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From: SHIOYA Makoto 
Date: Wed, 02 Dec 1998 14:26:09 +0900
Subject: Acol #5 [BR]

エコールシステム入門−その5


 この章から、いよいよエコール流、リース的ビッドが登場します。お楽しみ
に。

<1の代のスーツオープンに対するレスポンス>
 レスポンダーのハンドを「弱い」「中間」「強い」の3種類に分類して検討
する。

★弱いハンド:6−9点。このようなハンドは通常1回しかビッドできないか
ら、ハンドの特徴を1回で表すようにする。

★中間のハンド:10−12点。ゲームの可能性はオープナーがリビッドで示
す強さによる。常に先のことを見通しておかねばならず、最初のレスポンスを
選ぶにあたって次にはどんなビッドをしたら良いかを考慮しておくことが必要
となる。

★強いハンド:通常オープンハンド以上。レスポンダーはゲームまで止まらな
い。相手方と競り合う必要はないから、ゆっくりとパートナーと相談を進める。
最初のレスポンスでハンドの性格を全て示す必要はない。

 以上の概要は、当たり前のように思われるかもしれないが、この章を読み終
わってからもう一度読んで欲しい。非常に重要な指針が短い言葉の中に示され
ていることに気づくであろう。


1 弱いハンド
 レスポンスはパートナースーツのレイズ、1NT、スーツテークアウトから
選ぶ。

★シングルレイズ
 レイズは絵札またはディストリビューションによるサポートに基づく。目安
は、5−9HCP、9ルーザートリックカウントである。1Hを2Hにレイズす
ればパートナーは少なくとも次のようなハンドを期待する。

  84 Q1072 984 A752

  9653 J10643 Q74 8

パートナーはミニマムとしてこのようなハンドを期待すると言ったが、これが
レイズするミニマムというわけではない。

  K763 104 J862 974

これは4点しかなく、10ルーザーある。しかし、戦術的な理由で1Sを2Sに
レイズするのが賢明であろう。もちろん、必要な強さはないし、最終コントラ
クトが何であれダウンする可能性は高い。しかし、相手と競り合えるという点
で優れている。
 この反対に位置するのが、シングルレイズには強すぎるが適切な替わりのビ
ッドがないハンドである。

  KQJ3 A94 754 1082

2Sが3Sより良い。2Sとビッドすると競り合いになるかもしれないが、こ
のハンドは、オフェンシブというよりはディフェンシブであり、オポーネント
のコントラクトを守っても良い。また、スペードをレイズせずにマイナーでウ
ェイティングするのは、スーツの内容が悪いということを除いても、不可であ
る。ディレイドゲームレイズ(後述)を除いて、メジャーに4枚サポートあれ
ば、すぐになんらかのレイズをするというのがエコールでの重要なトリートメ
ントである。

  K6432 K763 54 82

1Hオープンには2Hレイズであって1Sではない。

  J842 K104 93 K763

これも1Hオープンを2Hにレイズする。1回のビッドでパートナーに伝える
こととしてはこれが最上の情報である。
 この原則はパストハンドでは更に強くあてはまる。

  J98 KJ62 54 A974

1Sオープンに対し、パストハンドでなければ2Cとつなぐぎりぎりのハンド
であるが、パストハンドでは2Cでプレーする危険を冒してはならず、2Sと
レイズする。


★1NTレスポンス
 これは、
A 6−9点の平均したハンドで、
B レイズには適当でなく、
C 1レベルでビッドするにふさわしいスーツのない
ハンドを示す。Aの要件は良く知られていることであり、Bについては上記で
述べた。Cに関して例を挙げてみよう。

  8753 KJ AQ5 9632

10点あっても、1Hオープンに対して1NTに替わる良いレスポンスは考えられ
ない。1C、1Dオープンに対しても1NTレスポンスが良い。スペードはパー
トナーがビッドしてくればレイズするが、自らビッドするスーツではない。

  7 94 K107543 Q865

 エコールでは扱いにくいハンドである。1Sオープンに対し、点が少なくパー
トナースーツがシングルトンのハンドで1NTとレスポンスするのは危険である。
オープンが1Hなら1NTレスポンスはスペードがシングルトンのため不適当で
ある。2Dレスポンスは問題にならない。
 これはパスするのが良い。パートナーとたまたまダイヤがフィットすればゲー
ムをのがすかもしれないが、オポーネントがリオープンすることに最後の望みを
かけよう。

  97 732 J9542 AK8

1Sには1NTレスポンスする。1Hには、不十分なサポートで2Hとレイズす
るか、弱いスペードにもかかわらず1NTとレスポンスするかの一方を選ばなけ
ればならない。8点にはクラブのAKというコントロールが含まれているから、
スーツコントラクトの方が良いだろう。

  J76 K102 Q963 542

1H、1Sオープンには1NTレスポンスだが、1Cには1Dレスポンスする。
1Cに対する1NTレスポンスは8−10点を表す。

  Q63 872 AJ5 8753

1D、1H、1Sオープンには1NTレスポンスするが、1Cオープンには、貧
弱なサポートで2Cとレイズするか、1点ウソをついて1NTレスポンスするか、
3枚ダイヤで1Dレスポンスするかを選ばなければならない。1H、1Sリビッ
ドにはパスできるし、1NTリビッドとなればベストコントラクトであろうから、
1Dレスポンスが良いであろう。

  Q63 872 J85 A853

1Cオープンに対し、今度は2Cレイズがベストであろう。


★レイズか1NTか
 1レベルのメジャーオープンを3枚でサポートするか、1NTとレスポンスす
るかは悩ましい問題である。シングルトンを含む5431のような場合は、3枚
サポートでレイズすることになんら疑問はないが、4432の場合は判断が難し
い。
 まず、大前提としてオープナーがこれまで述べてきたようにクォリティのある
スーツでオープンしているかどうかが重要となる。

  オープナー  レスポンダー
  32     74
  AJ82   K73
  AQ74   9852
  Q84    K732

1Hオープンに2Hレイズは良いコントラクトに落ち着くが、

  オープナー  レスポンダー
  32     74
  8742   K73
  AQJ4   9852
  AQ8    K732

このハンドで1Hオープンし2Hレイズすると、1NTレスポンスより更に悲惨
な結果となるかもしれない。オープナーはこの弱いハートは無視して1Dオープ
ンすべきであり、その場合1D−2Dと良いコントラクトにたどりつくであろう。
このようにスーツクォリティを重視してオープンすることと、3枚サポートでレ
イズすることは密接に結びついていることに注目してほしい。
 3枚サポートでレイズするかどうかは、他のスーツの絵札の状態も重要である。

  83 A83 K953 8752

1Hオープンに2H。スペードにJx程度あれば1NTが良い。

  83 K83 K953 Q752

1Hオープンに1NT。スペードは不満だが他のスーツは絵札がバラついていて
NT向きである。

  J3 A83 A953 8752

1Hオープンに2H。コントロールハンドはトランプコントラクト向きである。


★スーツテークアウト
 パートナーは1レベルレスポンスに6点以上を期待するが、良いスーツでは6
点未満でもかまわない。KQxxやK10xxxとどこかにJ一枚あるハンドが
この例にあたる。
 スーツテークアウトのビッドに上限はないが、後述するように16点以上では
通常ジャンプシフトする。
 5−4以上のスーツが両方1レベルでビッドできる時は、長い方からビッドす
る。

  AQ73 J9643 95 105

1C、1Dオープンには1Hレスポンスする。

 4枚スーツが二つある時はランクの低いスーツをビッドする。

  K953 K765 Q5 842

1C、1Dには1Hレスポンスする。これでどちらのメジャーのフィットものが
すことがない。
 しかし、スーツクォリティは重要である。

  AQ87 1062 J862 93

1Cオープンに対しては、弱いダイヤはビッドせず、1Sとレスポンスする。こ
れは両メジャーを持つ場合でも同様である。

  AQ104 7432 95 1032

1C、1Dオープンには1Sレスポンスする。
 パートナーがマイナーでオープンした場合、このスーツをサポートするかメジ
ャーをビッドするかは、2回目のビッドができるかどうかによって決める。

  KJ96 85 A72 10873

1Cオープンに対して1Sとビッドする。次の機会にクラブサポートを示す。

  Q982 103 KJ84 953

1Dオープンには2Dとレイズするのが良い。スペードをビッドして更にダイヤ
をサポートするには弱すぎる。レスポンダーのリビッドには最低7点が必要とさ
れている。ただし、これはIMP戦やラバーでのことであり、マッチポイント戦で
は1Sとレスポンスする方が良いだろう。
 2レベルのスーツテークアウトはこの「弱い手」では通常行わない。ただし、
良いスーツがある時は8点で2レベルレスポンスしても良い。

  652 83 73 AKJ642

  652 J83 Q3 KQJ62

1Sオープンに2Cレスポンスできるぎりぎりのハンドである。クラブがわずか
でも弱ければ1NTレスポンスが良い。


以上

 次回は、「1の代のスーツオープンに対するレスポンス−続き」です。

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玉川事業所

記録技術研究所
記録技術研究企画課

塩谷 真 salt@csp.canon.co.jp

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