hの方が良いコントラクトかもしれず、2Dとフォーシングビッドを
してパートナーの反応を見ることができる。
 パートナーの2レベルレスポンスに対しては、リバースの要件は低くなる。

  J7 KQ84 AK743 Q6

ノンバルなら1Dとオープンし、2Cには2Hリバース、1Sには1NTリビ
ッドを予定する。バルなら1D-1Sの時リビッドに困るから、1Hオープン
が優れているだろう。
 3レベルの新しいスーツは2ラウンドフォーシングである。"promise rebid"
とアメリカで呼ばれているもので、オープナーはもう一度ビッドすることを保
証している。最低の強さはリバースよりやや強い。

  Q2 AK984 J7 KQ54

1H-2Dの後の正しいビッドは2NTである。ダイヤモンドJがKに変われ
ば、3Cが妥当なビッドである。
 このような3レベルのビッドは、強さを示すために3枚スーツで戦術的に使
われることが多い。次のようなハンドでは非常に役立つ方法である。

  AQ1087 53 A106 AK5

1Sオープンし、パートナーの2Dには3Cが安全で重宝である。


3 ジャンプシフトに対して
 パートナーのジャンプシフトは、強さに上限は無く、スラムの可能性がある。
ビディングスペースへの配慮がリビッドの組み立て全体に影響を与える。NT
のリビッドでない限り、オープナーが正確にハンドを示すことは稀である。ミ
ニマムのハンドでも、スラムを意図しているような良いハンドでも同じビッド
をすることがある。

★NTリビッド
 一般原則は、普通のレスポンスに対して行うのと同じリビッドをするという
ことであるが、必然的に1レベル高くなる。例えば、1D-2H-2NTは、
1D-1H-1NTと同じ強さを示す。同様に、1S-3C-3NTは、1S
-2Cに2NTをビッドするような良いハンドを示す。
 1C-2H-3NTは、サインオフでもなければ桁違いに強いハンドでもな
い。1C-1Hに2NTとジャンプするハンド、すなわち17-18くらいを示す。
その一方、1C-2H-2NTは良いハンドで戦術的にビッドされることがあ
る。

  AQ3 Q83 K5 AQ1053

1C-2Hの後、どうビッドするか。17点あり、パートナースーツにサポート
もあるので、スラムは必ずあるはずである。ここでの最善は、2NTで時間を
稼ぎ、パートナーの意図を明らかにすることである。当面パートナーに誤解を
与えるかもしれないが、パートナーの次のビッドは重要な情報となるであろう。

★レスポンダースーツのレイズ
 パートナーのジャンプシフトをゲームにならない範囲でレイズするビッドは
強さの上限がない。ミニマムかもしれないし、強いこともある。
 ダブルレイズは、素晴らしいトランプサポートがあるがそれ以外はミニマム
のハンドを示す。

  74 KQ105 AJ9532 8

1D-2Hに対しては、4Hにレイズする。この種のジャンプレイズをする機
会をのがしてはならない。このビッドでしか、ハートAxxxのパートナーに
トランプルーザーが無いことを納得させることはできそうにない。

★オープナースーツのリビッド
 ジャンプシフト後のリビッドにも上限は無い。ジャンプリビッドはソリッド
スーツを示す。ゲームレベルでされた場合、更にハンドは限定される。

  62 AKQJ83 98 QJ3

1H-3D、もしくは1H-2Sの後、4Hへのジャンプでハンドを示すこと
ができる。

  A2 AKQJ83 98 QJ3

今度は、ジャンプシフトの後、スラムに行くのはほぼ確実であるから、さしあ
たって3Hとビッドするべきである。

★スーツテークアウト
 ジャンプシフトの後では、オープナーは時としてリビッドの制約を無視して
セカンドスーツをビッドすべきである。

  AK975 74 AJ832 9

1S-2Hには2Sとしかビッドできないが、1S-3Hには4Dとビッドす
る。これは2つのスーツのアナーに加えてクラブシングルトンがあり、コント
ロールが多いことによる。


4 レイズに対して
 シングルレイズには平均した16点はパスすべきである。2NTリビッドは、
5枚スーツの16点もしくは17-18点を示唆する。
 メジャーでオープンしたオープナーが3レベルでセカンドスーツをビッドす
ることをトライアルビッドと呼ぶ。これは、パートナーのレイズが弱くない限
り4をビッドするのを求めている。トライアルビッドは、通常オープナーがサ
ポートもしくはラフを必要とするスーツで行われる。

  A7 KQ1082 K4 K1032

このハンドで、1H-2Hの後のトライアルビッドは3Cである。
 マイナーオープンの場合は、2巡目のメジャーのビッドはストッパーを示し、
3NTトライの意味合いを持つが、レスポンダーはこれが純粋にスーツである
可能性も考慮し、4枚サポートがあればレイズすべきである。

  AK42 AQ9 KJ873 5

1D-2Dの後、オープナーはスペードのゲームの可能性を追及する。

  7 AKJ AKJ852 J107

1D-2Dの後、3NTもしくは5Dを狙う動きとして2Hとビッドする。
 1S-2S-3Sのようにオリジナルスーツを3レベルでリビッドするのは
セカンドスーツのビッドに比べ消極的である。

  AQ10764 KQ6 K83 3

1S-2Sの後、3Sとビッドする。
 このシークエンスは、マッチポイントにおいては、相手のバランシングビッ
ドを防ぐ戦術的ディフェンシブビッドとして使うのが良い。これはバービッド
と呼ばれ、スーツが特にハートの場合、有効である。

★3レベルのレイズに対して
 ジャンプレイズはノンフォーシングではあるが、オープナーがパスすること
はほとんどない。オープンはしたが、戦術的オープンだったか、プレイングト
リックの少ない4432、5332といったタイプのハンドの時のみパスとな
ろう。

  Q3 AK83 A952 963

  653 AKJ72 K86 J4

いずれも1H-3Hの後、パスする。


5 NTレスポンスに対して
★1NTレスポンスに対して
 パートナーが1NTレスポンスし、オープナーが弱いかたよったハンドを持
っている場合、テークアウトすべきだろうか。多くのプレーヤがこの判断を誤
る。
 まず第一に注意しなければならないことは1NTでは満足できないからとい
って逃げ出すのは間違いだということである。

  AQ1052 Q84 K865 J

1S-1NTの後、パスする。1NTでマイナスのスコアが心配かもしれない
が、2Dや2Sとビッドしてはならない。どちらのビッドも2つの理由から誤
りである。第一にノンフォーシングで強さを示すビッドではないとはいえ、コ
ントラクトのレベルを上げるという意味において積極的である。第二に、たと
え2Dもしくは2Sでプレーできたとしても、プラスのスコアの可能性が増え
るという保証は何もない。1Sに対して1NTとレスポンスしたパートナーは
スペードが短いことが多く、オープナーのシングルトンスーツを4、5枚持っ
ていることがしばしばあるからである。
 最後に指摘した点を更に詳しく見てみよう。次の二つのハンドを比較して欲
しい。

  KQJ72 82 AQJ6 J5

1S-1NTの後、2Dをビッドする根拠は全くない。パートナーは丁度逆の
2425ハンドを持つ可能性が高い。

  97 J6 KQJ73 AQJ4

1D-1NTの後、パートナーがメジャーをビッドしなかったことはマイナー
に6枚、おそらくこれ以上持っていることを示唆しているから、2Cとビッド
するのは正しい。
 パートナーの1NTレスポンスに対して、バランスしたハンドではリビッド
に問題はない。パートナーに6-9点を仮定して、17点からそこそこの18点で
2NTにレイズする。
 1H-1NT-3Hのようなオープナースーツでのジャンプはノンフォーシ
ングである。1H-1NT-3Dのような新しいスーツでのジャンプは、1ラ
ウンドだけフォーシングである。

  KQ6 AQ842 AJ87 6

1H-1NTに3Dとビッドする。この後、パートナーが3Hとしかビッドで
きなければパスする。

★2NTに対して
 スーツテークアウトは全てフォーシングであるが、ゲームフォーシングでは
ない。1H-2NT-3D-3Hの後、オープナーはパスしても良い。このシ
ークエンスでの3Dは5枚ハートを示すために3枚でビッドされることがある。

  82 AQ963 AK4 J84

1H-2NTの後、3Dとビッドする。3枚サポートがあれば3NTより4H
の方が良いコントラクトである可能性が高い。
 1H-2NT-3Hといったオープンスーツのミニマムのリビッドは、消極
的なビッドである。コントラクトに不満足というだけの理由でレベルを上げる
ことに対して再度警告したい。

  AJ1074 5 Q82 KJ83

サードハンドで1Sとオープンしたところ、パートナーは勘悪く2NTとレス
ポンスした。安全そうなコントラクトを見つけることを期待して3Sや3Cと
ビッドしてはならない。パートナーが最善を尽くすことを期待しよう。この場
合に限っては、ノンフォーシングであった方が好ましいが、3Cはフォーシン
グであることを忘れてはならない。

★3NTに対して
 メジャーの4レベルリビッドは3NTよりこのコントラクトの方が好ましい
という以上の意味は持たないのに対し、4レベルのマイナーは建設的でスラム
トライである。
 1D-3NTの後、オープナーが4Dとビッドしたとしよう。この後、レス
ポンダーはレイズ、もしくはキュービッドをするか、4NTとサインオフする。
 5のマイナーへのジャンプは、長いがハイカードの少ないハンドを示す。

  4 A3 QJ96432 K87

1D-3NTに対しては、5Dをビッドする。

 次回は、「レスポンダーの2回目のビッド」です。

成田です。
*
塩谷さん、今回のも、ながーい力作ですね。
*
>  AJ983 AJ8 KQ73 10
>
>1S-2Cの後、2NTは2Dよりはるかに意味のあるビッドである。ハート
>とダイヤモンドが入れ替わっていても2NTとリビッドし、まれに悪い結果を
>招いても責任を担おう。それよりも、4枚のメジャーを隠してNTをプレーし
>た方が頻繁に利益を得ることができるだろう。
*
どっかの人が、MAJ5-4で1NTオープンするのに似ていますねえ。
この4行は、成田はあまり賛成しかねます。
CもSIN、というのも気に入らないです。
*
> 2レベルレスポンスの後の3NTリビッドは良い17点からスラムの無さそう
>な20点を示す。これは大変良いビッドだから寄り道してKJxxといったセカ
>ンドスーツをビッドするようなことをしてはならない。
*
これも、2/1精神(強い手はゆっくりビッド)に反するものなので、
非常に抵抗があります。これがシステムの違いなのでしょうが。
*
>  AQ832 54 K106 AJ8
>
>1Sオープンし、2Hに対しては2Sリビッド以外考えられないが、2Cに対
>しては3Cとレイスする。前回述べたように、ノーマルな強さのハンドでは同
>じスーツのリビッドはできるだけ避ける。また、4枚クラブと4枚スペードで
>は1Cオープンするから、この3Cリビッドで事実上5枚スペードを示すこと
>ができる。
*
これも抵抗がありますゥ。
我々は、3枚Cの時は、16HCPを保証しています。
従って、これは2S。
ああ、成田は、エコールとは縁遠くなりにけり、か。
*
>  AK104 KJ 8653 A92
>
>1S-2Hに対しては、3Hが最上の選択である。
> 1H-2C-4Cのようなダブルレイズはフォーシングである。
*
おお、これはおもしろい。
エコールでやっていて、この手を持ったら、
確かに1S-2Hに、3Hとビッドしそう。
自分がビッドした2スートの枚数の合計が、6枚
(残りの方が7枚、と多い)というところが面白い。
*
> まず第一に注意しなければならないことは1NTでは満足できないからとい
>って逃げ出すのは間違いだということである。
>
>  AQ1052 Q84 K865 J
>
>1S-1NTの後、パスする。1NTでマイナスのスコアが心配かもしれない
>が、2Dや2Sとビッドしてはならない。どちらのビッドも2つの理由から誤
>りである。第一にノンフォーシングで強さを示すビッドではないとはいえ、コ
>ントラクトのレベルを上げるという意味において積極的である。第二に、たと
>え2Dもしくは2Sでプレーできたとしても、プラスのスコアの可能性が増え
>るという保証は何もない。1Sに対して1NTとレスポンスしたパートナーは
>スペードが短いことが多く、オープナーのシングルトンスーツを4、5枚持っ
>ていることがしばしばあるからである。
*
これって、エコールだからですか?
成田には、2Dリビッド以外の何物でもないハンドに思えるのですが。
*
うーむ、エコールって、やはり難しい。
*

塩谷です。

成田> 塩谷さん、今回のも、ながーい力作ですね。

 御愛読、ご意見ありがとうございます。これからもどしどしお寄せください。

>   AJ983 AJ8 KQ73 10
>
>1S-2Cの後、2NTは2Dよりはるかに意味のあるビッドである。ハート
>とダイヤモンドが入れ替わっていても2NTとリビッドし、まれに悪い結果を
>招いても責任を担おう。それよりも、4枚のメジャーを隠してNTをプレーし
>た方が頻繁に利益を得ることができるだろう。

成田> この4行は、成田はあまり賛成しかねます。

 「賛成しかねる」というより、このメールの後でも次々とあきらかになるが、
成田君使用のシステムでは2Dと言わざるを得ないというだけのことでしょう。

成田> どっかの人が、MAJ5-4で1NTオープンするのに似ていますねえ。

 これとは全く違うでしょう。他のところとも合わせて考えれば、これがエコ
ール流の考え方=スーツクオリティ重視ということがわかるでしょう。
 それともこの発言は、皮肉なのか。

> 2レベルレスポンスの後の3NTリビッドは良い17点からスラムの無さそう
>な20点を示す。これは大変良いビッドだから寄り道してKJxxといったセカ
>ンドスーツをビッドするようなことをしてはならない。

成田> これも、2/1精神(強い手はゆっくりビッド)に反するものなので、
成田> 非常に抵抗があります。これがシステムの違いなのでしょうが。

 抵抗があってあたりまえでしょう。2/1は2レベルレスポンスはFGなんだ
から。エコールは8点でも言うのだから、上記のようになるのです。
 エコールは、一つのビッドが表わす強さの範囲をできるだけ限定する(リミッ
トビッドを多用する)、しかも各ビッドが範囲を均等に受け持つ(リミットビッ
ドを多用すれば必然的にそうなる)というのが、システム設計の思想なのです。

>  AQ832 54 K106 AJ8
>
>1Sオープンし、2Hに対しては2Sリビッド以外考えられないが、2Cに対
>しては3Cとレイスする。前回述べたように、ノーマルな強さのハンドでは同
>じスーツのリビッドはできるだけ避ける。また、4枚クラブと4枚スペードで
>は1Cオープンするから、この3Cリビッドで事実上5枚スペードを示すこと
>ができる。

成田> これも抵抗がありますゥ。
成田> 我々は、3枚Cの時は、16HCPを保証しています。
成田> 従って、これは2S。
成田> ああ、成田は、エコールとは縁遠くなりにけり、か。

 そのとおり。

>  AK104 KJ 8653 A92
>
>1S-2Hに対しては、3Hが最上の選択である。
> 1H-2C-4Cのようなダブルレイズはフォーシングである。

成田> おお、これはおもしろい。
成田> エコールでやっていて、この手を持ったら、
成田> 確かに1S-2Hに、3Hとビッドしそう。
成田> 自分がビッドした2スートの枚数の合計が、6枚
成田> (残りの方が7枚、と多い)というところが面白い。

 これも皮肉だナ。
 みなさん、ビッドスーツのハイカードの合計が11点と多いということに注目
しましょう。5枚メジャーは、逆に自分のビッドしたスーツには4点しかなく
て、残りのスーツに点数が固まっているということがしょっちゅうある(あー
ヤダヤダ)。

> まず第一に注意しなければならないことは1NTでは満足できないからとい
>って逃げ出すのは間違いだということである。
>
>  AQ1052 Q84 K865 J
>
>1S-1NTの後、パスする。1NTでマイナスのスコアが心配かもしれない
>が、2Dや2Sとビッドしてはならない。どちらのビッドも2つの理由から誤
>りである。第一にノンフォーシングで強さを示すビッドではないとはいえ、コ
>ントラクトのレベルを上げるという意味において積極的である。第二に、たと
>え2Dもしくは2Sでプレーできたとしても、プラスのスコアの可能性が増え
>るという保証は何もない。1Sに対して1NTとレスポンスしたパートナーは
>スペードが短いことが多く、オープナーのシングルトンスーツを4、5枚持っ
>ていることがしばしばあるからである。

成田> これって、エコールだからですか?

 スタンダードでも同じでしょう。

成田> 成田には、2Dリビッド以外の何物でもないハンドに思えるのですが。

 これは驚きました。パスしかないでしょう。そう言えば、成田君は1NTフ
ォーシングなのでパスできないんだ。

成田> うーむ、エコールって、やはり難しい。

 「思ったことを言いたいレベルまでビッドする」がエコール精神。面白いよ。

成田です。
*
先の成田コメントは、いくつか不適切な部分があったような
気がして、少し反省しています。以下、そのお詫びとともに、
成田の胸の内の詳細をば。
*
>   AJ983 AJ8 KQ73 10
>
>成田> この4行は、成田はあまり賛成しかねます。
>
> 「賛成しかねる」というより、このメールの後でも次々とあきらかになるが、
>成田君使用のシステムでは2Dと言わざるを得ないというだけのことでしょう。
*
システム、と言ってしまえばそれまでだと思いますが、
やはり普通の内容の4枚スート(セカンドスート)は示した方が
良いのではないか、と思ったのです。
AJxx,もKQxx、でも、普通の内容のスーツなので。
その心:
①もしかしたら、このスーツでスラムができるかも。
②パートナーが2NTリビッドした人のディストリの判断ミスをするかも。
*
>成田> どっかの人が、MAJ5-4で1NTオープンするのに似ていますねえ。
>
> これとは全く違うでしょう。他のところとも合わせて考えれば、これがエコ
>ール流の考え方=スーツクオリティ重視ということがわかるでしょう。
> それともこの発言は、皮肉なのか。
*
確かに上記の成田発言(MAJ5-4で.....)と、塩谷さんの記事とは、
ちょっと違います。皮肉のつもりでコメントした訳ではありませんので、
お気を悪くされましたら、ごめんなさい、です。
実は、昔、朝日新聞社杯のフライトAで、宮国さんに
MAJ5-4で1NTオープンされたのを、突然思い出してしまった、
それを文脈の主旨をかえりみずにコメントしてしまったのです。
すいません。
*
>>  AK104 KJ 8653 A92
>>
>>1S-2Hに対しては、3Hが最上の選択である。
>> 1H-2C-4Cのようなダブルレイズはフォーシングである。
>
>成田> おお、これはおもしろい。
>成田> エコールでやっていて、この手を持ったら、
>成田> 確かに1S-2Hに、3Hとビッドしそう。
>成田> 自分がビッドした2スートの枚数の合計が、6枚
>成田> (残りの方が7枚、と多い)というところが面白い。
>
> これも皮肉だナ。
*
この件に関しては、皮肉のつもりは毛頭なかったのですが。(ポリポリ,,,^^;)
成田がもしACOLでやっていたら、成田もこうビッドします。
単に、枚数が合計6枚なのに2スートをビッドした、という所に
面白さを感じただけなのです。
2/1では、こういうことは、まずもって起きないもので。
*
> みなさん、ビッドスーツのハイカードの合計が11点と多いということに注目
>しましょう。5枚メジャーは、逆に自分のビッドしたスーツには4点しかなく
>て、残りのスーツに点数が固まっているということがしょっちゅうある(あー
>ヤダヤダ)。
*
そうそう、これ、成田も感じています。
ここの部分は、昔4枚MAJ、ACOL、ブルークラブ、を使っていた
経験を少しでも活かし、現在のサイエンティフィックシステムに
できるだけ応用していこうと思っています、はい。
(最初から5枚MAJで始めた人との差を、ここの部分でつけようと
  思っていたりしますが。)
*
> まず第一に注意しなければならないことは1NTでは満足できないからとい
>って逃げ出すのは間違いだということである。
>
>  AQ1052 Q84 K865 J
>
>(中略)
>
>成田> これって、エコールだからですか?
>
> スタンダードでも同じでしょう。
>
>成田> 成田には、2Dリビッド以外の何物でもないハンドに思えるのですが。
>
> これは驚きました。パスしかないでしょう。そう言えば、成田君は1NTフ
>ォーシングなのでパスできないんだ。
*
これは、塩谷さんの大きな誤解です。
成田が1NT=F1を使っているから.....では無いですよお。(^^;)
4枚メジャーをやっていて、5枚Sで1Sでオープンしたら1NTレスが来た。
5332でない限り、パスしないのが、単に普通だと思ったのです。
理由:
①SPAの5ー3フィットがあるかもしれない。
②1Hオープンでなく、1Sオープン。
   (OPPがSPAなら、1NTパスも考えるが)
→「スタンダードでも同じ」っていうのも、変だなあ。
何か釈然としないですウ。
*
#CBTメンバーの会報は、年末に成田自宅に着する予定。
#従って、社内メールでの発送は、来年早々になります。
#今号は、しょっぱなに高松宮観戦記(執筆者:成田秀則)が
#あります。こんなに長い記事(6ページ)を、ちょブリではなく
#JCBL会報に書くのは始めてなのに、冒頭にあるのは
#目立ってしまってやだなあ、というのが第一感想です。
#いろいろと不満足な部分があるかと思いますが、
#次回のため(いつ?)にも、皆様からこの記事に対する
#ご批評を頂けるとうれしいです。よろしくお願い致します。
*

塩谷です。

> まず第一に注意しなければならないことは1NTでは満足できないからとい
>って逃げ出すのは間違いだということである。
>
>  AQ1052 Q84 K865 J
>
>(中略)
>
>成田> これって、エコールだからですか?
>成田> 成田には、2Dリビッド以外の何物でもないハンドに思えるのですが。
>
塩谷> これは驚きました。パスしかないでしょう。そう言えば、成田君は
塩谷>1NTフォーシングなのでパスできないんだ。

成田> これは、塩谷さんの大きな誤解です。
成田> 成田が1NT=F1を使っているから.....では無いですよお。(^^;)

 これは、私の皮肉なのでした。失礼しました。

成田> 5332でない限り、パスしないのが、単に普通だと思ったのです。
成田> ①SPAの5ー3フィットがあるかもしれない。

 もし、レスポンダーはスーツコントラクト向きの手なら、3枚で2Sと
レイズするだろうという考えが前提にあります。だから、パートナーはス
ペードが短いことが多い。また確率的にクラブが長いことが多い。
 また仮にスペード5-3フィットがあっても、スペード5連勝でもしよ
うものなら、1NTは簡単に出来てしまうでしょう。1NTというコント
ラクトは大変ディフェンスしにくいしろものだと思いませんか?

成田> ②1Hオープンでなく、1Sオープン。
成田>    (OPPがSPAなら、1NTパスも考えるが)

 これは、重要な視点ですネ。でも、1H-1NTとなった時、パートナ
ーが1Sレスポンスしないということから、マイナーに枚数を持っている
ことになります。それで、リース(ここの話は完全にリースの受け売りで
す)は、上記の例で、スペードとダイヤのツースーターにしたのでしょう。

成田> →「スタンダードでも同じ」っていうのも、変だなあ。
成田> 何か釈然としないですウ。

 たしかにスタンダードではこんなことは教えないので、変ですね。
 リースの本には、もっと変なことも沢山書いてあります。私として納得
できるやつを選んだり、多少アレンジして書いています。

---
#9
エコールシステム入門-その9


<レスポンダーの2回目のビッド>
 4回目のビッドがされる頃には、シークエンスの種類は数限りなくある。こ
の章では、主としてレスポンダーの2回目のビッドのフォーシング、ノンフォ
ーシングについてオープナーのリビッドと関連させて、次の順番で検討してい
く。
  1 オープナーの1NTリビッドに対して
  2 オープナーの2NTリビッドに対して
  3 オープナーの3NTリビッドに対して
  4 オープナーのレイズに対して
  5 オープナーのミニマムレベルのリビッドに対して
  6 オープナーのジャンプリビッドに対して
  7 オープナーのスーツテークアウトに対して
  8 オープナーのリバースに対して
  9 オープナーのジャンプシフトに対して


1 オープナーの1NTリビッドに対して
★レスポンダーのノンフォーシングリビッド
 大まかに弱いビッドから順番に触れてみよう。

  1D - 1H
  1NT- 2H

レスポンダーのハンドは弱く、オープナーは通常パスする。

  1D - 1H
  1NT- 2D

オープナーの最初のスーツに戻すのは、自分のスーツをリビッドするより若干
強い。はっきりと弱いハンドであれば最初にレイズしたはずだからである。

  1C - 1S
  1NT- 2D

スーツテークアウトは弱くも強くもないビッドである。ノンフォーシングであ
ってビッドする義務はないが、オープナーがスペードにプリファーしたりダイ
ヤモンドをレイズしたりすればレスポンダーはゲームを狙うこともありえる。

  1H - 1S
  1NT- 2NT

ゲームインビテーションで、強さはバルなら11-12、ノンバルなら9-10である。
2NTの後のオープナーの3Hまたは3Sはフォーシングである。

  1C - 1H
  1NT- 3H

1NTリビッドが12-14か15-16かに関わらず、強いインビテーションである。

  1D - 1S
  1NT- 3D

強いインビテーションであるが、フォーシングではない。強さはバルネラビリ
ティによるが、12-14の1NTに対しては次の例まで考えられる。

  AQ653 9 KJ83 1074

★レスポンダーのフォーシングリビッド

  1D - 1H
  1NT- 2S

レスポンダーのリバースは全てフォーシングである。

  1H - 1S
  1NT- 3H

両メジャーがビッドされている時のパートナースーツでのジャンプはフォーシ
ングである。前節で述べたようにマイナーでのジャンプがノンフォーシングな
のに対して、メジャーでのジャンプをフォーシングとするのは、次のようなハ
ンドで良いゲームコントラクトを見つけやすくするためである。

  KQ842 AJ7 Q6 752

3NTをビッドする価値はあるが、4Sまたは4Hの方がより安全なコントラ
クトかもしれない。

  1C - 1S
  1NT- 3H

ニュースーツでのジャンプは、これに匹敵する1H-1NT-3Cなどという
シークエンスと同様、1ラウンドフォーシングである。レスポンダーは次のよ
うなハンドを持っていることが考えられる。

  AK1042 Q10752 6 83

オープナーの1NTが12-14で、3Hに対し3Sしかビッドできなければレス
ポンダーはパスすべきである。従って、オープナーはパートナースーツの一方
に良いサポートがある場合はゲームをビッドしなければならない。


2 オープナーの2NTリビッドに対して
★レスポンダーのノンフォーシングリビッド
 レスポンススーツのリビッドが唯一の消極的ビッドである。

  1D - 1H
  2NT- 3H

  1H - 2C
  2NT- 3C

両ケースとも、ゲームは不確かだというメッセージを送っている。レスポンダ
ーのスーツは長いがハイカードを欠いていることが予想される。

★レスポンダーのフォーシングリビッド
 オープンスーツに戻したり、ニュースーツをビッドするのは1ラウンドフォ
ーシングである。

  1C - 1H
  2NT- 3C

レスポンダーは強いこともあるが、オープナーが3Hの場合、パスしても構わ
ない。

  1S - 2C
  2NT- 3S

事実上のゲームフォーシングである。


3 オープナーの3NTリビッドに対して
 スラムへ全く積極性を示さないビッドと、少なくとも前向きのビッドとの区
別を示そう。

★積極性を示さないビッド
 レスポンダーがメジャーをリビッドするのはサインオフである。

  1D - 1H
  3NT- 4H

★前向きのビッド
 上記のシークエンスを除いて、3NTからは逃げないということが原則であ
る。次のビッドは、軽い建設的なシークエンスである。

  1C - 2S
  3NT- 4H

スペードJ10の5枚とハートKの5枚で3NTを邪魔してはならない。オー
プナーの3NTはクラブスーツに基づいていることが考えられるからである。
このシークエンスには少なくともメジャーにAJの5枚とKの5枚くらいは欲
しい。
 パートナーのメジャーに戻すのも積極的なビッドである。

  1H - 1S
  3NT- 4H

弱いハンドでは、レスポンダーは最初にレイズしたであろうことを思い出して
欲しい。レスポンダーのハンドは次のようなものだろう。

  AQ654 K73 J8 985

★フォーシングのビッド
 4レベルのマイナーはフォーシングである。

  1S - 2C
  3NT- 4C

この4Cは強いビッドであるから、オープナーはハンドによっては6をビッド
して構わない。3NTの後5Cにジャンプするのはもっと弱いハンドを示す。


4 オープナーのレイズに対して
★レスポンダーのノンフォーシングリビッド
 3レベルでオープナーのマイナーに戻すのは積極的ではあるがノンフォーシ
ングである。

  1D - 1S
  2S - 3D

レスポンダーのスペードは4枚の可能性が高いとオープナーは考えるべきであ
る。レスポンダーのハンドはゲームの望みのある次のようなものであろう。

  AQ85 42 K1074 Q84

 オープンスーツがメジャーであっても、このシークエンスはノンフォーシン
グである。

  1H - 2C
  3C - 3H

レスポンダーは、3へのダイレクトレイズと同じくらいの強さを持っているが、
トランプサポートは3枚である。次の例がミニマムであろう。

  105 A97 765 AQ1082

もう少し強くなればノンフォーシングの3Hの代わりに違うビッドを考えねば
ならない。

  76 J97 A105 AK1082

3Cの後は、3Dが最適のビッドである。

  105 AJ7 765 AK1082

4Hとビッドする。ハート4枚、クラブ4枚は通常1Cオープンだから、オー
プナーのハートは5枚あることが多い。もし、オープナーのハートが4枚の時
は、ハートにハイカードが集中したハンドのはずで、4Hの方が3NTより良
いコントラクトであることは少なくないであろう。

★レスポンダーのフォーシングリビッド
 以下の状況でオープンスーツに戻すのはフォーシングである。

a 両メジャーがビッドされている時

  1H - 1S
  2S - 3H

1NTリビッドの項で述べた1H-1S-1NT-3Hと同様である。他に、
1S-2H-3H-3Sもフォーシングである。

b レスポンダーがマイナーでジャンプした時

  1D - 1S
  2S - 4D

レスポンダーはどちらかのスーツでゲームを考えている。

c ダブルレイズの後

  1C - 1H
  3H - 4C

4Cはスラムトライの始まりのように聞こえる。
 シングルレイズ後のニュースーツはトライアルビッドで、1ラウンドフォー
シングである。

  J8 KJ82 AQ9 Q1042

1C-1H-2Hの後どうするか。3NTが4Hよりプレーしやすいコントラ
クトかもしれず、3Dとビッドしてダイヤモンドのコントロールを示す。3C
はノンフォーシングであって、このハンドでは弱すぎる。


5 オープナーのミニマムレベルのリビッドに対して
 ミニマムのリビッドの後、レスポンダーの問題は、何がフォーシングかを知
ることより、ビッドするか否かと、どのスーツをトランプにするかということ
である。

★レスポンダーがパスすべき時
 オープナーが制限された強さを示しているのであるから、レスポンダーは弱
いハンドでテークアウトすべきではない。

  1D - 1S
  2D - ?

  Q107642 K63 5 J62

パートナーの2Dより2Sの方がメイクする可能性が高いかもしれない。しか
し確かとは言えず、次で示すように2Sリビッドはこれよりかなり良いハンド
でなされるから、このハンドではパスする。

  K9643 A7542 6 43

ゲームの可能性は薄く、セカンドスーツを示す義務を考えることはない。ここ
で2Hとビッドするとオークションが制御不能となるおそれがある。

  KQ64 KJ6 97 10852

アンビッドスーツには程良い備えはあるが、コントロールとダイヤモンドサポ
ートの欠如から2NTには力不足である。

★オープナースーツのレイズと2NTの選択
 1レベルのレスポンスに対してオープナーがリビッドした場合、1NTを通
り越してビッドしたということから、リビッドは良い6枚スーツとサイドスー
ツにあまり点の無いハンドを示す。この点に留意すれば、2枚でサポートする
のが良いビッドになる場合がしばしばある。
 1H-1S-2Hとなって以下のハンドを持っている。

  A9764 Q4 A65 J62

クラブが止まっておらず、2NTより3Hが良い。

  KJ854 106 A7 K742

2NTと言えるが、ダイヤモンドとクラブのストッパーは十分でないし、コン
トロールハンドでもあって、3Hとスーツのゲームを狙う方が良い。

  A96432 A8 QJ2 74

2Sではアンダービッドだし、3Sというのにはスペードが貧弱である。3H
とインビテーションするのが良い。
 一方、2レベルのレスポンスに対してのリビッドの場合、オープナーが6枚
スーツであるとの推定はできなくなる。

  A7 106 KJ854 K742

これは2つ前のハンドのスペードとダイヤモンドを入れ換えただけで同じハン
ドである。1H-2D-2Hに対しては2NTとビッドする。

★レスポンダーのスーツをリビッドすべき時
 既にたびたび述べたことだが、レスポンダーは積極的な目的がない限り自分
のスーツをリビッドすべきではない。

  1D - 1H
  2D - 2H

次の2つのハンドが上記シークエンスの大まかなミニマムとマキシマムである。

  K65 KJ10842 62 98

  K65 AK10653 62 98

 ジャンプリビッドはフォーシングではないが、強いインビテーションであっ
て、時として非常に良いハンドでなされる。

  A65 AKJ653 62 98

  1D - 1H
  2D - 3H

この場合、オープナーは、次のようなハートのコントラクトに不向きな戦術的
オープンをした場合にのみパスできる。

  943 4 AKQ873 742

 マイナーのリビッドは常に3NTインビテーションで、次のような強さを持
っている。

  5 A82 943 AQJ974

1S-2C-2Sの後、3Cがピッタリである。

★ノンフォーシングのレスポンダーのスーツテークアウト
 最初のスーツにオープナーが2レベルで戻すことができるようなスーツテー
クアウトは建設的であるがノンフォーシングである。

  1C - 1S
  2C - 2H

この章の最初に述べたように、レスポンダーは2Cが希望に沿わないという理
由でニュースーツをビッドすべきではない。このビッドはパートナーにもう一
度ビッドすることを強く奨励している。

★フォーシングとなるレスポンダーのスーツテークアウト
 レスポンダーのリバースと3レベルのニュースーツは1ラウンドフォーシン
グである。

  1C - 1D
  2C - 2H

レスポンダーは2スーターを持っていることもあるし、次のように3枚ハート
のこともある。

  95 AK2 K10843 J106

オープナーがビッダブルでない4枚ハートを持っていて、2Hが3Hにレイズ
されたとしても、4Cと直せるので危険ではない。オープナーがここでセカン
ドスーツであるハートを4レベルにレイズをすることはないし、3枚でレイズ
することもない。


 次回も、「レスポンダーの2回目のビッド-続き」です。

成田です。
*
>★前向きのビッド
> 上記のシークエンスを除いて、3NTからは逃げないということが原則であ
>る。次のビッドは、軽い建設的なシークエンスである。
>
>  1C - 2S
>  3NT- 4H
>
>スペードJ10の5枚とハートKの5枚で3NTを邪魔してはならない。オー
>プナーの3NTはクラブスーツに基づいていることが考えられるからである。
>このシークエンスには少なくともメジャーにAJの5枚とKの5枚くらいは欲
>しい。
*
誤記だと思います。
(誤)2S
(正)1S
*
*
>  1D - 1S
>  2D - ?
>
>(中略)
>
>  K9643 A7542 6 43
>
>ゲームの可能性は薄く、セカンドスーツを示す義務を考えることはない。ここ
>で2Hとビッドするとオークションが制御不能となるおそれがある。
>
*
2HはACOLではNFなので、このハンドは2Hと
言っても(オーバービッドではあるが)許されるのでは
ないかなあ......と思って読み続けてみると......
*
>★ノンフォーシングのレスポンダーのスーツテークアウト
> 最初のスーツにオープナーが2レベルで戻すことができるようなスーツテー
>クアウトは建設的であるがノンフォーシングである。
>
>  1C - 1S
>  2C - 2H
>
>この章の最初に述べたように、レスポンダーは2Cが希望に沿わないという理
>由でニュースーツをビッドすべきではない。このビッドはパートナーにもう一
>度ビッドすることを強く奨励している。
*
そうか、NFだけど、ほとんどFなんだ。理解理解。
*

塩谷です。

>>★前向きのビッド
>> 上記のシークエンスを除いて、3NTからは逃げないということが原則であ
>>る。次のビッドは、軽い建設的なシークエンスである。
>>
>>  1C - 2S
>>  3NT- 4H
>>
>>スペードJ10の5枚とハートKの5枚で3NTを邪魔してはならない。オー
>>プナーの3NTはクラブスーツに基づいていることが考えられるからである。
>>このシークエンスには少なくともメジャーにAJの5枚とKの5枚くらいは欲
>>しい。


成田>誤記だと思います。
成田>(誤)2S
成田>(正)1S

 ありがとうございます。ここのところ、読み返した時に直したつもりでいたの
ですが、一体どうしちゃったんだろう。

#10
 連続して2部送ります。冬休みに楽しんで下さい。
 赤間君は勉強して下さい(冬休みの宿題)。

-----------------------------------
エコールシステム入門-その10


<レスポンダーの2回目のビッド-続き>
6 オープナーのジャンプリビッドに対して
 オープナーのジャンプリビッドの後は、ゲームにならないビッドはすべてフ
ォーシングである。

  1C - 1H
  3C - 3H

レスポンダーは次くらいのハンドにすぎないかもしれない。

  1032 KQ1096 743 Q5

しかし、良いハンドを持っていて手控えていることもある。4Cへのレイズも
フォーシングである。
 4レベルでマイナーをリビッドするには強くなければならない。

  1H - 2D
  3H - 4D

レスポンダーは、少なくともゲームのハンドを持っている。弱ければ3Hをパ
スすべきである。


7 オープナーのスーツテークアウトに対して
★レスポンダーが弱い時
 オープナーがスーツテークアウトした時の上限は約18点である。レスポンダ
ーは通常7点で2回目のビッドを考える。次のハンドはパスすべきである。

  1C - 1H
  1S - 

  754 KJ643 Q106 95

1NTには足りない。セカンドラウンドの1NTはおよそ7-10点を示す。
しかし、マッチポイント戦なら1NTが普通だろう。

  532 K107542 65 Q8

6枚スーツが最初レスポンスした理由である。サポートがこなかったのであれ
ば、パスして被害を最小限に抑えるべきである。
 弱いハンドでは、プリファーするのも間違いである。

  75 KJ832 Q743 92

パスして、雨が降り出す前に避難すべきである。

★False preference

  1H - 1S
  2C - 

  K532 75 Q965 K92

ここでは2Hとビッドする。2Cは17、18点くらいまでありうるのでパスする
にはもったいない。といって、2NTはやりすぎであり、3Cレイズは3枚サ
ポートで危険である。一方、このシークエンスは5枚のハートを示しているの
で、2枚で2Hとビッドしても安全である。本当にハートが良くて選んでいる
のではないので、「偽の選択」と呼ばれる。

★中間および積極的なビッド
 オープナーの1レベルリビッドに対する2NTジャンプはオープニングビッ
ドに対する2NTジャンプと同じ価値、すなわち良い10点から悪い12点を示す。
 2レベルリビッドに対する2NTも同様に11、2点を示すが、場合によって
は多少点数を下げる必要に迫られることがある。

  1S - 2C
  2H - 

  52 J108 QJ3 KQ987

「その8」で述べたように、2レベルレスポンスに対するオープナーのスーツ
テークアウトはフォーシングである。これは、上記のようにボーダーラインで
2Cとビッドしたレスポンダーにとって多少不都合となるが、このハンドでは
2NTとビッドする。パートナースーツのJ10は点数以上に役に立つし、ク
ラブの内容も比較的良く、2Sというフォールスプリファランスより2NTが
はるかに良いビッドである。エコールでは、1~2点不足との理由で軍法会議
にかけられるようなことは無い。
 オープンスーツへジャンプして戻すのはノンフォーシングであるが、強いイ
ンビテーションである。

  1H - 1S
  2D - 

  AK853 964 J10 875

先にも述べたがパートナースーツのJ10は非常に役に立つ。このハンドでも
点数はやや少ないが、3Hとビッドする。クラブとダイヤモンドが入れ替わっ
ていれば、2Hが良い。
 レスポンダースーツでのジャンプもノンフォーシングである。

  1D - 1S
  2C - 3S

オープナーのスーツテークアウトの後でのレスポンダーの2Sはかなり弱い。
3Sジャンプはインビテーションとなり、次のようなハンドでビッドされる。

  AQ10973 73 A9 852

★レスポンダーのフォーシングリビッド
 マイナースーツのジャンプレイズ、例えば1H-2C-2D-4Dはフォー
シングである。オープナーの2Dは便宜的なビッドかもしれないが、その場合
はミニマムより良いハンドだろうし、逃げ道が用意されているはずである。
 これ以外はフォーススーツのみがフォーシングとなる。フォーススーツをビ
ッドする技術は特に研究する必要があり、別に章を設けて検討する。


8 オープナーのリバースに対して
★レスポンダーのノンフォーシングビッド
 レスポンダーの2回目のビッドがエンドビッドとなるかもしれないシークエ
ンスは以下の3つだけである。

a レスポンダーの2NTビッド。

  1D - 1S
  2H - 2NT

レスポンダーは強くとも次のハンドくらいである。

  Q10743 75 986 AJ6

これより強い10点くらいまでのハンドでは、レスポンダーは3NTをビッドす
るか何か建設的なビッドをする。

b 2レベルでのリバースに対してレスポンダースーツのミニマムリビッド。

  1D - 1S
  2H - 2S

  1D - 2C
  2S - 3C

c 3レベルでパートナーのマイナースーツに戻る。

  1C - 1S
  2H - 3C

★レスポンダーのフォーシングビッド
 次のシークエンスをフォーシングとする理由は、最適なゲームコントラクト
を探るスペースを確保するためである。

a 3レベルでハートに戻すこと。

  1H - 2C
  2S - 3H

  J4 763 K62 AK873

 もう少し強ければ4Hへジャンプする。これはスラムインビテーションにな
る。

  J4 Q63 K62 AK873

b パートナースーツの3へのレイズ。

  1D - 1S
  2H - 3H

  1C - 1H
  2D - 3D

このレベルで止まるのが望ましい場合もあるが、それよりもレスポンダーは種
々の可能性を探るためのビッドをしたいことが頻繁に起きる。

c ゲームにならないあらゆるジャンプ。

  1C - 1S
  2D - 3S

  1D - 1S
  2H - 4D

d オープナーの3レベルビッドの後のあらゆるビッド。

  1H - 2D
  3C - 3D、3H

「その8」で述べたように、このオープナーの3レベルビッドは2ラウンドフ
ォーシングであり、レスポンダーのいかなるビッドもパスされることはない。

  1S - 2H
  3C - 3H

  Q5 KQ9853 943 K8

4Sとビッドするに十分の強さがあるが、4Hの方が良いコントラクトかもし
れない。


9 オープナーのジャンプシフトに対して
 オープナーがジャンプシフトした時は、レスポンダースーツに価値を持って
いることが多い。従って、良いスーツを持っていれば自分のスーツをリビッド
すべきである。

  1H - 1S
  3D - 

  AJ852 94 J2 K742

3NTではなく、3Sとビッドする。
 ジャンプシフトの後ではゲームフォーシングの状態にはなっているが、後で
スラムトライしにくいハンドではジャンプしなければならない。

  AK102 QJ7 J2 J742

1つ前と同じビッド経過の後では、強いサポートを見せて4Hにジャンプする。

  1C - 1H
  2S - 

  J85 AQ94 KJ2 742

すぐ3NTをビッドしないと全スーツに価値のあるハンドを後で示すことは困
難になる。



 次回は、「NTのビッドとレスポンス」です。

---
#11
エコールシステム入門-その11


<NTのビッドとレスポンス>
 この章では1NT、2NT、3NTオープンとその後のビッド展開を検討す
る。
 リースの本では1NTの後は2Cステイマンを使うだけのナチュラルなビッ
ドの説明がされているが、最近の日本では何らかのコンベンションを使うのが
普通になっている。ここでは、CBCスタンダードの1NTオープンの展開に
も使われているジャコビートランスファーを前提に、これにリース/エコール
の精神を適用することを試みてみよう。


1 1NTオープンとレスポンス
 1NTオープンの基準はノンバルで12-14、バルで15-17である。
 1NTオープンの利点は、わかりやすく、ハンドの範囲が限定され、オーバ
ーコールしにくい点である。しかし、長所にばかり目を奪われて短所を見過ご
さないようにしなければならない。1NTオープンには、マイナーに良いフィ
ットがある場合にスラムビッドしにくいという欠点がある。パートナーがパス
していない場合は、スーツプレーに適したハンドをストロング1NTでオープ
ンするには十分な注意が必要である。4432のハンドはマイナーのスラムが
できることが多い。

  Q972 K8 AK84 AJ3

ファーストハンド、セカンドハンドでは1Dオープン、サードハンド、フォー
スハンドでは1NTオープンする。
 バルネラビリティによりウィークNTとストロングNTを使い分ける利点に
ついては色々と議論がされているが、ここではノンバルのウィークNTが種々
のハンドでセミサイキック気味の戦術的ビッドとして使用できる点を指摘する
にとどめる。

  J5 K72 AK1083 Q75

これは、どのポジションでも1NTが良い。

  92 KJ4 Q4 A108632

サードハンドで1NTとオープンするのは面白いだろう。損することは滅多に
ないし、強力な敵のコントラクトを盗み取れることがしばしばある。

★1NTに対する弱いレスポンス
 5枚スーツを持つ弱い手で1NTをテークアウトするかどうかは悩ましい問
題である。

  J8653 Q4 Q1053 96

スーツコントラクトでプレーしたからといって2トリック余分には取れそうに
ない。余分なトリックが1トリックであれば1NTをテークアウトするのは無
意味である。従って、パスする。

  3 K8732 942 J743

ストロング1NTには2Dとビッドし、ハートのコントラクトにトランスファ
ーするが、ウィーク1NTにはパスする。コントラクトを買える望みはなく、
ハートを示すとかえってオポーネントがビッドがしやすくなってしまう。

 1NTのオープナーはジャコビートランスファーに対して、4枚サポートの
ある時は非常に弱いハンドでない限り3レベルでレスポンスする。

  J4 AQJ2 K632 Q96

1NTオープンし、2Dには3Hとビッドする。


2 2NTオープンとレスポンス
 2NTオープンは原則として20-21のバランスしたすべてのスーツにストッ
パーがあるハンドを示す。実際にはこの要件のいくつかは特に問題がなければ
無視して良い。

  K4 Q105 AKQ1073 A8

18点しか無いが、パートナーがパスした後では2NTオープンする。ファース
トもしくはセカンドハンドでは1Dオープンの方が安全である。

  AKQ103 K5 K2 AQ83

2Sオープンすると、パートナーが2NTレスポンスの時、3NTを悪いサイ
ドがプレーするという不都合が生じる。


3 3NTオープンとレスポンス
 これはコンベンションで、ソリッドなマイナーを示し、サイドスーツにはあ
ってもQまでである。

  74 3 973 AKQJ863

 3NTオープナーのパートナーが種々のハンドでどう対処すべきか、次に例
をあげてみよう。

  Q1032 A864 QJ9 72

ダブられようとダブられまいとパスする。パートナーの強さによりメークする
か1、2ダウンするかであろう。4Cは良くない。

  A764 5 1076 KQ432

ダブルの有無にかかわらず5Dにジャンプする。メークする可能性は高い。ス
ペードのAがないもっと弱いハンドでもプリエンプトを目的として同様にジャ
ンプする。
 なお、5Dがコンベンショナルなビッドの約束になっていればもちろん5C
とビッドすることになるが、5Dをナチュラルにしておくことはハンドを示し
ていないレスポンダーがデクレヤラーになれるという利点がある。

  AK765 J4 764 743

4Cにテークアウトする。パートナーのスーツがダイアモンドなら4Dに直す
だろう。オポーネントが4Hをビッドしたらサクリファイスを考える必要があ
るが、ビッドされるまではひとまず様子を見ることができる。

  AK65 J1063 KQ 754

3NTはできるだろうが、ダブられてもリダブルしてはならない。オポーネン
トに4Dとビッドされるのは望ましくない。
 なお、3NTを逃げ出すかどうかはすべてレスポンダーが決定するのであっ
て、オープナーはパートナーが逃げなければ断固スタンドしなければならない。


 次回は、「2オープンと2Cオープン」です。

---
#12
エコールシステム入門-その12


<2オープンと2Cオープン>
1 エコール2オープン
 2S、2H、2Dオープンは1ラウンドフォーシングである。この2ビッド
の最大の目的は、1レベルのオープンから始まるシークエンスでは十分表現で
きないハンドを取り扱うことである。これが何を意味するかを説明するため、
スタンダードアメリカンでは1Hオープンを勧めているハンドを例に挙げてみ
よう。

  5 AKQJ104 A82 KQ6

エコールプレーヤーにとって、このハンドを1でオープンするのは、巨像を狭
い道に追い込むに等しい。1のオープンがこれほど強いとすれば1H-1S-
3Hといったシークエンスに過度の負担がかかる。エコールではこのハンドを
2Hオープンすることで、1レベルオープンの示すハンドをより狭く限定でき
る。

 エコール2オープンには3つのタイプのハンドがある。第一は上の例のよう
な6枚以上のワンスーターで、2つ以上のスーツにクイックトリックがあり、
8プレイングトリック以上を持つハンドである。「2つ以上のスーツにクイッ
クトリック」というのは、次のようなハンドはエコール2オープンにはふさわ
しくないという意味である。

  5 AKQJ10987 832 6

このハンドは確かに8トリックはあるが、ディフェンシブトリックが皆無であ
り、2Hオープンではなく、4Hオープンすべきハンドである。
 エコール2オープンの第二のタイプのハンドは、55以上のツースーターで
8トリック以上を持つハンドである。

  AKQ53 AQJ107 K6 4

  KQJ975 2 AKJ102 4

いずれも2Sオープンする。長いスーツから、また長さが同じ場合は上のスー
ツからオープンする。
 第三のタイプは、強くて1レベルオープンにはふさわしくないが、かといっ
2Cオープンには適当でないハンドである。このタイプのハンドがもっとも判
断が難しい。このようなハンドでは次の二つのテストを試す。
 1 1でオープンすると残りの3人がパスしてゲームを逃す危険が高いか?
 2 1でオープンするとレスポンスによっては強さを示すことが困難となり
そうか?

この二つの質問のいずれか一方に当てはまれば、2オープンが正しい。

  AJ874 AQ5 AK763 -

プレイングトリックには欠けるが、オープナーとして1Sオープンの後3回パ
スが続くのが非常に心配である。そこで2Sオープンする。

  3 AKJ82 AQ105 KJ3

更にプレイングトリックに乏しく、また5-4でしかないが、パートナーにハ
ートのサポートとマイナーの1アナーだけで4Hができてしまいそうである。

  QJ9754 AKJ AK2 6

Qトップのスーツでの2オープンは気が進まないかもしれないが、前述のテス
トのいずれにも当てはまる。
 逆に2オープンすべきでないハンドを以下に示す。

  AQ53 4 AK732 AQ4

1Dが流れてゲームルーズする恐れは低いし、レスポンスされればスペードで
ジャンプしてハンドが示せる。

  5 AQJ974 KQJ62 3

プレイングトリックは十分あるが、A3枚とメインスーツのKを欠くハンドは
2オープンには不適当である。


2 エコール2に対するレスポンス
★2NTレスポンス
 弱いレスポンスは2NTである。これは、1クイックトリック未満のハンド
と、もう少し強くても適当なビッドのないハンドでビッドする。

  K108742 103 7 J954

  J982 754 KQ3 Q63

  KJ5 732 84 K10742

2Hオープンに対して上記の3つのハンドはいずれも2NTとレスポンスする。
 2NTレスポンスの後、オープナーの単純なリビッド(最初のスーツを繰り
返す)はノンフォーシングである。スーツテークアウトはすべて1ラウンドフ
ォーシングとなる。
 スーツテークアウトに対して、レスポンダーの単なるプリファランスはノン
フォーシングであるから、少しでも価値があるハンドではゲームビッドしなけ
ればならない。上記の例では、2H-2NT-3Dに対して、二番目と三番目
のハンドでは4Hとジャンプすべきである。一番目のハンドでは3Sとビッド
し、これはフォーシングである。

★レイズ
 エコール2オープンをシングルレイズするのは、サポートとポジティブハン
ドの他に少なくともAを一枚保証する。ダブルレイズは逆にAを否定する。

  J32 A872 QJ74 54

2Sを3Sにレイズする。

  Q104 72 KJ83 K742

2Sを4Sにレイズする。この後、パートナーがスラムに興味を示せばKをキ
ュービッドする。また、4NTのアスキングはKを訊ねるビッドになる。

  Q1042 73 K8653 J7

このハンドは良いサポートがあるが、セカンドラウンドコントロールを一つ持
つだけにすぎないので、最初は2NTとレスポンスする。

★スーツテークアウト
 スーツテークアウトには良い5枚以上のスーツと、2レベルでは1クイック
トリック、3レベルでは1.5クイックトリック必要である。

  7 KQ10753 84 J642

2Dには2Hとレスポンスするが、2Sには2NTである。
 トップカードを欠くスーツをレスポンスするのは極力避ける。

  Q762 A5 J10743 K6

3レベルレスポンスできる強さがあるが、2Hには3Hとレイズする。ダイア
モンドをビッドしてパートナーにコントロールの位置について誤解を与えては
ならない。

  QJ76 54 K742 AK5

2Hオープンには3Cが最上であろう。
 滅多に無いことだが、ソリッドスーツを持っている場合にはジャンプする。
例えばAKQJxxのスペードがあれば、2Hオープンに3Sとビッドする。
 またセミソリッドスーツ(例えばKQJ10xx)は、一度2NTとネガテ
ィブレスポンスした後ジャンプすることによって示せる。

★3NTレスポンス
 これは10点から12点のバランスハンドを示す。サポートと1Aあればレ
イズするから、3NTはこのような価値は無いことも示している。コントロー
ルの多いハンド(たとえば2A)では、3NTではなく他のビッドを考えるべ
きである。


3 エコール2Cオープン
 2NTより強いバランスハンドと、少なくとも5クイックトリックあるハン
ドを示す。クイックトリックは例外的に4.5もありうる。
 2C-2D-2NTは23-24のバランスハンドを示し、レスポンダーはパス
できる。これ以外のシークエンスはすべてゲームフォーシングである。
 2Cかエコール2オープンかの判断の問題は、パートナーが与えてくれるか
もしれない微妙な情報に関心があるかどうかということを考えてみる。

  AKQ1074 A84 AK5 6

このハンドではパートナーのKJxxxのハートや、Q10xxxのダイアモ
ンドは大変有益であるから2Cオープンする。2S-2NT-4Sでは赤いス
ーツの情報を得ることは全くできない。

  A AKJ64 A10 KQ1093

今度は、パートナーが2Hに対して3Dとビッドできる良いダイアモンドを持
っていない限りパートナーのスーツには関心は無い。
 ダイアモンドがメインスーツの時は、時間的な理由から2Cより2Dでオー
プンした方が良いことがある。

  AQ4 AKJ8 AK10952 -

ベストコントラクトを見つけるには時間がかかるかもしれない。2Cでなく、
2Dでオープンすることにより、1ラウンドのビッドを節約することができる。
 2C-2D-3Hといったジャンプビッドはトランプを確定し、レスポンダ
ーにAを示すように要求するビッドである。レスポンダーはAがあればそのス
ーツをビッドし、無ければ3NTをビッドする。これ以後のレスポンダーのキ
ュービッドは、Kもしくはサポートとシングルトンを示す。

★2Cに対するレスポンス
 弱いハンドは2Dとレスポンスする。
 そこそこのハートとサイドにQくらいあれば2Hレスポンスして良い。

  Q4 KJ1076 85 J642

  107 AQ63 J765 543

いずれも2Cオープンに2Hレスポンスする。
 一方、2Sレスポンスは、やや良いハンドで行うべきである。オープナーが
2Dレスポンスに2Hリビッドを予定している場合にビディングスペースを奪
うからである。

  KJ1076 Q4 85 J642

先ほどのハンドのスペードとハートを入れ替えただけだが、今度は2Dとレス
ポンスするのが良い。
 2NTレスポンスはK2枚を含む少なくとも8点、3NTはK3枚とJ1枚
と同等のハンドを示す。3NTはビディングスペースを奪うから、高めの基準
でビッドするのが望ましい。
 3レベルのレスポンスは、1ラウンド分のビディングスペースを費やすから、
かなり良いスーツと1.5クイックトリックが必要である。
 エコール2に対する時と同様、一度目のジャンプでソリッドスーツを、二度
目のジャンプでセミソリッドスーツを示すことができる。

★2ラウンド目のレスポンス
 2C-2D-2H等の後、サポートが無く非常に弱いハンドでどのようにビ
ッドするかは色々なスタイルがある。

a 2NT。これはエコールで古くから使われている方法であり、オープナー
にスラムの判断がしやすいという利点がある。しかし、弱いハンドがNTのデ
クレヤラーになってしまう可能性があるのが欠点である。

b ランクがすぐ上のスーツをビッド。ハーバートネガティブと呼ばれる方法
であり、最もビディングスペースを奪わない。しかし、2C-2D-2Hの後、
ナチュラルにスペードが示せない、示すには3Sになってしまうという欠点が
ある。

c ナチュラル。「適当」と思われるビッドをする。絵札のある3枚スーツな
どもビッドされるかもしれない。レスポンダーのスーツがわかりにくいという
欠点があるが、2Dとネガティブレスポンスしたハンドでは問題にならないこ
とがほとんどである。

 エコールプレーヤが取り決めなく組んでいる場合は、aの2NTネガティブ
が合意されていると考えるべきである。
 オープナースーツにサポートがある場合には、次のようにビッドを使い分け
る。以下のハンドを持っていて、2C-2D-2Hとなったとしよう。

  32 J754 J764 832

まず2NTとビッドし、次にハートをサポートする。

  32 J754 K764 832

今度はすぐに3Hとレイズする。

  3 J1054 K764 Q643

4Hとレイズする。これは良いハンドだが、ファーストラウンドコントロール
は無いことを示す。
 
  3 J1054 A764 Q643

3Hとレイズし、次にダイアモンドをキュービッドする。
 2Cオープンに対する2レベルレスポンス、特に2Hレスポンスの要件は低
いから、2Dレスポンス後のメジャー、特にハートは、非常に弱いハンドでビ
ッドして良い。

  62 Q8643 J654 73

2C-2D-2Sの後では3Hとビッドする。


 次回は、「スラムビディング」です。

成田です。
*
以下の他に、
「Unbid Lower Minorをビッド」
というのがあります。
成田は、この方法を採用しています。
(割とポピュラーだと思いますが)
この方法は、弱いハンドで3NTを取らない、
また4Sや4Hのディクレアラーにもならない、
というビディングの精神があります。
*
#ひとつだけ、3Hとビッドするしかない
#シーケンスがあります。
#2C-2D,3D-3H←これこれ。
#ここだけの秘密だけど、
#成田はこれでも困らない。
#というのは、2CオープナがHeartとDiamondの
#4&5を持っている時は、
#2C-2D,3Hとビッドしてそういうハンドを示すので。
#(コンベンション。
#小林、赤間、両氏は忘れて良いです。)
*
>★2ラウンド目のレスポンス
> 2C-2D-2H等の後、サポートが無く非常に弱いハンドでどのようにビ
>ッドするかは色々なスタイルがある。
>
>a 2NT。これはエコールで古くから使われている方法であり、オープナー
>にスラムの判断がしやすいという利点がある。しかし、弱いハンドがNTのデ
>クレヤラーになってしまう可能性があるのが欠点である。
>
>b ランクがすぐ上のスーツをビッド。ハーバートネガティブと呼ばれる方法
>であり、最もビディングスペースを奪わない。しかし、2C-2D-2Hの後、
>ナチュラルにスペードが示せない、示すには3Sになってしまうという欠点が
>ある。
>
>c ナチュラル。「適当」と思われるビッドをする。絵札のある3枚スーツな
>どもビッドされるかもしれない。レスポンダーのスーツがわかりにくいという
>欠点があるが、2Dとネガティブレスポンスしたハンドでは問題にならないこ
>とがほとんどである。
*

---
#13
エコールシステム入門-その13


<スラムビッディング>
 高い木は深く根を張る必要があるように、良いスラムビッドは健全な基礎的
方法から発展する。スラムの多くは通常の建設的ビッドを発展させて到達する
ことができるし、そうすべきである。しかし、重要なカードの位置を探る特別
な技術も幾つかある。この章では、キュービッド、アドバンス・キュービッド、
インタレストショーイング・ビッド、4NTコンベンションといった技術につ
いて扱う。


1 キュービッド
 スラムビッドにおいて、あらゆる4NTコンベンションを併せたよりキュー
ビッドの方がはるかに価値がある。エコールプレーヤーはスラムの可否がある
特定のカードに左右されるハンドでしばしばキュービッドを使用する。
 キュービッドはサイドスーツのコントロールを保証する。ゲームにならない
レベルでは、Kもしくはシングルトンといったセカンドラウンドコントロール
しか示さないこともある。あるビッドがキュービッドになるのは、(a)トラ
ンプスーツの合意があり、(b)その時点までにパートナーシップがゲームま
でビッドすることを拘束されている場合である。

(1)1S 2S  (2)1D 1S
   3C        3S 4C

(1)ではスーツは合意されたがビッドがゲームにならずに終わることがある
から、3Cはキュービッドではない。(2)の4Cはキュービッドである。次
のハンドをレスポンダーに想定してみよう。

  KJ642 72 A7 A854

3Sに対してダイアモンドAがなくても4Sをビッドできる。このパートナー
スーツのAは少なくとも2プレイングトリックの価値があると考えることがで
きる。5Sまでは安全だし、6Sが確実なパートナーのハンドが数多くある。
この時点での4NTは劣悪なビッドである。一つには、Aが全部揃っていても
6Sのプレーが無いハンドが考えられるし、二つ目には1A欠けていてもスラ
ムが確実なハンドがあるからである。スラムへの第一歩は、コントロールを示
すことができる一番低いランクのスーツをキュービッドすることである。パー
トナーが4Hキュービッドするなどしてスラムの提案を受け入れればそれ以上
骨折りすることなく6Sをビッドできる。パートナーが4Dと妥協してくれば
更に5Dとコントロールを示す。パートナーが4Sという考えられる一番弱い
ビッドをしても、もう一度5Dを試みる強さがある。オープナーに次のハンド
を想定してみよう。

(1)AQ7 KQ4 KQJ63 92
(2)A1075 8 KQ942 K63
(3)AQ103 J7 KQ10854 7

ハンド(1)と(2)では6Sをビッドするが、(3)ではハートが弱く5で
止まることになる。 
 以上の例では、パートナーが最初のキュービッドに対して消極的なレスポン
スをしても二回目のキュービッドができるだけの強さがあった。しかし、こち
らの提案が歓迎されなければスラムを諦めなければならないこともあるし、積
極的なレスポンスを引き出したとしてもそれ以上進めないこともある。1D-
1S-3Sという先ほどと同じシークエンスで、次のもっと弱いハンドを考え
てみよう。

  K10853 72 KJ A854

スペードJが無くなりダイアモンドAがKJに代わった。パートナースーツの
Kは考えうる限り最も価値あるカードであるから、4Cともう一押しすること
ができる。しかし好ましいレスポンスが返ってきても、この後の行動はパート
ナーに任せなければならない。次のようなシークエンスも考えられる。

  1D 1S
  3S 4C
  4D 4S

ハートのセカンドラウンドコントロールがあれば4Dに対して4Hとビッドし
たであろう。4Sをビッドすることにより、パートナーにハートのコントロー
ルが無いことを警告している。


2 リピートキュービッド
 どちらのプレーヤーも二回目のキュービッドを同じスーツで行うことは良く
あることである。パートナーの2Sオープンに次のハンドを持っている。

  Q1062 A76 9 J8754

良いサポートとA一枚があり、3Sにレイズする。パートナーは4Dのキュー
ビッド(であろう)をおこない、これに対して4HとビッドしてハートAを見
せる。パートナーが4Sしかビッドしなくても、長いサポートと併せてダイア
モンドのシングルトンは決定的要因かもしれないから、5Dとビッドする。シ
ングルトンの代わりにKであっても同じビッドをする。


3 セカンドラウンドコントロール
 Kやシングルトンがスラムの鍵となることがしばしばある。特にゲームにな
らないレベルでは、コントロールを示すように誘われたプレーヤーは、ハンド
の価値を既に示しきったというだけの理由でセカンドラウンドコントロールを
見せることを躊躇してはならない。

  1S 2H
  3H 4C
  ?

オープナーは次のハンドを持っているとしよう。

  AK742 Q106 4 Q975

オープナーはミニマムでオープンし、パートナースーツをレイズした。4Cに
対してはサインオフすべきと考えるかもしれないが、パートナーは強いハンド
でダイアモンドのコントロールに関心を抱いているかもしれない。4Cに対し
て4Dをビッドすることは、「スラムの誘いを受け入れた」と言っている訳で
はなく、「要求されたのであれば、ダイアモンドのコントロールはある」と言
っているだけのことである。このシークエンスでは、オープナーが従属的なプ
レーヤーであり、ゲームにならないレベルではコントロールを明らかにする義
務がある。 ゲームレベル以上では、Kに先立ってAを示すべきであるが、セ
カンドラウンドコントロールしかないニュースーツをビッドしても安全な場合
もある。

  AKJ54 94 J3 K1082

 パートナーの1Hオープンに1Sとレスポンス、パートナーは4Sにジャン
プした。スラムを提案するのに十分な強さがあり、最も有用なビッドは明らか
に5Cである。もちろんパートナーがクラブAを持っていなければ、このキュ
ービッドをAと考えるかもしれないが、トランプのAKを持っていることが行
き過ぎのビッドへの安全弁となる。パートナーが5Cに対して5Dとビッドす
ればスラムがビッドできる。
 この例ではセカンドラウンドコントロールのキュービッドは弱いほうのハン
ドが行った。オークションのほとんどの行動を支配するほうのハンドは普通ト
ップコントロールを持っているからこれは当然である。次にあげる例は、強さ
が均等していて、時にはオープナー、ある時はレスポンダーがセカンドラウン
ドコントロールをキュービッドしている点でやや異なる。

(1)AK102   QJ83
   7       AJ8542
   AKQ1074 93
   Q5      6

   2D      2H
   2S      3S
   4S      5C
   6S      P

(2)KQ75    A10843
   AKJ87   42
   4       J93
   J52     6

   1H      1S
   3S      4C
   4D      5C
   6S      P

(3)AKJ652  3
   QJ76    AK1092
   4       J93
   96      AQ8

   1S      2H
   3H      4C
   4D      6H
   P


4 アドバンス・キュービッド
 ビッドの優れたプレーヤーはしばしばアドバンス・キュービッドを使う。こ
れは、トランプスーツがはっきり合意される前にコントロールを示すものであ
り、ダイレクトレイズしてスーツにアグリーするとコントロールを示す機会を
失ってしまう場合に使われる。

  87 K106 KQ8754 A6

オークションが、1H-2D-3Hとなったとしよう。単に4Hとビッドする
のはアンダービッドであり、5Hとビッドするのも有益とは思えない。4Cと
ビッドし次に5Hをビッドするのが最上の方法であろう。

  J62 K98 AK7543 6

このハンドでも3Hに対し4Cがベストである。


5 ボイドを示すジャンプ
 トランプスーツが合意された時、ニュースーツでのジャンプはボイドを示す。

  1S 2D
  3D 3H
  5C

オープナーのハンドは、

  AKJ52 Q843 A1073 -

アグリードスーツはダイアモンドで、4Cは普通のキュービッドであるから、
5Cへのジャンプはボイドを示す。


6 インタレストショーイングビッド
 1H-3H、あるいは1S-3Sの後の4Cや4Dはキュービッドではなく、
インタレストショーイングとして使うことを推奨する。これは、キュービッド
のように「コントロールは大丈夫だ」というのとは逆に、「助けが必要だ」と
いう一種のトライアルビッドである。

  AK1053 A QJ73 KQ7

1S-3Sの後、4Dとビッドしてこのスーツに関心があることをパートナー
に伝える。レスポンダーのハンドをいくつか想定して考えてみよう。

(1)Q962 J543 K106 A8

これは、ダブルレイズするギリギリのハンドであるが、オープナーの4Dビッ
ドで良いハンドになる。5Cとキュービッドし、オープナーが更にハートをキ
ュービッドすれば6Sをビッドする。

(2)Q962 KQ43 106 A82

これは強さがあるが、ダイアモンドの持ち方は良いかどうかはっきりしない。
例えば、オープナーのダイアモンドがAxxxなら良いが、上記のハンドのよ
うにQJxxではダメである。5Cとキュービッドするが、それ以上は動かな
い。

(3)Q962 KJ543 1062 A

ダイアモンドの持ち方は好ましくなく、4Sでサインオフする。

 1S-3S-4Hもインタレストショーイングである。


7 ブラックウッド4NT
 この章をここまで読んでこられて、ブラックウッドをスラムビッドの第一義
的なものとは考えていないことを理解できたと思う。このコンベンションの正
しい使い方は、スラムに必要な数のAがあることを確かめるためではなく、ス
ラムに十分なトリックがあるにもかかわらずAが2枚抜けていないことを確認
することである。

  1S  2D
  2H  3S
  4NT

オープナーのハンドは、

  KQ9754 KQJ4 3 AJ

Aの枚数さえあればスラムがプレーできると考えられるから、4NTとビッド
する。
 もう一つ重要なことは、ブラックウッドに対するレスポンスの後、何をビッ
ドするかはっきりわかっているかということである。

  Q7 AKJ543 73 KJ4

1Sオープンに2Hとレスポンスしたところ4Hにレイズされた。スラムの可
能性が高いが、4NTをビッドするのは劣悪である。たとえ、オープナーが2
Aを持っていてもダイアモンドに2ルーザーでるかどうか判断できないからで
ある。5Cとキュービッドするのが分別あるビッドである。

 4NTが明白にナチュラルでインビテーションとなる場合が2つある。
(1)1NT-4NTのようにどちらもスーツをビッドしなかった時。
(2)直接もしくは間接にNTが合意されている時。

  1S  2H
  3NT 4NT

ハートもスペードも合意されていない。従って4NTはナチュラルである。
 どちらとも解釈できるシークエンスが数多くあり、誤解を避けるためにあら
かじめ取り決めをする必要がある。次のシークエンスの4NTはナチュラルと
することを勧める。

  1S  2C
  3NT 4C
  4NT

4Cはスラムトライである。スラムに不適当なハンドのために4NTをサイン
オフとして残しておく必要がある。

 次回は、「フォーススーツ・フォーシング」です。

萩原です

普段は事務連絡以外はめったに出さないのですが。

真ん中よりちょっと下のハンドで、
レスポンダーのクラブはAですよね?
そうでないとビッドが変だし、6Sがダウンしてしまう。

> 
> (2)KQ75    A10843
>    AKJ87   42
>    4       J93
>    J52     6
> 
>    1H      1S
>    3S      4C
>    4D      5C
>    6S      P
> 

塩谷です。

Hagiwara> 普段は事務連絡以外はめったに出さないのですが。
Hagiwara> 
Hagiwara> 真ん中よりちょっと下のハンドで、
Hagiwara> レスポンダーのクラブはAですよね?
Hagiwara> そうでないとビッドが変だし、6Sがダウンしてしまう。
Hagiwara> 
Hagiwara> > 
Hagiwara> > (2)KQ75    A10843
Hagiwara> >    AKJ87   42
Hagiwara> >    4       J93
Hagiwara> >    J52     6
Hagiwara> > 
Hagiwara> >    1H      1S
Hagiwara> >    3S      4C
Hagiwara> >    4D      5C
Hagiwara> >    6S      P

 おっとっと。
 レスポンダーは11枚しか無いではないか。
 ご指摘ありがとうございます。正確なハンドは今晩送ります。
(たぶんAKXですね。)

塩谷です。

 やはりクラブはAKxです。
 それから、次の(3)も一枚足りませんでした。申し訳ありません、訂正し
てください。


(2)KQ75    A10843
   AKJ87   42
   4       J93
   J52     AK6

   1H      1S
   3S      4C
   4D      5C
   6S      P

(3)AKJ652  3
   QJ76    AK1092
   4       J953
   96      AQ8

   1S      2H
   3H      4C
   4D      6H
   P

---
#14
エコールシステム入門-その14


<フォーススーツ・フォーシング>
 オポーネントの介入のないオークションでのフォーススーツのビッドはその
スーツの長さも強さも保証しないというのがフォーススーツ・フォーシングで
ある。例を挙げよう。

  1C 1D
  1H 1S

レスポンダーは次のハンドを持っている。

  1062 A85 AQ854 K6

ゲームビッドを予定しているが、適当なナチュラルビッドがない。
 フォーススーツ・フォーシングの仕組みを理解するためには次のことを考え
れば良い。

 1 いつフォーススーツをビッドするか?
 2 フォーススーツに対してどのようにレスポンスするか?
 3 フォーススーツはどのレベルまでフォーシングか?


1 いつフォーススーツをビッドするか?
 次の二つのことに留意されたい。

(a)フォーススーツ・フォーシングは目的を持ち、建設的であるなければな
らない。ゲームが確実である必要はないが、視野に入ってなければならない。
厄介な状況で「しがみつく」方法としてフォーススーツをビッドするのは間違
いである。

(b)このビッドは、リミットビッドでは不満足なハンドでいくつかの可能性
を残すために用いるのであり、健全なナチュラルビッドがない時のみ使用すべ
きである。

 幾つか例を挙げて上記の考えを当てはめてみよう。

  AK875 107 954 AQ4

  1H 1S
  2C 2D

ゲームはありそうだが、2Cに対して適当なビッドがない。ナチュラルなビッ
ドを選ぶとすれば恐らく4Cであろう。しかし、このビッドはクラブの内容が
ジャンプに不充分というだけでなく、外に考えられる3つのコントラクトに到
達する可能性をなくしてしまい不満足である。

  74 A5 AQ974 KJ73

  1C 1D
  1H 1S

3Cのジャンププリファランスはフォーシングにならない。従って一旦フォー
ススーツをビッドする必要がある。
 次のようにハンドを弱くしてみよう。

  743 865 AQ974 Q3

  1C 1D
  1H ?

依然、レスポンダーはビッドに困る。しかし、逃げ道としてフォーススーツを
ビッドするのは誤りである。パスか、2Dをビッドする。スペードがJxxな
ら1NTがベストであろう。

 時として、フォーススーツ・フォーシングにより、レスポンダーは1つのス
ーツに頼りすぎることを避けることができる。

(a)Q96542 A7 J9 A103
(b)A6542 K3 95 AJ32

  1H 1S
  2C 2D

(a)ではいくつかのゲームの可能性が考えられるが、ナチュラルなビッドは
どれも不適当である。2Sでは不十分だし、3Sはノンフォーシングでシング
ルトンやボイドのスペードでパスされる恐れがある。
(b)では、4H、4S、5Cのどれかでゲームがあるが、直ちにどれかに飛
びつくのは間違いとなるかもしれない。

  92 J3 75 AKQ7542

  1H 2C
  2D 2S

3Cには強すぎるし、4Cでは3NTを越えてしまう。フォーススーツをビッ
ドすることにより、パートナーにスペードストッパーがあればNTをビッドす
るよう強く勧める。

 実際にフォーススーツを持っている場合はどうしたら良いだろうか。答えは
ハンドの強さに関わる。

(a)AQ942 AJ763 4 Q3
(b)AJ942 AK63 94 Q3
(c)KQ942 Q9763 4 93

  1D 1S
  2C

(a)では普通に2Hをビッドする。パートナーはコンベンションのフォース
スーツと考えてビッドするだろうが、次のラウンドにハートをリビッドすれば
純粋のスーツであることが明らかとなる。
(b)では3NTとビッドすることもできるが、2Hも良いビッドである。パ
ートナーは4枚ハートがあればレイズするだろう。
(c)のような弱い2スーターでは、フォーススーツ・フォーシングの欠点に
遭遇する。パートナーはどのような動きをしても対処できると仮定するから、
2Hとビッドするのは不健全である。2Cをパスするか、スペードをリビッド
するしかない。


2 フォーススーツに対するレスポンス
 フォーススーツをビッドしたプレーヤーは通常ある種の質問をしている。知
りたがっていることを重要度の順に言うと以下のようになろう。
(1)フォーススーツにストッパーがあるか?
(2)フォーススーツビッダーの最初のスーツにサポートがあるか?
(3)特に長いスーツがあるか?
 これらの質問に答えるとともに強さに余裕があるかどうかも示さなければな
らない。

  KQ974 K105 AJ74 3

  1S 2C
  2D 2H
  ?

フォーススーツのストッパーを示すことを優先して2NTとビッドする。Qが
もう一枚あれば3NTとビッドする。

  Q7 AQJ92 K1052 76

  1H 1S
  2D 3C
  ?

期待にこたえて3NTをビッドすることはできないから、3Hと3Sのどちら
かを選ばねばならない。パートナースーツのサポートというまだ示していない
特徴を教える。
 ハンドがもう少し強くなっても、ベストコントラクトに疑問があるので、依
然として3Sで良い。3レベルのフォーススーツ・フォーシングはゲームフォ
ーシングであり、パートナーはもう一度ビッドしてくるから、不適切なジャン
プをせずにすむ。

  A1094 J43 7 AK863

  1C 1H
  1S 2D
  ?

ハートをサポートすべきであるが、どのレベルまでサポートすべきだろうか?
点数がミニマムであることは気にすることはない。3枚トランプと役に立つシ
ングルトンがあるから3Hとビッドすべきである。

  AKJ74 102 A764 Q9

  1S 2C
  2D 2H
  ?

パートナーはゲームを探していることを忘れないようにして欲しい。パートナ
ーの意図に水を差す考えはさらさら無いから、3Sとビッドする。
 フォーススーツに4枚あり、3NTを越えなければシングルレイズする。パ
ートナーのフォーススーツは本当のスーツでないことが多いからジャンプレイ
ズは絶対にしてはならない。シングルレイズでフォーシングとなる。

  AJ76 4 AK62 QJ93

  1D 1H
  1S 2C
  ?

3Cとレイズする。4をビッドする強さがあるが、パートナーは3NTを狙っ
ているのかもしれない。

  AKJ8 KQ74 5 J1082

  1S 2D
  2H 3C
  ?

このハンドはクラブをサポートせず、3NTとビッドしなければならない。


3 フォーススーツはどのレベルまでフォーシングか?
 以下がエコールにおける基準である。

(a)フォーススーツが1または2レベルであれば、期待通りの答えが返って
こなければ、レスポンダーはパスすることがある。
(b)3レベルのフォーススーツは原則としてゲームフォーシングである。

  1H 1S
  2C 2D
  2H

ビッドはここで終わるかもしれない。

  1H 1S
  2D 2NT
  3C 3H
  3S ?

レスポンダーは2NTでハンドを限定しているが、ここでビッドを終わらせて
はならない。
 3レベルのフォーススーツはゲームフォーシングであると述べたが、パート
ナーが明らかに限定されたハンドの時はパスする場合もありうる。

  Q5      A10764
  A8      62
  KQ1063  7
  AJ84    K962

  1D      1S
  2C      3C
  3H      3S

オープナーは、レスポンダーにハートQxxくらいあれば3NTをビッドする
ことを期待して3Hとビッドする。しかし、3Sとしか返ってこないので、ど
のコントラクトにせよゲームを思い浮かべることはできない。


4 フォーススーツのリビッド
 以下のシークエンスでの3Hは何を意味しているだろうか。

  1D 1S
  2C 2H
  2S 3H

メジャーの55ツースーターを示すとも考えられようが、オープナーがハート
のストッパーを否定しスペードのマイルドサポートを示した以上、ここで更に
5枚ハートを示すことにあまり意味は無い。それよりも、このビッドはオープ
ナーにハートのハーフストッパーを訊ねるビッドとして使うほうが柔軟性があ
る。レスポンダーは例えば以下のようなハンドを持っている。

  AJ42 J86 K83 QJ4


5 フォーススーツ、そしてレイズ
 ナチュラルなレイズではハンドの強さを示せない場合、フォーススーツを経
由してレイズすることがある。

  1D  1H
  1S  2C
  2NT 3S

単にゲームに行きたいだけなら3NTとビッドすれば良いから、レスポンダー
は明らかにスペードサポートを持っている。そこそこのハンドなら、2Cのと
ころでダイレクトにゲームレイズするはずだから、フォーススーツを経由して
のレイズはそれよりも良いハンドであることを示している。レスポンダーは例
えば以下のようなハンドを持っている。

  AJ42 AK86 K83 42



 次回からは、第2部「競り合いのビッド」です。

---
#15
エコールシステム入門-その15


第2部 競り合いのビッド


 本文を始める前に塩谷の独り言を。

 これを書く種本になっているリースの本は1961年の出版で、もうかれこれ40
年にもなる。しかし、ここまではエコールの真髄とでも言うようなビッドが随
所に飛び出し、読んでいて面白いし勉強にもなった。古くはあるが、重要な古
典をひもとくということで大変ためになる感じであった。
 ただ、この第2部からはどうなんだろうか。競り合いのビッドに関しては色
々なコンベンションが発達したし、LOTTのような考え方も出てきている。以下
を読んでいただければわかるが、「ちょっと古臭くて、どうもネエ」と感じら
れる方も多いことだろう。しかし、ところどころタメになる考え方も出てくる
し、古臭いところをどのように取捨選択して良いか私には判断つきかねるとこ
ろが多いので、リースの本を大部分そのままご紹介することにしよう。あまり
に古臭い部分、例えばノンバルでダブルされダウン4は700点の失点などとい
うところは割愛するとして。
 これは古臭すぎる、これは現代にも通用する、といったことを私とエコール
で組んでいる坂本氏を始めとして成田君や萩原君などの識者の方々にどんどん
指摘していただくことを期待したい。



<オーバーコールとプロテクション>
 オーバーコールとディフェンスの戦術は、競り合いの無いビッドでは仔細な
点まで果てしなく議論するペアでさえ、しばしば無造作に扱っている。しかし、
力の均衡したチーム間の試合でスイングを生み出すのはちょっとした競り合い
のハンドなのである。


1 1レベルのオーバーコール
(a)バルネラブル
 バルのオーバーコールは不利なスコアの対象である。最低の基準は確実な4
プレイングトリック、もしくは見こみありそうな5プレイングトリックである。
次のハンドはボスバルで1Cに対するミニマムのオーバーコールである。

(1)A83 62 AK942 854
(2)94 AKJ9 KJ76 852
(3)QJ9643 92 A8 965

 (1)ではプレイングトリックは確かではないが、代償としてAKとAがあ
る。相手がノンバルであれば、ゲームの代償として800点失う悲劇を招くかも
しれないからオーバーコールはやや危険であろう。
 (2)のハンドは4枚しかなく、あえてオーバーコールするには弱く、「確
実な4トリック」という基準に合致しないことも認めざるを得ない。オーバー
コールに不適当と主張するプレーヤーも多いだろう。しかし、次のようなこと
も考慮しなければならない。パートスコアを争うに十分な強さを味方が持つ可
能性がある。今オーバーコールする方が、パスして例えば1NTレスポンスを
ダブルしてリオープンするより安全で良いビッドであることは間違い無い。リ
オープンのダブルが500点獲得する方法であるが、同時に1NTダブル1アッ
プして380点という不愉快な失点への道でもある。
 (3)のハンドはハイカードが不足だが、プレイングトリックがあり、スー
ツがスペードということからプリエンプトする価値がある。

(b)ノンバル
 1レベルのノンバルのオーバーコールの最低限度について検討すべき問題は
次のとおりである。

 1 ハンドが味方に「属している」十分な成算があるか? つまり、コント
ラクトを達成できるか、ペナルティを獲得できそうか?
 2 割に合うサクリファイスを見越せるハンドか?
 3 パートナーのリードの時、オーバーコールしたスーツは良いリードとな
りうるか?
 4 ビッドはオポーネントの障害となるか? 相手のビディングスペースを
奪うか?

 例を挙げて見てみよう。

  AQ73 62 742 853

1C、1Dのいずれにも1Sとオーバーコールする。プレイングトリックは
ほとんど無く、1レベルでもかなりのペナルティを被る可能性があることは事
実である。このビッドの利点は次のプレーヤーが1レベルレスポンスする機会
を奪うことである。更にスペードのストッパーを欠いて1NTビッドを防ぐか
もしれない。

  5 J974 AKJ3 10642

このハンドで1Cに1Dオーバーコールする理由は全く異なる。この時点で判
断する限りでは、メジャースーツのコントラクトに対してはディフェンスの見
込みがあり、オポーネントの警戒すべきゲームは3NTである。1Dとビッド
することによって3NTをさえぎることができるかもしれない。相手は4枚し
かないことを知ることができない。

  K10642 5 QJ43 762

このハンドでも1Cに対し1Sオーバーコールをしてみる。1Hに対しては、
オーバーコールしてもビディングスペースを奪わないが、相手がバルならばオ
ーバーコールする。これは、バルに対するノンバルのサクリファイスが非常に
有利にスコアができているからである。
 以上で述べたオーバーコールについて、「まだ、パートナーがパスしていな
ければ」という条件をつけなかった。むしろ反対に、パスしたパートナーに対
してのほうが自由に振舞うことができる。これは、まだパスしておらずオーク
ションに参加することを嫌うかもしれないパートナーよりは、既にパスしたパ
ートナーに対して3番手でプリエンプト・オープンを自由に行えるのと同様で
ある。
 一方、パートナーがパスしたということがオーバーコールを無意味とするこ
とがある。

  Q8 Q72 KJ965 A42

ひどく悪いハンドというわけではなく、右手がディーラーで1Cオープンした
のなら1Dオープンするのも悪くはない。しかし、パートナーがパスした後で
はビッドするのは無意味である。コントラクトを買い取る可能性はほとんどな
く、オーバーコールはオポーネントがカードの位置を当てるのを助けるだけで
ある。
 プレーする可能性が高くないと判断した時は、オークションに全く参加しな
いほうが有利となることがしばしばある。意外にも一人のディフェンダーに点
数が全部固まっているとデクレヤラーはプレーを誤ることが多い。

  AQ864 Q105 A6 Q64

左手の1Cオープン、右手の1Hレスポンスに対して、バルか否かにかかわら
ずパスする。1Sとビッドするのは賢明とは言いがたい。点数はあるが、絵札
がばらつきすぎていてプレイングトリックに乏しく、相手に不必要に情報を与
える不利が大きすぎる。


2 2レベルのオーバーコール
 2レベルはノンバルでもペナルティダブルの危険ははるかに大きい。1レベ
ル高くなっている事実だけでなく、他に良いビッドが無いという理由でオポー
ネントは頻繁にダブルをかけてくる。このような理由から2レベルのオーバー
コールは慎重に行わなければならない。

  J64 96 A8 KJ9752

これは2レベルのオーバーコールには不十分なハンドであるが、ノンバルでは
1Dオープンに対しては危険を冒して2Cとオーバーコールしたい。500点失
点するかもしれないが、2Cとビッドすることによりチェスで言うところの位
を獲得し、1H、1Sレスポンスを防ぐことができる。
 オープンが1Sであればこのような利点はもはやない。2Cが締め出すビッ
ドは1NTしかなく、結局パスしたほうが良い。

  95 Q73 AK764 A52

繰り返すまでも無いが、1H-1Sに対してオーバーコールするようなハンド
ではない。簡単に300点や500点失ってしまう反面、どのようなゲームコントラ
クトに対してもディフェンスがあるからサクリファイスとはならない。
 両方のオポーネントがビッドしている時、オーバーコールするか否かの問題
は主として予想されるカードの配置にかかわる。

  83 AQ1085 A7 K764

双方ノンバルで、左手が1C、パートナーパス、右手1Sとオークションが進
行した。コントラクト奪取をめざして2Hとビッドするのは判断が悪い。カー
ドの配置は味方に悪くオポーネントに都合が良い兆候が明らかだからである。
2Hにダブルをかけられると、左手はスペード、右手はクラブが短く、クロス
ラフされ、更にクラブKは最初から死ぬ運命にある可能性が高い。
 左手が1S、右手が2Cというシークエンスであれば、ハートでプラススコ
アの展望ははるかに高い。実際、3Hにレイズされれば4をビッドすることも
できる。


3 オーバーコールに対するレスポンス
 今まで述べてきたノンバルのオーバーコールが大胆と思われるプレーヤーは
レスポンスを適当に再調整する必要があろう。弱い戦術的オーバーコールを危
険を冒して行ったところ、パートナーがオープニングビッドに対するレスポン
スとしても不十分な強さで2NTに突入すること程いらだたしいことはない。


4 バランスハンドでのレスポンス
 役に立ちそうなハンドでは、「パートナーのオーバーコールは少しは建設的
なものか、それとも弱いオーバーコールだろうか」ということを考慮すべきで
ある。
 前節の分析から1Dに対する1Hのようなオーバーコールは何らかの建設的
目的を持つことは明らかであろう。しかし、1Cに対する1Sは耳を傾ける必
要も無い弱々しいつぶやきにしかすぎないかもしれない。後者のオーバーコー
ルへのレスポンスは、4番手のバランシングビッドに対してとほぼ同様のレス
ポンスを行うべきである。すなわち、11-13点で1NT、14-15点で2NTをビ
ッドする。
 パートナーが弱いはずはないオーバーコールをした時は、1NTの基準はノ
ンバルで10-12、バルで9-11である。しかし、絶対の基準ではない。パートナ
ースーツとのフィットや敵のスーツの持ち具合がはるかに重要である。

  A92 J1073 J83 AJ6

双方バルでオークションが次のように進んだ。

(1)1C 1D P ?
(2)1S 2D P ?
(3)1H 2D P ?

 最初のシークエンスでは1NTの上限である。
 2番目のシークエンスではパートナーは2レベルでオーバーコールしたから
より多くを期待できる。2NTをビッドするが、スペードは不経済な持ち方で
あるからこれ以上はビッドすべきでない。スペードの4点は恐らく十分な価値
を発揮しないだろう。
 (3)は3NTをビッドできる。1点しかないが確実なストッパーというオ
ポーネントスーツの持ち方が良いからである。


5 オーバーコールのレイズ
 バルとノンバルのレイズには違いがある。バルでは強さに基づいてサポート
する。つまり、1Sオーバーコールを2Sにレイズする場合、このコントラク
トがメイクすることを期待している。ノンバル、特にオポーネントがバルの時
は、パートナーが口火を切った方針を更に押し進めてプリエンプトとしてレイ
ズするのが良い戦術である。


6 スーツテークアウト
 スーツテークアウトはフォーシングとはならず、従ってかなりしっかりとし
たスーツでなければならない。ダブルレイズする強さがある時にぐずぐずスー
ツテークアウトするのは間違いである。
 ジャンプシフトは1ラウンドフォーシングである。オポーネントスーツのキ
ュービッドはリミットレイズのハンドまたはそれより良いハンドを保証する。


7 ジャンプオーバーコール
 エコールにおいてジャンプオーバーコールはインターミーディエイトである。
原則として6枚のワンスーターとおよそ3クイックトリックを保証する。

  AKJ742 A85 6 QJ4

1C、1D、1Hオープンに対して2Sとオーバーコールする標準的なハンド
である。これより強くなれば、ダブルしてからスペードをビッドする。


8 ジャンプオーバーコールに対するレスポンス
 良い7点(例えばA、K)があればビッドを続けるよう努力すべきである。
トランプ以外に十分なトリックがあれば、小さな2枚もしくはアナーシングル
トンは十分なサポートとなる。
 スーツテークアウトは1ラウンドフォーシングである。

  Q542 8 AQ10763 92

1Cオープンにパートナーが2Hとジャンプした時、3Dとビッドする。これ
に対しパートナーが3Hしかビッドしなければパスする。
 キュービッドはオポーネントのスーツに特定のカードを持つことを保証する
わけではなく、単にゲームまでビッドしたいがベストコントラクトが不明であ
ることを示すにすぎない。


9 NTのオーバーコール
 そこそこのバランスハンドでオーバーコールするのは良い戦術とは言い難い
から、1NTオーバーコールは15-18の良いハンドを持つべきである。

  Q6 K106 Q95 AKJ102

1Hに対して2Cより1NTの方がより建設的である。


10 バランシング
 これは、低いレベルのビッドが二回パスされた後リオープンする場合に使わ
れるアメリカで使われる言葉である(英国ではプロテクティブビッドと呼ばれ
る)。

  Q1095 82 975 AQ54

1Dオープンが流れてきた時に1Sでリオープンする最低の例である。スペー
ドとハートが入れ替わっていれば、リオープンは間違いとなるかもしれない。
スペードは常に「選ばれた」スーツであるが、このような状況では特に価値が
高い。
 このハンドでオープンが1Dでなく1Cであればパスすべきである。二つの
要素が絡んでくる。一つはオポーネントが悪いスーツでプレーすることになる
可能性、もう一つはオポーネントスーツが明らかに弱いパートナーがパスした
事実がパートナーがあまり良いハンドでは無いことを示唆していることである。
 1レベルのスーツのリオープンの上限はおよそ13点である。これ以上あれば、
ダブルをかけるか良いスーツならジャンプする。

  A7 KQ9853 Q103 84

1C、1Dオープンが流れてきたら2Hにジャンプする。
 1NTのリオープンは12-14である。特にメジャースーツに対しては弱いこ
ともある。

  J52 A93 AQ87 942

左手が1Sオープンし、パスが二つ続いた。パートナーは良いハンドでもビッ
ドできなかった可能性が高いから1NTとビッドすべきである。Jxxは、リ
オープン1NTの絶好の基盤である。パートナーがAxxかKxxでも持って
いれば左手にリードさせることは有利となる。マッチポイントではxxxでも
1NTをビッドすることさえある。この理由は、(a)アナーがうまく位置し
ていて1NTがベストコントラクトであるかも知れず、(b)オポーネントが
いきなり4~5トリックを取っても1NTで良いスコアが取れるかもしれない
からである。
 テークアウトダブルに関しては次回に検討する。

成田です。
*
> 例を挙げて見てみよう。
>
>  AQ73 62 742 853
>
>1C、1Dのいずれにも1Sとオーバーコールする。プレイングトリックは
*
少牌です。(小牌、というのは間違いらしい。^^;)
成田のゲス→スペードに「2」を追加。(ほんまかいな)
*
>  AQ864 Q105 A6 Q64
>
>左手の1Cオープン、右手の1Hレスポンスに対して、バルか否かにかかわら
>ずパスする。1Sとビッドするのは賢明とは言いがたい。点数はあるが、絵札
>がばらつきすぎていてプレイングトリックに乏しく、相手に不必要に情報を与
>える不利が大きすぎる。
*
(ちょっと一言)
ネガティブインファランス、という問題があり、
ここでオーバーコールしないと、
左の人が3NTのディクレアラーになった時、
パートナはスペードのリードをしない事を
考える可能性が高い。
とは言え、リースの言いたい事は判る。
HQかCQのうち、どちらか一方がなければ、
絶対にオーバーコール
(リードショウイングを目的 の)
だと思う。
*
>  83 AQ1085 A7 K764
>
>双方ノンバルで、左手が1C、パートナーパス、右手1Sとオークションが進
>行した。コントラクト奪取をめざして2Hとビッドするのは判断が悪い。カー
>ドの配置は味方に悪くオポーネントに都合が良い兆候が明らかだからである。
>2Hにダブルをかけられると、左手はスペード、右手はクラブが短く、クロス
>ラフされ、更にクラブKは最初から死ぬ運命にある可能性が高い。
> 左手が1S、右手が2Cというシークエンスであれば、ハートでプラススコ
>アの展望ははるかに高い。実際、3Hにレイズされれば4をビッドすることも
>できる。
*
ふむふむ。
ローレンスの
「オーバーコール」
「ハンドエバリュエーション」
という本に載っているような内容ですね。
これには賛成。
*
以上、気まぐれコメントでした。
*

塩谷です。

> >  AQ73 62 742 853
> >
> >1C、1Dのいずれにも1Sとオーバーコールする。
Narita> *
Narita> 少牌です。(小牌、というのは間違いらしい。^^;)

 中谷さんの訳も少牌してました。今度四谷に行って原本を確かめてきます。

Narita> 成田のゲス→スペードに「2」を追加。(ほんまかいな)

 私のゲスでは前後の過激さから考えて、スペードは4枚かなと思います。
すると、クラブ4枚かな? さすがに4333では無いでしょう。

> >  AQ864 Q105 A6 Q64
> >左手の1Cオープン、右手の1Hレスポンスに対して、バルか否かにかかわら
> >ずパスする。1Sとビッドするのは賢明とは言いがたい。点数はあるが、絵札
> >がばらつきすぎていてプレイングトリックに乏しく、相手に不必要に情報を与
> >える不利が大きすぎる。
Narita> *
Narita> (ちょっと一言)
Narita> ネガティブインファランス、という問題があり、
Narita> ここでオーバーコールしないと、
Narita> 左の人が3NTのディクレアラーになった時、
Narita> パートナはスペードのリードをしない事を
Narita> 考える可能性が高い。

 そうなんです。このために3NTを作らせてしまうこともある。
 ただし、4Hは自分がオープニングリーダーだから、関係なし。左手の3NTに
なった時、パートナーは0点だから、こちらの長いスーツをあてて、スペードを出
してくれるという期待はある。

> >  83 AQ1085 A7 K764
> >
> >双方ノンバルで、左手が1C、パートナーパス、右手1Sとオークションが進
> >行した。コントラクト奪取をめざして2Hとビッドするのは判断が悪い。カー
> >ドの配置は味方に悪くオポーネントに都合が良い兆候が明らかだからである。
> >2Hにダブルをかけられると、左手はスペード、右手はクラブが短く、クロス
> >ラフされ、更にクラブKは最初から死ぬ運命にある可能性が高い。
> > 左手が1S、右手が2Cというシークエンスであれば、ハートでプラススコ
> >アの展望ははるかに高い。実際、3Hにレイズされれば4をビッドすることも
> >できる。
Narita> *
Narita> ふむふむ。
Narita> ローレンスの
Narita> 「オーバーコール」
Narita> 「ハンドエバリュエーション」
Narita> という本に載っているような内容ですね。
Narita> これには賛成。

 この考え方、気に入ってます。でも相手が5枚メジャーで1Cと開けた時、
実はその人が一番ボロイクラブを持っていたりして、すっぽぬけることもある。

---
#16
エコールシステム入門-その16


<ダブル>
1 2番手によるダブル
 エコールプレーヤは常に科学派の非常に強いダブルと「形」によるダブルと
の中間を歩んできた。有利なバルネラビリティでは「役に立ちそうな」10点で
十分であろう。

  QJ86 7 A106 K9653

スペードで競り合えることが1Hをダブルして良い理由である。弱いダブルで
は、5431ディストリビューションが4441(プレイで効果的でない)や
5440(パートナーがパスしたりNTをビッドすると不満が残る)より好ま
しい。次の例がバルの1Sにダブルをかける最低限度である。

  92 KQ7 AJ87 KJ105

 テークアウトダブルとスーツ・オーバーコール(ノンジャンプ、ジャンプ)
との選択に当たっては、オーバーコールには上限があり、明確で、この限りに
おいてはダブルより正確なコールであることに留意すべきである。

  J64 AJ1084 7 AQ106

1Dには1Hオーバーコールがハンドを正確に伝える。クラブとスペードが入
れ替わっていればダブルが良い。

  KJ2 AQ10853 A104 9

このハンドはスペードでプレイできるかもしれないが、1Cや1Dに対しては
2Hジャンプオーバーコールがダブルより的を射たビッドである。


2 テークアウトダブルへのレスポンス
(a)中間から良いハンド
 ジャンプレスポンスはミニマムより良いハンドを示すが、ノンフォーシング
である。しかし、ミニマムより良いハンドだからといってレスポンダーは常に
ジャンプしなければならないというわけではない。

  K973 J5 K83 Q762

1レベルのダブルに対して2Sにジャンプする必要は無い。パートナーが1S
の後、ビッドできなければゲームの可能性は無いからである。パートナーが2
にレイズしても自信を持って4をビッドすることができないことも論拠となろ
う。

  Q1062 943 AK52 86

これは1Hダブルに対してはジャンプすることもある境目のハンドであるが、
1Cダブルにはジャンプしない。このような区別をつける主な理由は、パー
トナーはダブルしたスーツが短いことが多いので、ダブルをかけたスーツ以
外にダブルトンを持つ方が望ましいからである。

#塩谷の独り言:この辺りは少しアンダービッドだが、ダブルを相当安いハ
ンドでしているので、こういうふうになるんだナ。


  J53 KQ1093 A65 J5

1Dもしくは1Cのダブルに対して2Hをビッドする上限である。1Sダブル
に対しては3Hへのジャンプは適切ではない。これより弱いハンドでジャンプ
することもあるから、このハンドでは4Hをビッドする。
 ベストコントラクトに疑問のある強いハンドではオポーネントスーツのキュ
ービッドが解決になる。

  1D X P ?

(1)KQ4 Q6 A62 Q8643
(2)Q7 AQ875 J104 A92
(3)K1065 AJ83 854 K10

 (1)ではダイアモンドの持ち具合が3NTへのジャンプには不適切である。
2Dとビッドし、2Sにはレイズ、2Hに対しては再び3Dとビッドする。
 (2)で4Hは無謀かもしれない。時にはパートナーは両メジャーのサポー
ト無しにダブルしていることもある。2Dとキュービッドし、ダブラーが2S
なら3Hとビッドでき、パートナーは状況を理解するだろう。パートナーの次
のビッドが3NTなら凝った戦術が報われたということになる。
 (3)はダブルがミニマムならゲームは薄いがキュービッドが依然正しい。
これが正しいスーツを選べる唯一の方法である。

(b)悪いハンド
 次のようなハンドでは1Hダブルに対して何とビッドするのが良いだろうか?

  10xx xxxx xxx Jxx

多くのプレーヤは「低く押さえるために」1Sとビッドする。しかし、ダブラ
ーはスペードをレイズする可能性が非常に高いから、多くの場合「低く押さえ
る」ことはできない。ここでは2Cとレスポンスした方が無事に生き延びられ
る可能性が高い。ダブルに対して3枚のメジャーをビッドする時は、埋め合わ
せとなる強さが必要である。

(c)1NTレスポンス
 一般的にダブルに対する1NTレスポンスはミニマムより強いレスポンスと
みなされている。

  J76 10843 QJ86 K10

1Dダブルには1NTが最も良くハンドを表す。クラブKが無ければ1Hとビ
ッドする。
 一方、メジャースーツに対しては1NTは積極的なビッドとは限らない。

  KJ104 63 8542 742

1Sダブルに対して1NT以外のレスポンスは不自然である。

(d)レイズ、リダブルがあった後のレスポンス
 サードハンドがリダブルした時は、レスポンダーは非常に弱いハンドや適当
なビッドの無い平凡なハンドではパスすることができる。同時に、リダブルの
後のビッドは決して強さをあらわすものでもない。

  Jxxx x 10xxxx xxx

1S-ダブル-リダブルの後では、パートナーが2Hをビッドするのを看過す
るべきでなく2Dとビッドする。しかし、ハートとダイヤモンドが入れ替わっ
ていれば差し当たってパスするのが正しい。


3 ダブルに対するサードハンドの行動
 セカンドハンドがテークアウトダブルをかけた時、オープナーのパートナー
はほとんどの場合、普通にビッドすべきである。ゲームやペナルティを取る可
能性のある10点以上のかなり良いハンドではリダブルする。中間のハンドまで
は1NTやスーツテークアウトのような普通のレスポンスをする。このような
ビッドはリダブルしなかったことにより上限があるからノンフォーシングであ
る。弱いハンドや示すべき内容の無いそこそこのハンドではパスする。

★ダブルに対する2NT
 トラスコットコンベンションと呼ばれ、リミットレイズのハンドを示す。最
初このコンベンションはメジャーにのみ適用されたが、マイナーにも広げられ
た。

★サードハンドのジャンプ
 ダブルに対するジャンプの意味(1C-ダブルー2H、1S-ダブル-3D)
は年とともに変遷をたどってきた。その時々、1ラウンドフォーシング、かな
り良いハンドではあるがノンフォーシング、シャットアウトビッドなどとして
プレイされてきた。善し悪しは別として、現在のスタイルはQJ10xxのス
ーツと他にはたいしてないというプリエンプトである。この扱いはサードハン
ドが次のようなハンドの時は多少問題を引き起こす。

  5 KQ9642 K1042 J3

1C-ダブルの後、1H、2H、リダブルのいずれも満足できるとは言いがた
い。最上の方法はパスし、後からオークションに入ることであろう。


4 バランシング・ポジションでのダブル
 前に説明したようにフォースハンドのオーバーコールの上限はおよそ13点か
ら14点である。従ってより良いハンドはダブルして示す。
 ダブルは良い形をしていれば8点くらいから行って良い。

  6 K10752 QJ85 K106

1Sの後、パスが二つ続いた。2Hは大失敗となるかもしれないので、ダブル
する。


5 あいまいなダブル
 テークアウトダブルかペナルティダブルかがわかりにくいケースとして次の
ような例があげられよう。

  1D P 1NT P
  2D X

このシークエンスではオポーネントの強さは制限されているが、パートナーが
まだビッドする機会があり、ダブラーはバランシングポジションではない。次
のようなハンドを持っていてペナルティとしてダブルしているのかもしれない。

  AJ4 K7 AQ108 7542

しかし、次のようなハンドでパートスコアを競り合いにきているのかもしれな
い。

  Q8543 K1074 4 KJ2

経験を積んだパートナーシップはこのような状況で両方のハンドでダブルして
いる。パートナーはハイカードとトランプの持ち方からどちらのダブルか判断
できるであろうと考えているのである。


6 1NTのダブル
 1NTのダブルはバランシングポジションにおいてもペナルティである。

  1S P 1NT P
  P  X

セカンドハンドのプレーヤは、オポーネントのスーツが長いという理由で、最
初にかなり強いハンドをパスすることがしばしばある。このダブルはスペード
に長さを持つペナルティダブルと断言してよいだろう。
 オープニングビッドの1NTをダブルするには少なくともオープナーと同じ
強さが必要である。バランシングポジションでは更に強い必要があるが、プレ
ーヤの多くはこのことを認識していない。

  K10 KQ1062 53 AQ76

ウィークNTの後ろではそこそこのダブルである。パスされれば良いリードが
あり、ハイカードの位置も良いはずである。
 しかし、オープナーの前に位置している場合は介入するのは危険である。パ
ートナーはダブラーのスーツを見つけるとは限らず、ハイカードがつかまって
いる可能性も高いからである。

★1NTダブルに対してのレスポンス
 強弱にかかわりなくバランスハンドではダブルをスタンドすべきである。バ
ランスハンドでダブルを落とすことができないのなら、一般的に逃げ出した結
果はいっそう悪いことが多い。
 かたよったハンドではバルネラビリティと位置の要素を考える必要がある。

  QJ10852 83 K105 72

味方がバルで敵がノンバルである。左手の敵がウィーク1NTでオープンしパ
ートナーがダブルした。
 最上のビッドは恐らく3Sであろう。1NTのディフェンスでこの長いスペ
ードが役割を果たす可能性は低いからである。一方、右手が1NTオープンし
パートナーがダブルしたのであれば、オープニングリードができ、エントリー
もあるだろうから、ダブルをスタンドすべきである。


 次回は、「プリエンプト・ビディング」です。

---
#17
エコールシステム入門-その17


<プリエンプト・ビディング>
1 3の代のビッド
 サクリファイス・ビッドの理論はゲームを阻止するための500点の失点は悪
くはないということにある。この考えに基づけば、バルの3オープンは7プレ
イングトリック、ノンバルのオープンは6プレイングトリックを持つべきであ
る。実際には、3でオープンすることによって敵をできないスラムやゲームに
押し上げることができるかもしれず、この場合には大きな利益を得ることがで
きる。この可能性に注目し、経験を積んだプレーヤは500点の規則を勝手に変
えている。

  85 KQ109853 6 1064

規則に従えば、このハンドはノンバルの時に3ビッドに値する。しかし、この
ハンドは事実上ディフェンスできず、従ってシャットアウトに向いているので、
ファーストハンドもしくはサードハンドではボスバルで3Hオープンする。セ
カンドハンドでは確率に反するので、このような境界上のハンドではオープン
しない。
 優秀なプレーヤは特にサードハンドで、1レベルのオープンに十分なハイカ
ードを持つハンドを3オープンするという逆のことを時には行ってスタイルを
変えている。

  63 102 AQJ962 KQ8

サードハンドの3Dオープンは、パートナーに都合の良いハイカードがあると
3NTを逃す危険はある。しかし、このビッドはパートスコアを奪い取ったり、
敵を悪いコントラクトに押し上げる可能性があるから、危険を犯す価値がある。
3ビッドには幾分ポーカー的な要素があり、また必要でもある。
「弱いことがわかっているプリエンプトは、切れない剣のようなものである。」


2 3ビッドに対するレスポンス
 3ビッドに対してメジャーでゲームを作るには、バルで3.5クイックトリ
ック、ノンバルで4クイックトリック必要である。疑問が残ればパートナーに
ノンバルではKQ10xxxxとダブルトン3つ、バルではAQJ10xxx
とダブルトン3つのハンドを仮定して二つのハンドを併せて考える。

  KQ5 9 AK103 KJ986

パートナーの3Hには、サイドスーツに2~3ルーザーを予想する。QやJが
チャンスを増すから恐らく2ルーザーであろう。そこで、バルなら2Aと他に
1トリック失うだけと考えて4にレイズする。ノンバルならパスすべきだが、
トランプが2枚あれば大部分のパートナーに対してはレイズできる。
 サポートのある弱いハンドでは、ディフェンスとしてレイズする。

  J653 74 Q864 AJ8

アドバンス・サクリファイスをどこかのレベルで行うことが望ましい。例えば
パートナーの3Dオープン、右手がパスの後、5Dにジャンプする。このレベ
ルで敵がスーツフィットを見つけたとしてもダウンさせるチャンスがある。
 3オープンに対するレスポンスで、ニュースーツのビッドはフォーシングで
ある。一般にメジャーは2~3枚のサポートでレイズすべきである。マイナー
のレスポンスは一般にスラム狙いとなる。


3 敵のオーバーコールに対して
 敵がスーツでオーバーコールした場合は特に好判断が必要とされる。ダブル
は全体的な強さを持つ場合にのみかけることを勧める。長いトランプに基づく
ダブルは、敵が安全なコントラクトに逃げ出してしまう危険はさておき、オー
プナーが敵のレスキュービッドを適当なハンドでダブルすることができないと
いう欠点がある。ダブルが全体的な強さを保証するという合意があれば、パー
トナーシップで協力して敵を狩り立てることができる。

  1064 7 AJ107652 J9

  3D 3H X 3S
  ?

3Sをダブルする。期待されているより、はるかにディフェンス向きのハンド
である。


4 4の代のオープン
 ノンバルで7トリック、バルで8トリックを示すプリエンプトである。サー
ドハンドもしくはフォースハンドの4のメジャー、特にハートのオープンは強
いハンドで戦術的に行うことがある。

  92 AKQJ743 AJ6 7

パスが二つ続いた後では、問題はスラムを逃すかではなく敵のサクリファイス
である。従って足早に4Hとオープンする。


5 テークアウトダブル
 3オープンへのダブルは、1レベルのダブルより多少強い必要がある。

  K1062 AQ543 8 KQ2

Qが一枚少なくても1Dをダブルする。従って3Dを当然ダブルして良い。こ
のような基準を守ることはパートナーのレスポンスを簡明にする助けとなる。
 4ビッドのダブルは敵のスーツに応じて区別をつける必要がある。
 4Sに対しては、ダブルはペナルティで、4NTは全てのスーツ(マイナー
だけではない)へのテークアウト要求となる。
 4Hに対しても4NTはテークアウトであるが、4Sを通り越しているから
マイナースーツが強調される。ダブルは原則としてペナルティだが、そこそこ
のスーツで4Sへのテークアウトは厭わないとの了解があるべきだろう。

  A7 A8 KQ752 A742

4Hオープンをダブルする。

  5 KQ98 AQ753 852

パスし、パートナーがフォースハンドでダブルすることを期待する。
 4D、4Cに対しては、ダブルはトランプトリックではなく全般的な強さに
基づくべきである。ダブラーはいずれのメジャーへのテークアウトに対しても
十分備えが必要である。
 敵のプリエンプト・ビッドに対してコントラクトを争う際、4NTビッドの
意味を誤解しがちである。4メジャーオープンの直後の4NTを除いてナチュ
ラルとすることを勧める。

  4C  X  P  4S
  P  4NT

ダブラーは次のようなハンドを持っていることが考えられる。

  x AKxx AKQ10x Kxx

 次回は、いよいよ最終回です。

成田です。
*
例によってなんでもコメントです。(→塩谷さん記事)
*
>3ビッドには幾分ポーカー的な要素があり、また必要でもある。
>「弱いことがわかっているプリエンプトは、切れない剣のようなものである。」
*
これは、なかなか面白い。今度やってみよう。
*
*
>5 テークアウトダブル
*
ここに記載されている事は、直接エコールシステムとは
密接には関係していないように思います。
独立させてペア間で決めるべき内容と思いますが、
そういう認識でよろしいのですよね?
すなわち、
「エコールでやると言って始めた場合、
  高い代のテイクアウトダブルのスタイルをも
  自動的に決定してしまうものでは無い」
*
実は、ここのアタリは人によっていろいろと
使い方があって、難しいんですよね。ホントニ。
*

エコールシステム入門-その18

<敵方の介入に対して>
 この章ではオポーネントのオーバーコールがあった時のレスポンダーとオー
プナーの対応について検討する。

1 競り合いにおけるレイズとレスポンス
 パートナーと何らかのフィットがあればレスポンダーは競り負けないよう注
意しなければならない。前に、次のハンドを1Sを2Sにレイズするミニマム
のハンドとして挙げた。

  K763 104 J862 974

パートナーが1Sオープンし、2Hのオーバーコールがあっても、前と同様に
2Sとレイズする。パスして、後から4Hに4Sと出るようなことは最も愚劣
である。
 同じ章で、K10xxxxと他にJ一枚が1オーバー1レスポンスのミニマ
ムであると述べた。このスーツがスペードであれば競り合いでも同じビッドを
する。

  K108652 72 J94 83

パートナーが1C、右手の1Hに対してどんなバルネラビリティでも1Sとビ
ッドする。もう少し弱くなって5431のハンドでも有利なバルネラビリティ
ではビッドする。
 競り合いのオークションの初期は、テニスのダブルスの打ち合いと同じと考
えられる。すなわち、ネット際を占めたほうがラリーを制することができる。
何もせずベースラインに立って優雅にパスを送るより、ぎこちない姿勢で球を
プレーしなければならなくなってもネットに近づいたほうが5回に4回は勝利
を手に入れることができる。
 もちろん、オーバーコールが入ることによってレスポンスしない方が賢明な
場合もある。1NTはミニマムの6点では通常行わないし、弱いスーツをビッ
ドすることもない。

  K83 Q972 9653 J5

1C-1D(オーバーコール)の後、1Hとビッドするのは何の利点も目的も
ない。

2 レスポンスの選択
 そこそこのハンドで選択すべきビッドが二つある場合は、パートナーのサポ
ートを示すほうが良い。

  1C 1H ?

  AJ76 75 852 Q1093

オーバーコールがなければ1Sとビッドするところであるが、1Hオーバーコ
ールの後は2Cが良い。これは奇異に感じられるかもしれないが、今2Cと言
うと後から2Sと言える可能性が高いという戦術的利点がある。一方、1Sと
ビッドして後から3Cとビッドするのは言い過ぎであろう。競り合いのオーク
ションではハンドの特徴を全て示す時間はなく、従って最も重要な情報をまず
知らせた方が良い。パートナーは、サポートの保証があれば、5Cや3NTを
視野に入れて多様なビッドを駆使することができるかもしれない。

3 ランクの高いスーツでの2レベルのレスポンス
 レスポンダーが2レベルでレスポンスしなければならず、それがパートナー
のスーツより高いランクだと具合が悪いことがどんなシステムでもある。

  1D 2C ?

  KJ1042 K9 93 7643

ビッドすべきだろうか? Qがもう一枚あれば問題無く2Sとビッドできる。
このハンドではきわどい判断となる。

塩谷の独り言:この後にもいくつかハンドの例が続くが、ネガティブダブルを
使っていると、ビッドがかなり違ってくると思われる。現在ではネガティブダ
ブルは普通に使われているので、このあたりは思いきって削除してしまおう。

4 競り合いにおけるオープナーのリビッド
 敵のビッドが左手か右手かによって問題は異なる。

a)左手の敵がビッドした場合
 パートナーがランクの高いスーツを2レベルでビッドした場合は若干の調整
が必要となる。

  1D 2C 2H P
  ?

  K42 J5 A8743 KQ2

明らかに2NT以外のビッドは考えられない。このようなケースでの2NTは
ある意味で強制されたビッドで、ミニマムしか示さないことになる。

  K102 J5 AK953 KQ2

前の例の帰結として、このハンドでは3NTとビッドしなければならない。

  1D 1S 2H P
  ?

  J42 K3 AQ1052 AQ9

2Sとビッドしてこの状況から逃れようとするプレーヤが多いだろう。しかし、
ここでの2Sはハートのサポートがあるべきである。ここでは3Cビッドがベ
ストであろう。

b)右手の敵がビッドした場合
 オープナーはリビッドする義務から解放され、「フリービッド」の状況にあ
る。古いスタイルでは余裕がある場合にのみビッドすることになっているが、
「余裕」よりも、何か「有益なもの」があるかどうかが重要である。

  1H P 1S 2C
  ?

(1)Q5 AQ763 AJ103 92
(2)J95 AQ103 Q754 A8
(3)J5 AJ10653 A73 85

全てミニマムに近いオープンであるが、それぞれ、2D、2S、2Hという自
然なビッドをすべきである。

  1S P 2C 2H
  ?

  AQ764 Q4 KQ98 Q3

反対にこのハンドはかなり強いが、ビッドをしても戦術的な意味で何も得ると
ころがない。むしろ、パートナーが次に何をビッドするかが聞きたい。

5 競り合いにおける「リバース」
 オーバーコールがあったために、オープナーがセカンドスーツを高いレベル
でビッドしなければならない時はしばしば誤解が生ずる。

  1H P 2C 2D
  2S

これは通常のリバースである。2Dオーバーコールはオークションのレベルを
上げていない。

  1C 1D 1H 2D
  2S

これはリバースではない。オープナーはミニマムではないが、通常のリバース
に必要な強さは持っていないかもしれない。

6 パートナーがリダブルした場合
 リダブルしたプレイヤーは、ビッドが低いレベルで回ってきた場合はもう一
度コールすることを保証している。従ってオープナーは良いハンドではパスで
きる。逆にオープナーがビッドすることは弱いハンドを意味する。

  1S X XX 2C
  ?

  KQ10743 62 K87 103

オープナーは直ちに2Sとビッドして、パートナーに十分な強さが無いことを
警告しなければならない。2Cが無かった場合でも同様にすぐ2Sとビッドす
る。

  AK864 J5 AQ62 103

オープナーはパスしなければならない。2Dは弱いツースーターを示す。

  KQJ86 K9 A632 95

同様にひとまずパスである。パートナーが2Cをダブルしたり、2Hとビッド
すれば2Sをビッドする。

 以上で、「エコールシステム入門」は終わりですが、最後に一つ補足してお
きます。

<フレキシブル1NT>
 これまで扱ってきたリバース1NTに代わるフレキシブル1NTについて述
べる。これは1NTリビッドをバル、ノンバルに関わらず12-16とするもので
あり、より柔軟なオープンが可能となる。

  432 K42 AKQ3 854

ダイアモンドは良いスーツで1Dオープンしたいが、リバース1NTではノン
バルの時、1Dオープンすると1Sレスポンスに適当なリビッドが無いので、
1NTとオープンしなければならない。フレキシブル1NTなら、1Dオープ
ンし、1Sレスポンスに1NTリビッドできる。

  43 AKQ93 A53 K43

1Hオープンすると1Sレスポンスの時に適当なリビッドが無く困るハンドで
ある。フレキシブル1NTなら1H-1S-1NTとビッドできる。

★1NTへのレスポンス
 2Cは次に述べるアスキングとして使う。自分のスーツのリビッドは6枚以
上で弱い。ニュースーツは荒れたハンドで弱い。リバースやジャンプはゲーム
フォーシングとなる。

  1C -1H
  1NT-?

  2C : アスキング
  2D : ハート5枚以上、ダイアモンド4枚以上、ノンフォーシング
  2H : ハート6枚以上、サインオフ
  2S : ハート5枚以上、スペード4枚以上、フォーシング
  2NT: 11点、インビテーション

★2Cコンベンション
 12-16の1NTリビッドの内容を訊ねるビッドで、考案者の名前を取って、
「クローハースト」と呼ばれる。答え方は、2Dが12-14、2NTが15-16であ
り、2H/2Sは、自分のスーツなら5枚、レスポンダーのスーツなら3枚で、
いずれも12-14である。どちらでもないニュースーツの場合は良い14点から悪
い15点を示す。

  1D -1S
  1NT-2C
  ?

  2D :12-14
  2H :良い14-悪い15
  2S :12-14、スペード3枚
  2NT:良い15-16

以上。

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小林 泰介 / Taisuke Kobayashi / E-mail: koba@cis.canon.co.jp

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