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From: "Shioya" 
Subject: Acol #13 [BR]
Date: Mon, 18 Jan 1999 20:58:30 +0900

エコールシステム入門−その13


<スラムビッディング>
 高い木は深く根を張る必要があるように、良いスラムビッドは健全な基礎的
方法から発展する。スラムの多くは通常の建設的ビッドを発展させて到達する
ことができるし、そうすべきである。しかし、重要なカードの位置を探る特別
な技術も幾つかある。この章では、キュービッド、アドバンス・キュービッド、
インタレストショーイング・ビッド、4NTコンベンションといった技術につ
いて扱う。


1 キュービッド
 スラムビッドにおいて、あらゆる4NTコンベンションを併せたよりキュー
ビッドの方がはるかに価値がある。エコールプレーヤーはスラムの可否がある
特定のカードに左右されるハンドでしばしばキュービッドを使用する。
 キュービッドはサイドスーツのコントロールを保証する。ゲームにならない
レベルでは、Kもしくはシングルトンといったセカンドラウンドコントロール
しか示さないこともある。あるビッドがキュービッドになるのは、(a)トラ
ンプスーツの合意があり、(b)その時点までにパートナーシップがゲームま
でビッドすることを拘束されている場合である。

(1)1S 2S  (2)1D 1S
   3C        3S 4C

(1)ではスーツは合意されたがビッドがゲームにならずに終わることがある
から、3Cはキュービッドではない。(2)の4Cはキュービッドである。次
のハンドをレスポンダーに想定してみよう。

  KJ642 72 A7 A854

3Sに対してダイアモンドAがなくても4Sをビッドできる。このパートナー
スーツのAは少なくとも2プレイングトリックの価値があると考えることがで
きる。5Sまでは安全だし、6Sが確実なパートナーのハンドが数多くある。
この時点での4NTは劣悪なビッドである。一つには、Aが全部揃っていても
6Sのプレーが無いハンドが考えられるし、二つ目には1A欠けていてもスラ
ムが確実なハンドがあるからである。スラムへの第一歩は、コントロールを示
すことができる一番低いランクのスーツをキュービッドすることである。パー
トナーが4Hキュービッドするなどしてスラムの提案を受け入れればそれ以上
骨折りすることなく6Sをビッドできる。パートナーが4Dと妥協してくれば
更に5Dとコントロールを示す。パートナーが4Sという考えられる一番弱い
ビッドをしても、もう一度5Dを試みる強さがある。オープナーに次のハンド
を想定してみよう。

(1)AQ7 KQ4 KQJ63 92
(2)A1075 8 KQ942 K63
(3)AQ103 J7 KQ10854 7

ハンド(1)と(2)では6Sをビッドするが、(3)ではハートが弱く5で
止まることになる。 
 以上の例では、パートナーが最初のキュービッドに対して消極的なレスポン
スをしても二回目のキュービッドができるだけの強さがあった。しかし、こち
らの提案が歓迎されなければスラムを諦めなければならないこともあるし、積
極的なレスポンスを引き出したとしてもそれ以上進めないこともある。1D−
1S−3Sという先ほどと同じシークエンスで、次のもっと弱いハンドを考え
てみよう。

  K10853 72 KJ A854

スペードJが無くなりダイアモンドAがKJに代わった。パートナースーツの
Kは考えうる限り最も価値あるカードであるから、4Cともう一押しすること
ができる。しかし好ましいレスポンスが返ってきても、この後の行動はパート
ナーに任せなければならない。次のようなシークエンスも考えられる。

  1D 1S
  3S 4C
  4D 4S

ハートのセカンドラウンドコントロールがあれば4Dに対して4Hとビッドし
たであろう。4Sをビッドすることにより、パートナーにハートのコントロー
ルが無いことを警告している。


2 リピートキュービッド
 どちらのプレーヤーも二回目のキュービッドを同じスーツで行うことは良く
あることである。パートナーの2Sオープンに次のハンドを持っている。

  Q1062 A76 9 J8754

良いサポートとA一枚があり、3Sにレイズする。パートナーは4Dのキュー
ビッド(であろう)をおこない、これに対して4HとビッドしてハートAを見
せる。パートナーが4Sしかビッドしなくても、長いサポートと併せてダイア
モンドのシングルトンは決定的要因かもしれないから、5Dとビッドする。シ
ングルトンの代わりにKであっても同じビッドをする。


3 セカンドラウンドコントロール
 Kやシングルトンがスラムの鍵となることがしばしばある。特にゲームにな
らないレベルでは、コントロールを示すように誘われたプレーヤーは、ハンド
の価値を既に示しきったというだけの理由でセカンドラウンドコントロールを
見せることを躊躇してはならない。

  1S 2H
  3H 4C
  ?

オープナーは次のハンドを持っているとしよう。

  AK742 Q106 4 Q975

オープナーはミニマムでオープンし、パートナースーツをレイズした。4Cに
対してはサインオフすべきと考えるかもしれないが、パートナーは強いハンド
でダイアモンドのコントロールに関心を抱いているかもしれない。4Cに対し
て4Dをビッドすることは、「スラムの誘いを受け入れた」と言っている訳で
はなく、「要求されたのであれば、ダイアモンドのコントロールはある」と言
っているだけのことである。このシークエンスでは、オープナーが従属的なプ
レーヤーであり、ゲームにならないレベルではコントロールを明らかにする義
務がある。 ゲームレベル以上では、Kに先立ってAを示すべきであるが、セ
カンドラウンドコントロールしかないニュースーツをビッドしても安全な場合
もある。

  AKJ54 94 J3 K1082

 パートナーの1Hオープンに1Sとレスポンス、パートナーは4Sにジャン
プした。スラムを提案するのに十分な強さがあり、最も有用なビッドは明らか
に5Cである。もちろんパートナーがクラブAを持っていなければ、このキュ
ービッドをAと考えるかもしれないが、トランプのAKを持っていることが行
き過ぎのビッドへの安全弁となる。パートナーが5Cに対して5Dとビッドす
ればスラムがビッドできる。
 この例ではセカンドラウンドコントロールのキュービッドは弱いほうのハン
ドが行った。オークションのほとんどの行動を支配するほうのハンドは普通ト
ップコントロールを持っているからこれは当然である。次にあげる例は、強さ
が均等していて、時にはオープナー、ある時はレスポンダーがセカンドラウン
ドコントロールをキュービッドしている点でやや異なる。

(1)AK102   QJ83
   7       AJ8542
   AKQ1074 93
   Q5      6

   2D      2H
   2S      3S
   4S      5C
   6S      P

(2)KQ75    A10843
   AKJ87   42
   4       J93
   J52     6

   1H      1S
   3S      4C
   4D      5C
   6S      P

(3)AKJ652  3
   QJ76    AK1092
   4       J93
   96      AQ8

   1S      2H
   3H      4C
   4D      6H
   P


4 アドバンス・キュービッド
 ビッドの優れたプレーヤーはしばしばアドバンス・キュービッドを使う。こ
れは、トランプスーツがはっきり合意される前にコントロールを示すものであ
り、ダイレクトレイズしてスーツにアグリーするとコントロールを示す機会を
失ってしまう場合に使われる。

  87 K106 KQ8754 A6

オークションが、1H−2D−3Hとなったとしよう。単に4Hとビッドする
のはアンダービッドであり、5Hとビッドするのも有益とは思えない。4Cと
ビッドし次に5Hをビッドするのが最上の方法であろう。

  J62 K98 AK7543 6

このハンドでも3Hに対し4Cがベストである。


5 ボイドを示すジャンプ
 トランプスーツが合意された時、ニュースーツでのジャンプはボイドを示す。

  1S 2D
  3D 3H
  5C

オープナーのハンドは、

  AKJ52 Q843 A1073 −

アグリードスーツはダイアモンドで、4Cは普通のキュービッドであるから、
5Cへのジャンプはボイドを示す。


6 インタレストショーイングビッド
 1H−3H、あるいは1S−3Sの後の4Cや4Dはキュービッドではなく、
インタレストショーイングとして使うことを推奨する。これは、キュービッド
のように「コントロールは大丈夫だ」というのとは逆に、「助けが必要だ」と
いう一種のトライアルビッドである。

  AK1053 A QJ73 KQ7

1S−3Sの後、4Dとビッドしてこのスーツに関心があることをパートナー
に伝える。レスポンダーのハンドをいくつか想定して考えてみよう。

(1)Q962 J543 K106 A8

これは、ダブルレイズするギリギリのハンドであるが、オープナーの4Dビッ
ドで良いハンドになる。5Cとキュービッドし、オープナーが更にハートをキ
ュービッドすれば6Sをビッドする。

(2)Q962 KQ43 106 A82

これは強さがあるが、ダイアモンドの持ち方は良いかどうかはっきりしない。
例えば、オープナーのダイアモンドがAxxxなら良いが、上記のハンドのよ
うにQJxxではダメである。5Cとキュービッドするが、それ以上は動かな
い。

(3)Q962 KJ543 1062 A

ダイアモンドの持ち方は好ましくなく、4Sでサインオフする。

 1S−3S−4Hもインタレストショーイングである。


7 ブラックウッド4NT
 この章をここまで読んでこられて、ブラックウッドをスラムビッドの第一義
的なものとは考えていないことを理解できたと思う。このコンベンションの正
しい使い方は、スラムに必要な数のAがあることを確かめるためではなく、ス
ラムに十分なトリックがあるにもかかわらずAが2枚抜けていないことを確認
することである。

  1S  2D
  2H  3S
  4NT

オープナーのハンドは、

  KQ9754 KQJ4 3 AJ

Aの枚数さえあればスラムがプレーできると考えられるから、4NTとビッド
する。
 もう一つ重要なことは、ブラックウッドに対するレスポンスの後、何をビッ
ドするかはっきりわかっているかということである。

  Q7 AKJ543 73 KJ4

1Sオープンに2Hとレスポンスしたところ4Hにレイズされた。スラムの可
能性が高いが、4NTをビッドするのは劣悪である。たとえ、オープナーが2
Aを持っていてもダイアモンドに2ルーザーでるかどうか判断できないからで
ある。5Cとキュービッドするのが分別あるビッドである。

 4NTが明白にナチュラルでインビテーションとなる場合が2つある。
(1)1NT−4NTのようにどちらもスーツをビッドしなかった時。
(2)直接もしくは間接にNTが合意されている時。

  1S  2H
  3NT 4NT

ハートもスペードも合意されていない。従って4NTはナチュラルである。
 どちらとも解釈できるシークエンスが数多くあり、誤解を避けるためにあら
かじめ取り決めをする必要がある。次のシークエンスの4NTはナチュラルと
することを勧める。

  1S  2C
  3NT 4C
  4NT

4Cはスラムトライである。スラムに不適当なハンドのために4NTをサイン
オフとして残しておく必要がある。



 次回は、「フォーススーツ・フォーシング」です。



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